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「役者が上、トランプ大統領」

 米大統領が5月24日、来月12日にシンガポールで開催予定であった米朝首脳会談の中止を決定した。途端に強気で会談中止をちらつかせていた北朝鮮が、慌てふためいて対話を請うた。金正恩委員長の委任による談話で、米朝関係改善のため首脳会談が「どれほど切実に必要か」を訴えたのだ。

 会談を通じて体制の保証を得ようとしていた金委員長が如何に困っているか本音をさらけ出していたのである。丸2日もたたないうちに金委員長と文大統領の極秘会談が開かれたが南北両首脳のあせりや危機感がうかがえる。

 トランプ大統領の怒りの背景の一つに、米国に対する公開的な悪罵がある。9日前にペンス副大統領のことを「ならず者」「人間のクズ」とまでののしって、敵対的発言を続けていた。余談だが、この地の言語文化には「伝統的に他人への悪口」が発達しているという。

 しかも米の求める条件に明確な回答がない。今までの成功例から、こうした揺さぶりで米側の譲歩を引き出せると思っていたのだ。

 トランプ氏は「過去の政権の過ちを繰り返さない」と何度も言い、会談中止で困るのは北の方であることを百も承知している。トランプ氏は「会談に成功しなければ次のステップへいく」とはっきり述べ、軍事力行使も含めてあらゆる圧力をかける決意でいる。その背景に安倍総理の確固たる支持表明があると私は思っている。

 金委員長は「いかなる核実験も必要なくなった。核実験も使命を終えた」と北東部豊渓里(ブンゲリ)の核実験場を爆破したが、6回も実験を行った用済みで不要な実験場を廃棄しただけのことではないか。

 2008年にも海外のメディアを前に寧辺(ニョンピョン)の核関連施設を爆破したが、その後も核実験を続け、昨年11月末に宣言した「国家核戦力完成」に至っている。

 トランプ発言で韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領の面目丸つぶれといったところか。

 金委員長が1月の「新年の辞」で南北関係改善に意欲を示して以来、平昌五輪への北朝鮮の参加や芸術団の派遣など北朝鮮の要求を全面的に受け入れ対話に応じてきた。南北首脳会談の実現、「板門店宣言」も発表した。5月22日には訪米し、米朝首脳会談の仲介役を務め、国内の支持も80%を越えた。しかし、こうした北への異常な傾斜が大きな誤りにならないか。

 かつて金正日総書記と金大中、盧武鉉(ノムヒョン)両元大統領による2回の首脳会談で韓国は、北朝鮮に経済援助をし、核・ミサイル開発に時間を与えた。これまでのところ多くを与えずにとどまっているが、得られるだけ得て約束を守らない常套手段を忘れてはならない。

 金委員長が文大統領の会談で、「非核化への確固たる意思を示した」ことから米朝首脳会談に向けた当局者の協議が板門店で行われることになった。

 しかし、米国が求める「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」にどこまで同意しているのかは定かでは無いようだ。

 今のところトランプ大統領の方が一枚上に見られるが、相手もしたたか、油断なく対応してもらいたいものである。日本は引き続き米国と緊密に連携していく必要がある。

 こんな重大な時期、モリカケ問題で、野党とメディアが組んでの魔女裁判、「もういい加減にしろ」と思っているのは私ひとりではあるまい・・・。

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