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堀潤氏「与野党・行政は対立を越え"公文書の問題に向き合っている"という姿勢を」

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 今まさに財務省の問題がクローズアップされていますが、ある経産省幹部の方が思い出話をしてくださいました。その方は福島第一原発の時、官邸と経産省の調整役として、避難計画に関わっていました。何を基準に、どうやって避難させるのか、細かいやりとりをメモに残していたそうです。

 でも、そのメモは公文書にはなりませんでした。公文書というのは、関係者同士で確認して、"公文書にします"と決まると文言の調整をして、残して問題ないかという整理をして始めて公文書になります。その方のメモに関しては、どのエリアの放射性物質の濃度が高いという情報や、「この放射線の値が出ているこの道路を通すと危ないんじゃないか」「そんなことを言ってたら届けられなくなるから通そう」といった議論も含まれていたので、"生々しすぎて外には出せない"と判断されたということです。公開することによってかえってパニックを招いたり、批判を招きかねないからですね。

 それでも幹部の方は歴史的価値の高いものだし、いつか役に立つ時が来るだろうからと段ボールに入れて自分の机の後ろに積んでおいたそうです。そうしたらふと目を話した隙に無くなってしまった。部下に聞いたら「え?捨てちゃいました」と。ちょうど、席替えか何かがあったそうです(笑)。「整理しなきゃと思っていたのに、非常に残念だった…」とおっしゃっていました。

 そして「やっぱり役所にそういう法律があれば、僕らだって喜んで残しますよ。でも、今の仕組みだとそうはなっていないから。早く整備したほうがいいよ」、そう言って退官されました。

 私的なやりとりや、生々しい情報はやはり出すべきではないのか。それともきちんと公文書にして、すぐには出さなくても、何年後かには明らかにするというルールにするのか。考えさせられましたね。

ーー森友・加計学園問題が一段落したとしても、今のままなら同じような問題が再発しかねませんね。

 たしかにメールやメモも含める膨大な量をどうデータベース化して管理するのか、一体どのくらいのコストがかかるのか。考えれば考えるほど大変だと思うし、いま公文書に携わっている人員では明らかに足りなません。

 よく「選挙に数百億円は税金を使いすぎだ」という意見もあるけれど、それには「民主主義のためのコストなんだ」という反論ができる。公文書管理も税金をたくさん使うかもしれないけれど、そのくらい重要で価値のあるものなんだと、みんなが声を上げるべきだと思います。

 と、こういう話をテレビですると、「機密事項もあるし、なんでもかんでも公開できるわけないだろう」という反応が返ってきます。もちろんその通りなので、何年後に、どうやって解除するのか、といった議論もしていってもいい。特定秘密保護法が成立して以降、そういう議論を忘れていませんか、と思います。

 今回の問題は政局絡みになっているので、守る与党、攻める野党としてみんなが意固地になっていますが、与野党も行政も対立を越えて"公文書の問題に向き合っている"という姿勢を見せてほしいなと思いますね。

 もっとも、国会議員のみなさんも歳費についてはブラックボックスの部分をあえて残しておきたい思いもあるでしょうが…。本当は政治資金だってどんどん電子化・一括管理して、透明性を高める努力できるはずなんですけどね。(5月10日、談)



■プロフィール

1977年生まれ。ジャーナリスト・キャスター。NPO法人「8bitNews」代表。立教大学卒業後の2001年、アナウンサーとしてNHK入局。岡山放送局、東京アナウンス室を経て2013 年4月、フリーに。現在、AbemaTV『AbemaPrime』などにレギュラー出演中。

▶堀潤さんが出演する『AbemaPrime』は夜9時から生放送

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