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厚労省の規制・取締り強化策が始動|合法ハーブ問題

厚労省が「脱法ハーブ」に対する規制・取締りの強化を打ち出したと、週末のニュースが伝えていました。全国の主要都市に広がっている販売実態が明らかになるとともに、法規制が追いつかない現況がクローズアップされ、取締りの強化を求める声が高まるなかで、ようやく強化策の始動にこぎつけたようです。
<ニュースから>
●“脱法ハーブ”規制強化要請
取締りの対象となる薬物に似た成分を含み、吸引すると幻覚などの症状が表れる、いわゆる「脱法ハーブ」を販売する店が後を絶たないことから、厚生労働省は20日、全国の自治体に規制や取締りを強化するよう要請しました。

吸引すると幻覚などの症状が表れる、違法なハーブを巡っては、去年10月に熊本市でハーブ販売店のオーナーが逮捕されるなど、全国で摘発が相次いでいます。

一方で、取締りの対象にはなっていないものの、違法な薬物に似た成分を含んだ、いわゆる「脱法ハーブ」を販売する店も後を絶たないことから、規制や取締りが課題になっています。このため、全国の自治体の担当者を集めた20日の会議では、厚生労働省医薬食品局の木倉敬之局長が「若者を中心に乱用が広がり、健康被害が懸念されるので、販売店の厳重な監視を行ってほしい」と述べて、規制や取締りを強化するよう要請しました。

厚生労働省によりますと、幻覚などを引き起こす「脱法ハーブ」は、違法な薬物が含まれていなくても、吸引目的などで販売したり譲渡したりすると、取締りの対象になるということです。厚生労働省は今後、「脱法ハーブ」の成分を確認して、違法な薬物への指定を進めるとともに、規制や取締りを強化していく方針です。
NHKニュース(1月20日 14時49分)

2本の柱で、イタチごっこを終わらせることが目標

脱法ドラッグ・・・麻薬と同じような作用や危険性を持ちながら法規制の対象になっていない物質を見つけ出しては、「合法」とうたって販売するのが、この種の商品です。新たに法規制の網が被せられれば、これに対抗していち早く別な未規制成分を見つけ出し、内容を切り替えて販売が続けられています。果てしなく繰り返されるイタチごっこは、ある意味では宿命とはいえ、いつまでも手をこまねいていては「野放し」の印象を残してしまいかねません。
取り組みは、2本柱で行われることになるでしょう。
まず、指定薬物を含んだ商品が販売されないよう、検査・指導を徹底すること。もうひとつは、指定薬物制度に対抗して販売されている、未規制薬物の販売に対しても、前向きに指導・取締りを行わうことです。この両面を同時に進めることで、脱法ドラッグの状況は大きく変化するはずです。

指定薬物の取締り

薬事法は、「中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物」を指定薬物として指定すると定め、現在は68種が指定されています。指定薬物の製造、輸入、販売、授与、販売・授与目的の貯蔵・陳列、広告などは原則として禁止され、これらの行為を営業的に反復継続して行った違反者に対しては、5年以下の懲役(5百万円以下の罰金)が科されます。

指定薬物の取締りに当るのは各都道府県の薬事監視員で、店舗への立入検査や、無承認無許可医薬品等買上げ調査などが行われていますが、多種多様なドラッグが販売される脱法ドラッグの市場では、販売商品中に指定薬物として規制されている成分が配合されていることもあり、積極的な検査、指導が求められます。

折から、1月18日に東京都は、都内で販売されたドラッグ商品3点中から、指定薬物が検出されたと発表しました。うち2点はいわゆる「脱法ハーブ」で、1包中にAM2201を3.2ミリグラム検出、1包中にJWH−203を315ミリグラム検出、というもので、検出された成分はいずれも強力な作用をもつ合成カンナビノイドです。なお1点はアンフェタミン類似構造をもつ4FMPを含む液状のものでした。
[参照]
指定薬物を含有する違法ドラッグの発見について
東京都福祉保健局・報道発表資料(平成23年1月27日)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2011/01/20l1r700.htm#top

無承認無許可医薬品としての取締り

さて、次に問題になるのは、指定薬物が検出されない脱法ドラッグに対する規制や取締りです。脱法ドラッグの多くは、法規制を回避するために、ある成分が規制されると素早く別な未規制の成分に切り替えて販売を続けています。
こうした未規制薬物に対しては、無承認無許可医薬品として取り締まる方法があげられます。

薬事法は、「人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)」は医薬品であると定義しています(2条1項3号)。いわゆる脱法ドラッグは、人の身体の機能に麻薬に類似した作用を及ぼすことを目的として使用されるのですから、薬事法がいう医薬品にあたり、その製造、販売、品質、表示、広告等について薬事法の規制を受けなければならないはずです。本来医薬品とみなされるべき物を医薬品としての許可や承認を受けないまま、「お香」「アロマ」などの名目のもとに販売することは、無承認無許可医薬品販売として、薬事法違反に問われる行為とされるのです。

無承認無許可医薬品としての取締りが強く打ち出されたのは、指定薬物制度が制定される前の2005年ころ、脱法ドラッグ市場が急拡大し、マジックマッシュルームやゴメオなどの幻覚系薬物の影響下で死亡事故や殺人事件が相次ぎ、取り締まり強化が求められた時期のことで、薬事法違反での脱法ドラッグ業者の検挙も行われました。
2007(平成19)年、東京高裁は、ラッシュ等6品目の脱法ドラッグを販売して薬事法違反で起訴された販売業者の事件で、「ラッシュ等は、医薬品に当たるか否かの判断において考慮するべき諸要素に照らすと、通常人の理解において、『人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物』ということができ、薬事法2条1項3号の医薬品に当たる」という判断を示しています(東京高判平19・10・11)。

指定薬物の制度が誕生して以降、あまり使われなくなった手法ですが、指定薬物での取締りが及ばない新規物質が氾濫し始めたこの時期に、指導・取締りの決め手として、無承認無許可医薬品としての取締りが再び登場することになりそうです。

[サイト内関連記事]
■取り締まりの可能性|合法ハーブを斬る5
http://33765910.at.webry.info/201110/article_24.html
■指導・取り締まり|合法ハーブを斬る6
http://33765910.at.webry.info/201111/article_1.html

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