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在宅勤務の裁量労働制社員になりたいなら、社会で揉まれて専門職になれ

ちょっと厳しい話をします。

実はメルマガの質問で「シングルマザーなどを対象に在宅勤務の裁量労働制社員になれるように教育する学校を作りたい」という質問をいただきまして、それについては来週のnoteとメルマガで妥協案を丁寧にお答えするのですが、そのまえに「裁量労働制社員」についての大きな誤解があるようでした。

うちには由良さんという在宅勤務の裁量労働制社員がいます。入社2年ですが会ったことは1回しかありません。裁量労働制ですので勤務時間は基本的にお任せしていて、3人いるお子さんが通院したり学校の行事の時に参加も自由です。ただしその場合はほかの時間で埋め合わせしてくれます。早朝4時くらいにも作業されているようです。

そもそも裁量労働制とはなにか

厚生労働省では

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間働いたものとみなす制度です。

と、裁量労働制について定めています。

実は在宅勤務の社員を募集したときに、かなりの数の主婦の方からご応募を頂いたのですが、ほとんどがこれに該当しない人でした。具体的に「厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた業務」というのが決まっていて、単なる事務とか経理とか、雑用の人は裁量労働制では採用できないのです。自宅勤務であっても勤務時間をしっかり決めて、その中で働いてもらうことになります。

子供がいる主婦が自宅勤務の社員になるのなら裁量労働制でないと無理なわけですが、裁量労働制でどんな職種もOKにすると、実は労働者側に物凄い負担で超ブラック雇用になってしまう。できないならできるまでやれとか、勤務時間も関係ないことになるわけで、自分で「このくらいの作業量ならこの時間で可能です」などの判断ができる能力と、専門的な能力が要るわけですね。

で、厚生労働省が決めている「専門業務型裁量労働制」は、下記の19業務に限られている。

(1) 新商品若しくは新技術の研究開発又は人文科学若しくは自然科学に関する研究の業務
(2) 情報処理システム(電子計算機を使用して行う情報処理を目的として複数の要素が組み合わされた体系であつてプログラムの設計の基本となるものをいう。(7)において同じ。)の分析又は設計の業務
(3) 新聞若しくは出版の事業における記事の取材若しくは編集の業務又は放送法(昭和25年法律第132号)第2条第4号に規定する放送番組若しくは有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律(昭和26年法律第135号)第2条に規定する有線ラジオ放送若しくは有線テレビジョン放送法(昭和47年法律第114号)第2条第1項に規定する有線テレビジョン放送の放送番組(以下「放送番組」と総称する。)の制作のための取材若しくは編集の業務
(4) 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
(5) 放送番組、映画等の制作の事業におけるプロデューサー又はディレクターの業務
(6) 広告、宣伝等における商品等の内容、特長等に係る文章の案の考案の業務(いわゆるコピーライターの業務)
(7) 事業運営において情報処理システムを活用するための問題点の把握又はそれを活用するための方法に関する考案若しくは助言の業務(いわゆるシステムコンサルタントの業務)
(8) 建築物内における照明器具、家具等の配置に関する考案、表現又は助言の業務(いわゆるインテリアコーディネーターの業務)
(9) ゲーム用ソフトウェアの創作の業務
(10) 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務(いわゆる証券アナリストの業務)
(11) 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
(12) 学校教育法(昭和22年法律第26号)に規定する大学における教授研究の業務(主として研究に従事するものに限る。)
(13) 公認会計士の業務
(14) 弁護士の業務
(15) 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)の業務
(16) 不動産鑑定士の業務
(17) 弁理士の業務
(18) 税理士の業務
(19) 中小企業診断士の業務

うちの由良さんの場合は、主に編集業務なので(3)です。彼女は出版社での編集業務の経験があるので「専門業務型裁量労働制」に適合したわけです。

専門職でないと自宅勤務は無理っぽい

小さな子供がいて、出勤できない。でも働きたいという主婦はたくさんいると思います。しかし、

●そもそも会社に勤めたことがない
●会社に勤めたけど誰でもできる仕事だった

みたいなケースでは「専門業務型裁量労働制」の在宅社員にはなれないわけです。もちろん勉強して弁理士や不動産鑑定士や税理士の資格を取得すればなれます。デザイナーやコピーライターも学校に通っただけで採用してくれる企業はないと思うし、プログラム書くだけでもダメで、システム設計ができるならOKです。これはもう実務経験がないと無理でしょう。知人の会社でもこのレベルで「専門業務型裁量労働制」の在宅社員の主婦の方が在籍しています。

専門能力がないとダメなのか、差別だーガー、ではなく、これは労働者を守るべき法律なわけですよ。ただし在宅がだめなわけではないのできちんと労働時間を決めてその範囲で働くならOKです。でもそれだと子持ちにはほぼ無理で、あとは「業務委託」「フリー」みたいな形になると思います。アンケート調査みたいなバイトでも雇用契約があるならきっちり時間を決めないといけないはずで、チラシを1000枚撒いてくださいみたいなのは雇用契約ではなくて業務委託になると思います。

就職するにあたっての女子の問題点

これは前に書いたエントリー

Fランじゃない大学生の大規模調査に見えた、「女子のほうが仕事やる気あるやん」問題について

国公立がメインの、いわば優秀な大学生の志望する時に企業を選ぶポイントですが、

ぱっと見るだけで、どうも女子って真っ二つに割れている気がするんですよ。
「有給休暇や残業を男子より気にする」
※気にするのはかまわないよ
「勤務も気にする」

が、
「活躍したい」のは男子を圧倒する、という傾向です。これは同じ人がこのように回答しているのではなくて、条件だけで企業を選ぶ層と、仕事のやりがいや将来の展望で選ぶ層に二分化しているのではないかと。
ハイレベルの大卒でこれだから、男女に限らずFランとか専門学校とか高卒になって来ると、「将来活躍したい」ということより、「楽で責任のない職場を選ぶ傾向が強くなるだろう。

10年前の厚生労働省の調査であるが、一番右が象徴的

学歴が低いほど勤め先はどこでもよい

とする傾向が強くなる。また、女性が働く理由を見ると


高学歴ほど「社会に出ていたかったから」、「いったんやめると正社員として再就職するのは難しいから」「もともと結婚、出産しても働き続けるつもりだったから」というキャリア志向が強くなるのだが、逆に学歴が低いと完全に「お金の為」になってしまう。やりがいも高学歴ほど高く、夫の協力も高学歴の女性の方が高い。

なにを言いたいのかというと、将来結婚して出産して自宅で裁量労働制社員として雇用されて仕事をしたいのであれば、やはりそこを見据えて大学に入り、資格取得や就職するときも専門的な能力を身に付けるようにする。楽で責任のない仕事が良いわって言ってる時点で将来の自宅勤務はなくなるわけです。勉強嫌いとかも同等です。

うちの由良さんも出版社に入った時は非常に大変でいまから思い出しても死ぬかと思ったそうだが、逆にその経験があるから自宅勤務ができている。アリとキリギリスじゃないけど、学生時代と腰掛けの就職では将来につながらない。女子には高校くらいから人生設計とともに教えた方がいいと私は思います。
そして質問にはどのように回答したのかは来週をお楽しみに、だ!!!

自分もちゃんとした法制化のもとで導入しないと危険だと思います。昨日のニュースでも死者が出たってやってました。

裁量労働制適用の20代社員が「過労死」で労災認定

ただ、少なくともうちでは機能している。ブラック企業が安易に導入しないようにすることと、専門職の能力がありながら働けないでいる女性はどんどんこれで自宅勤務にしてもらいたいです。

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