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働き方改革 #高度プロフェッショナル制度 は女性差別助長し子育て介護抱えた男性を低賃金に追いやる

 昨夜(5月23日)、エキタス東海が名古屋駅前で「高度プロフェッショナル制度導入反対抗議行動」(写真)を実施しました。この抗議行動で発言した蓑輪明子さんから了承を得たスピーチ原稿を紹介させていただきます。



 みなさん、こんばんは。私は、名城大学経済学部で教員をしております、蓑輪明子と申します。今日は、いま国会で審議中の働き方改革の危険性についてお話ししたいと思います。

 働き方改革法案について、安倍政権は多様な働き方を作り出し、育児や介護と仕事の両立ができるように改革する、多様な人が働きやすくなれば、日本経済が発展すると言っています。

 いま国会に出ている法案は、はたして、そのような理想的な社会を作り出すでしょうか? 私はそうは思いません。

 この法案には、高度プロフェッショナル制度が盛り込まれています。コンサルタントなど、高度な職種の高所得者について、労働時間の規制を外すというものです。政府は高度プロフェッショナル制度が導入される職について、成果と時間が連動しないと言っています。これを聞けば、短い時間でも稼げる仕事かのように受け取れます。

 しかし、本当にそうでしょうか?

 若い人たちに聞くと、この政府の説明に誰一人、納得していません。結局、ブラックで、定額で好き放題働かされるだろうし、過労死だって出るに違いない。そのうち、もっと低い給料の人にも適用されるに違いないと感じています。

 私もそう思います。弱い立場に立つ、雇われた人たちは高度プロフェッショナルとはいえ、際限ない労働に駆り立てられるのです。

 私たち、研究者も裁量労働など、事実上、労働時間規制のない働きかたをしています。でも、授業、学生対応、事務、研究など、山積みの仕事の中で、8時間で仕事が終われる日など、ほとんどありません。朝から夜までは学生対応や授業。それが終われば授業準備や事務。夜中や早朝に研究をやっています。私も昨日は深夜2時まで、朝は4時から研究でした。

 私だけではありません。同世代の研究者も同じです。「過労死しないで」というのが別れる時にかけあう言葉です。

 私たちは裁量ある労働者とはいえ、次から次に大学改革、学生サービス、研究業績を求められているからです。きっと高度プロフェッショナル制度もそうなるに違いありません。

 でも政府はこう言うでしょう。断ることができるよと。そんなこと、できるわけありません。競争に負けるからです。労働時間が長くなるのを拒否して、競争に負けたら、より低い待遇の仕事が待っています。大学では今、教員の半数が非常勤です。私も40歳まで非常勤でしたが、年収は100万円ほどでした。そういう生活に再び戻りたくはありません。

 高度プロフェッショナル制度をはじめとする労働時間規制緩和は、過労死をもたらし、人の命を奪うと言われています。ほんとうにそうだと思います。ただ、私はそれだけでなく、生き残って働く人たちに差別をもたらすと思っています。

 いまの働き方改革は、高度プロフェッショナルのように、長く働けばそれなりに、短く働く人はそこそこに、という労働時間による処遇格差を正当化するものだと思います。

 長時間働くことが当たり前になっていけば、長く残業をすることができない、子育てや親の介護を抱えた人たち、特に女性は必ず低賃金労働に追いやられ、時に仕事を辞めなくてはならなくなる、そして、それが正当化されることになります。

 実際、労働時間規制が事実上ない私たち研究者の中でも、子育て中のお母さんは仕事と家庭の両立が見通せず、苦労してついた正規研究者を辞める人もいます。今年の春も同世代が一人、大学を去り、非正規になりました。でも、そういう働きかたを選んだのはその人だ、自己責任だとされるのです。

 働き方改革法案では、残業の規制を強めるためにも、残業に月45時間、特別な時には月100時間というふうに残業時間の上限を決めて、規制を強めると言っています。でも、100時間って、長すぎませんか?

 私は女性の労働が研究テーマですけれど、調査をすると、労働者のみなさんは月20時間の残業でもしんどい、つらい、家庭との両立が難しい、仕事を辞めたいとお答えになります。本当に女性が活躍する、多様性を生み出す必要があるならば、8時間働いて普通に帰れる、そういう働きかたを当たり前にする必要があるんじゃないでしょうか。

 いまの働き方改革では、女性たちは絶対に差別されます。子育てや介護する男性も同じです。

 働き方改革の強行採決は絶対に許されません。日本に過労死と働きすぎと差別をもたらすものです。この社会に生きるすべての人の未来に関係する問題です。まだ時間はあります。仮に衆議院で強行採決されても参議院での審議があります。その間に、この法案の危険なところを一人でも多くの人に伝えて、強行採決を止めていきましょう。

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