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安倍内閣「続投」のカギを握るのは森友でも加計でもなく、小泉進次郎〜田原総一朗インタビュー

AP
学校法人「加計学園」の愛媛県今治市への獣医学部新設をめぐる問題が、新たな展開を見せている。「2015年2月に加計孝太郎理事長と安倍晋三首相が面会し、安倍首相が新しい獣医大学について『いいね』とコメントした」という内容の文書が、愛媛県から国会に提出されたのだ。安倍首相と加計学園は面会の事実を否定しているが、野党は真相解明が必要だとして、加計理事長や柳瀬唯夫・元首相秘書官の証人喚問を要求している。この問題について、どう考えるべきか。田原総一朗さんに聞いた。【田野幸伸・亀松太郎】

◆柳瀬氏の発言は「虚偽」の可能性が高い

共同通信社
加計学園の問題については、5月10日に国会で、柳瀬元首相秘書官の参考人招致が行われた。柳瀬氏はそれまで、愛媛県や今治市の職員に会った記憶はないと発言してきた。参考人招致では、加計学園の関係者と会った際に愛媛県や今治市の職員に会ったかもしれないが、たぶん後ろにいて気づかなかったのではないかと語った。

ところが、この柳瀬氏の発言に対して、愛媛県の中村時広知事が怒って、「愛媛県の職員はメインテーブルに座っていた。柳瀬氏と名刺交換して、しっかりと県の立場を発言している」と反論した。柳瀬氏の発言は不自然で、国民の多くは虚偽だと見ている。

柳瀬氏は加計学園の関係者に3回も会っている。当時、他の大学も獣医学部の新設を希望していた中で、加計学園だけに何回も首相秘書官が会うなんて、えこひいきもいいところで、非常に不公平だ。

柳瀬氏はこの行動について、安倍首相の指示はなく、報告もしていないと述べているが、こんなえこひいきを秘書官が勝手にやるはずがない。もしやったら当然、上から、つまり安倍首相から怒られるはずだからだ。

首相秘書官の経験者である江田憲司氏は、柳瀬氏の参考人招致で質問に立った際、秘書官にとって首相に報告することは職務であり、報告しないのは理解できないと言った。柳瀬氏は職務を怠るほど無神経ではないはずだから、彼の発言は虚偽である可能性が高い。

問題は、なぜ柳瀬氏が嘘の発言を続けるのか、ということだ。それはひとえに、安倍首相を守るためだ。もし彼が安倍首相の指示を受けて加計学園の関係者に会っていたり、面会を安倍首相に報告したりしていたとなれば、安倍首相の国会答弁と矛盾してしまうからだ。

加計学園の獣医学部構想について、安倍首相はすべてが一件落着した2017年1月20日まで「知らなかった」と答弁している。もし指示や報告があったとすれば、安倍首相の発言が嘘であることがバレてしまう。そして、嘘がバレれば、首相の座が危うくなる。

だから、柳瀬氏は自分の人格を犠牲にしてまで、安倍首相を守っているということだ。いったい、安倍首相はこういう柳瀬氏をどう思っているのか。安倍首相も相当無神経だと、僕は思う。

◆それでも落ちない安倍内閣の支持率

Getty Images
安倍内閣は、この加計学園の問題のほか、森友学園問題や財務事務次官のセクハラ問題などでも非難を浴びている。国民の多くは、安倍内閣に対して大きな不信感を持っているはずだ。

ところが、不思議なことに、安倍内閣の支持率は落ちていない。

たとえば、毎日新聞が5月26日、27日に実施した世論調査の結果によれば、内閣支持率は前回の4月調査から1ポイント上昇して、31%となった。また、日本経済新聞社とテレビ東京による25日〜27日の世論調査でも、安倍内閣の支持率は42%と、1カ月前の43%とほぼ同じだった。

さらに、読売新聞による5月18日〜20日の世論調査でも、内閣支持率は42%。4月の調査より3%上昇している。安倍内閣に対して批判的な報道を続けている朝日新聞の世論調査でも、同様の結果が出ている。5月19日、20日の調査で、内閣支持率は36%と、前回の4月調査よりも5ポイント上がっている。

安倍内閣は、森友学園や加計学園の問題でこれだけ不信感を持たれているのに、支持率が落ちていかないのだ。むしろ、国会で審議拒否を続けていた野党に対する批判が高まって、野党がその戦術を撤回せざるをえない状況だ。

◆自民総裁選で、小泉進次郎氏がどう動くか

BLOGOS編集部
なぜ、安倍内閣の支持率は落ちないのか。要因はいろいろあるだろうが、自民党の幹部たちに聞くと、大きな問題が一つある。それは、自民党議員の間で安倍批判が起きないということだ。

かつての自民党には、主流派と反主流派のダイナミックな論争があった。自民党の首相が交代するのは、野党に選挙で敗れたからではなく、反主流派や非主流派との論争に負けた結果だった。岸信介、田中角栄、福田赳夫、宮澤喜一。いずれもそうだった。

ところが、選挙制度が小選挙区制に変わって、自民党の議員たちが首相のイエスマンになってしまった。特に安倍内閣でその傾向が著しい。

選挙制度が変わっても、小泉内閣などのときは旧選挙制度で当選した議員が多かったので、言いたいことを言っていた。しかしいまや、旧選挙制度で当選した人間が極めて少ないため、ほとんどの議員が安倍首相のイエスマンと化している。これは自民党の劣化だと僕は思うが、内閣の支持率維持につながっている。

国際情勢の緊張も、安倍内閣に有利に働いているだろう。米朝首脳会談をめぐる情勢が二転三転していて、目が離せない。米国と中国の貿易戦争の行方も気がかりだ。

このように国際社会の動きが非常に激しい状況では、トランプや習近平やプーチンと自由に話せるのは安倍首相しかいないのではないか、という国民感情があるのだろう。その意味で、安倍首相は運が強いと思う。

ただ、内閣支持率が下がらないとはいえ、決して高いわけではない。今年9月の自民党総裁選で、安倍首相が連続3選を達成できるかどうかは予断を許さない。

おそらく、石破茂氏が総裁選に出てくるだろう。最近の世論調査を見ても、国民の中での人気は高い。ポイントは、小泉進次郎氏がどう動くかだ。小泉氏は2012年の総裁選で、安倍首相ではなく石破氏に投票しているからだ。

いまもおそらく「石破信者」ではないかと思うが、小泉氏が総裁選の前にそのことを公言するのかどうか。小泉氏が大きな声で言えば、空気は相当変わると思う。

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