記事

弁護士の大量懲戒請求に見る、誰もが懲戒請求できるなど4つの制度欠陥と疑わしき弁護士自治

今、弁護士制度が大きく揺らいでいる。

ある弁護士に1000件以上もの懲戒請求があり
それに対して弁護士は、根拠のない不当請求であることから懲戒請求した960人に対し、慰謝料請求の訴訟を起こすという。

みなさんはご存知だろうか?
弁護士に職務内外で品位を失うべき非行があった場合、誰もが弁護士に懲戒請求できることを。

この弁護士おかしい!となったら誰もが懲戒請求することができる。
所属弁護士会に対して、簡単な書式を送るだけで懲戒請求できてしまう。

これ、どう考えてもおかしくないか?

事情も知らない人だろうが誰もが懲戒請求できるなんて。
しかも職務上の非行ではなく職務外の非行でも懲戒請求ができるのだ。

なぜこんな制度ができたのか。
それは弁護士の処分は以前は国家が行なっていたが、国家の恣意的な処分により弁護士権限が奪われないよう、弁護士の処分は弁護士自ら行う「弁護士自治」を実現したからだ。

本来なら監督官庁が処分を行うのが他の職種なら普通だと思う。
しかし弁護士という特殊な職業柄国家のいいようにされたら国が悪い方向に行ってしまう。

弁護士は国家を監視する役もあるわけで、だからこそ国家の処分権限から切り離された「自治」が必要だ
ということで、弁護士の処分は弁護士ができるよう、懲戒請求は所属弁護士会に行い、所属弁護士会が弁護士の非行について処分を下すようになっている。

弁護士は国家権力から独立し、国民の人権や自由や正義を守るための重要な役割であることからこのような懲戒制度があり、
だからこそ職務内の非行だけでなく、職務外でも品位を失うべき非行があれば誰もが懲戒請求できるという、民主的な制度になっている可能性が高い。

ただ制度的欠陥は多い。主に4つ。

1:誰もが懲戒請求できるので、根拠がないものでもいやがらせのごとく懲戒請求ができてしまう。

2:「品位を失うべき非行」という業法があいまいすぎて、何をもって「非行」なのか、それによってどのような処分が下されるのか基準がわかりにくい。

3:基準がわからないので、弁護士会の処分決定が恣意的に行われる可能性がある。

4:懲戒請求してから処分が決定されるまで早くても半年はかかり1年以上かかるものもあること。

誰もができるので根拠がなくてもできる。そもそも基準があいまい。

どのような判断で弁護士会が処分を下すのかブラックボックス懸念。

そして何よりも大きな問題は懲戒請求は処分決定まで早くて半年、下手すると1年以上もかかるというのだ。

私は現在進行形で弁護士の懲戒請求にかかわっているが、もう名ばかり弁護士自治の自由と正義にあきれかえり、対応スピードのあまりの遅さに愕然としていることだ。

早くて半年もかかる?
下手すると1年以上?
現在進行形で「被害」を受けていたとしても、その処分決定に半年1年もかかるというとんでもない怠慢さ。

弁護士業界に詳しい出版社社長や同業の弁護士や関係者などに話を聞くと、

「お仲間守るため優先だから処分なんて無理ではないか」
「早くても半年といっているがたいがい1年以上かかるとみておいた方がいい」

といった話ばかり。

一体弁護士会というところは何をもって自由と正義を掲げているのだろう。

懲戒請求しても半年や1年以上もかかるのであれば、もはや弁護士自治など無理。

弁護士自治は「返納」し監督官庁の管理下に入った方がよいのではないか?

その代わりに懲戒請求の迅速化を行うため、誰もができる制度にせず紙ペラ1枚で懲戒請求できるような制度なんかにせず、懲戒請求できる人を限定した方がよいのではないか。当事者や関係者などに限るなど。

懲戒請求の前に、紛議調停という制度もあるのだがその際の弁護士会とのやりとりも、弁護士会の怠慢や品位のなさは一般常識からは疑うものばかりだった。

その件は別記事で詳細に書くが今の弁護士会に自治能力があるのか極めて疑わしい。

誰もができる懲戒請求という制度的欠陥のみならず、処分決定の迅速化やお仲間守るための制度にならない公正公平な懲戒制度を実現しない限り、弁護士の自治は剥奪され監督官庁の管理下に行われかねない。

弁護士ならびに弁護士会は自治を守りたいのであれば、4つの制度的欠陥について改善すべきだと思う。

あわせて読みたい

「大量懲戒請求への提訴問題」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    石破氏の安倍氏批判はまるで野党

    木走正水(きばしりまさみず)

  2. 2

    慰安婦の日が騒がれなかった理由

    WEDGE Infinity

  3. 3

    若者の性交離れ 女子に顕著傾向

    NEWSポストセブン

  4. 4

    朝日のギャンブル報道が支離滅裂

    木曽崇

  5. 5

    テスラCEO 資金枯渇で極限状態か

    広瀬隆雄

  6. 6

    生保世帯へ冷房補助 条件に疑問

    メディアゴン

  7. 7

    NHK委託業者の悲惨な労働実態

    しんぶん赤旗

  8. 8

    ポケモン声優死去 哀悼の声続々

    キャリコネニュース

  9. 9

    中国「金融難民」の怒りが爆発

    ロイター

  10. 10

    堀江氏 ユニクロとZOZOの間狙え

    MAG2 NEWS

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。