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母親が告白 農業アイドルだった大本萌景さん(16)は、なぜ自殺しなければならなかったのか - 「週刊文春」編集部

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 2018年3月、愛媛県松山市を活動拠点にする農業アイドル「愛の葉Girls(えのはがーるず)」メンバーだった大本萌景(おおもと・ほのか)さん(享年16)が、自宅で首を吊り亡くなった。

「愛の葉Girls」はご当地アイドルブームが盛り上がりをみせていた2012年12月に、“歌って、踊って、耕すアイドル”としてデビュー。JAや自治体が主催するイベントなどで精力的に農業の魅力をPRする活動を続けてきたが、萌景さんの死を受けて、3月末で活動を自粛。デビュー以来、レギュラーメンバー・研修生を含めて10人以上が卒業や活動を辞退するなどして、最終的には5人編成となっていた。萌景さんの死から約2カ月。まだ心の整理がついていないという萌景さんの母親が、現在の思いを初めて語った。

事務所スタッフと萌景さんのLINEのやり取り

◆ ◆ ◆

ももクロが大好きで、アイドルに憧れていた

 3月21日に萌景(ほのか)が亡くなってから、私たち家族の明るさ、家の光が失われた感じがしています。萌景の姿を最初に発見したのは私です。私は今でも自宅の2階に一人で上がることができません。萌景が亡くなった場所は、階段を上がってぱっと目に入る萌景の部屋だったので、どうしてもその場所に行くことができない。残された子どもたち、社会人の娘は体調を崩してしまい、小学生の息子は一人でトイレに行くこともできないような状況です。


大本萌景さん/遺族提供

 萌景は、いつも明るくて本当にお調子者。小さい子どもたちが大好きで、お年寄りからも愛されるような子でした。色々な方から「今1番人気よー」とか、「萌景ちゃんすごい人気があるね、すごいね」と声をかけてもらっていました。

 実は中学1年の頃、学校でいじめを受けていて、不登校のような時期がありました。きっかけは、 萌景がクラスメートと些細なことでもめて、担任の先生が「大本の嫌いなところをみんなで本人に言おう」と提案したことだったみたいです。いじめに悩んでいた萌景は、よく私たちに「転校させて」と言っていました。そんなときにゲームセンターのSEGAで「愛の葉Girls」のライブを見て、目をキラキラ輝かせていました。気が付けば、自分でオーディションに申し込んでいて。書類審査に合格したというので、「やってみたい」と相談を受けたんです。

 中学2年の7月、「愛の葉Girls」の研修生になりました。もともと「ももいろクローバーZ」が大好きで、アイドルに憧れていたということもあったと思います。「いじめられていた自分自身や周りの人を見返したい、みんなと打ち解けたい」。そういう理由でオーディションを受けようと思ったと、本人が振り返って話していました。

全国区のアイドルになりたい

「愛の葉Girls」では、ライブや地産地消フェアなどのイベントが主な活動でした。あとは月に1回程度の農作業。ブログでもアボカドを育てている様子などを紹介していましたが、本人は農作業をまったく嫌がらず、一生懸命取り組んでいました。週3回のレッスンも、休むことなく真面目に取り組んでいたんですよね。「歌って踊ることが好き」と言っていましたし、家では甘えん坊の萌景が、ステージに立つと人が変わったように生き生きとしていて。 萌景にとって「愛の葉Girls」は自分の居場所になっていて、「もっとグループが売れて、全国区のアイドルになりたい」という夢に向かって、とてもストイックに頑張っていました。

 何より、運営会社である農業生産法人「hプロジェクト」代表のSさんを第2の父親のように信頼して、ひょっとしたら親以上に信頼していたとも思っています。私たちが何を言っても納得しない場合でも、Sさんに言われると素直に話を聞ける。そういう風なところがありました。

アイドル活動と高校生活の両立で悩んでいた

 萌景のアイドル活動は順風満帆のスタートを切ったと言えました。しかし今思えば、大きなつまずきは、事務所の方針で学業が大幅に制限されたことにありました。

 2017年4月から、週に2回、火曜日と日曜日に登校日がある通信制高校に通っていたのですが、「愛の葉Girls」の仕事で、特に日曜日はイベントに出かけなければならないことが多かった。登校日と重なると、仕事をお休みする旨をスタッフへ連絡していたのですが、許可がもらえず、学校を休みがちになっていきました。 通信制ですから、毎回授業に出席する必要はありませんでしたが、受講する科目ごとの「必要面接時間数」以上の出席がないと、試験を受けることができないシステムでした。日曜日は全部で8日間、登校日があったのですが、3日間はイベントによって休まなければならなくなり、英語の出席日数が足りなくなって、単位を落としてしまいました。 高校1年の前期だけで4単位を落とし、後期は一度も学校へ登校していません。

事務所スタッフからの高圧的なLINE

 事務所との契約に際しては、「愛の葉Girls」の仕事が学業に支障をきたさないことを前提としていました。しかし実際には、萌景が登校日なので「愛の葉Girls」のイベントを休んで学校に行きたいと、懸命に伝えても聞き入れてもらえず、スタッフの高圧的な態度に萌景も悩んでいたようでした。娘の携帯電話には、学校に行きたいという娘の訴えに対して、事務所スタッフからのこんなメッセージが残っています。

「お前の感想はいらん。学校の判断と親御さんの判断の結果をそれぞれ教えろ」

「何故学校がダメと結論したのか、親御さんがダメと判断したのか、その理由だ」

「その理由によって、今後事務所はお前の出演計画を考えにゃならん。そこまで考えて物を言え」

 当時15歳だった萌景に、身近なスタッフからのこういったLINEがどれほど厳しく響いたか。真面目な萌景は「仕事を頑張らなくちゃ」という思いが強く、結局学校を休んでしまうことが多かったんです。

 また、萌景は高校1年のはじめに「1年間の時間割を見せるように」と言われて、事務所に提出しています。本人は「なんでこんなにプライベートまで管理されなきゃいけないのか、理解できない」と話していました。時間割を提出したにもかかわらず、「お休みをください」と言っても「愛の葉Girls」のイベント優先で、学校へ行くための許可をもらえなかったことは、何度もありました。

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