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親日台湾でも、こんな日本人は嫌われる!? 起業して、やらかした失敗あれこれ<誰も知らない台湾ビジネス> - 吉田 皓一

半世紀にわたり日本の統治下にあった台湾は、今なお街のあちこちに日本統治時代の名残りがあります。また台湾のローカル言語である台湾語には、「歐巴桑(おばさん)」「黑輪(おでん)」など、日本語の単語が数多く使われています。

また親日で知られる台湾は、日本統治時代を知る高齢世代のみならず、若い世代も日本のカルチャーに親しんでいて、ふだん何気ない会話をしていると、外国人と話している感じがしない、とすら思う時もあります。
 
しかしながら、やはり日本は日本、台湾は台湾。商売をしていると、色んなカルチャーギャップに直面したり、それによって失敗も多くしてきました。

日本人は「情報泥棒」「時間泥棒」?

台湾で創業した当初、何の人脈もノウハウもなかった私は、紹介をたどって手当たり次第に色んな企業を訪問し、情報収集をしていました。


創業当初。何もないオフィスにたった一人。

2012年当時、日本行きの観光が盛り上がりをみせていたので、旅行会社や航空会社、或いは旅番組を放送しているテレビ局などに、精力的に働きかけ、「何か一緒にできませんか?」と営業をかけていたのです。

そんな中、とある会社で次のようなことを言われました。

「日本の企業はよく『何か一緒にできないか?』と言って来るけれど、何の準備もアイディアもなく来る人が多すぎる。我々も基本的に協業はウェルカムだけど、具体的に一緒に何がしたいのか考えてから来てもらわないと、時間の無駄だと思わないか?」という痛烈な一言。

別の人からは「日本の企業は『情報交換しませんか?』と言って来るけど、結局こちらの経験やノウハウを無料で吸い取るだけだ。こちらには何のメリットもない」とも言われました。聞けば、会いたいというので時間を取って会ってみたら質問責めにされ、大量にメモを取り、情報を聞き出すだけ聞き出して「今日は良い打ち合わせでした!」と帰っていく、「情報泥棒」が多すぎるとの事です。

情報は等価交換が原則と言いますが、日本の会社はそれができてないのかも知れません。

また、「表敬訪問」というのも嫌がられます。日本からの出張者に多いのですが、2泊3日で台湾に出張する際「せっかく海外に出張するのだから、スケジュールをパンパンにしないと勿体ない!」と張り切って、特段の用事もないのに現地の企業にアポを入れまくるケース。その際に利用される便利な用語が「表敬訪問」です。

当然会話が盛り上がるわけでもなく、「一体何をしに来たんだろう?」で終わってしまう事が多数で、結局相手の時間を泥棒するだけになっているという場合が少なくないようです。

決裁権のない人は来るな!

台湾で商売をしていると、意思決定の早さに戸惑う事があります。会社において決裁権をもつ人たちは基本的に即断即決。会社の将来を左右するような重要な選択でも、その場で決裁してしまう人が多いのです。


台湾はいよいよ夏本番です。

無論、その判断が毎回100%正しいという保証もありません。ですから彼らの考え方は基本的に「とりあえず始めてみて、ダメだったら途中で軌道修正したらいい」、いわば「走りながら考える」という発想で、特に創業社長やオーナー社長の場合にはキョーレツな人も多く、社員が振り回されているのを目の当たりにすることもしばしばです。

以前、とあるオーナー企業の部長さんが、居酒屋で飲みながら「ウチの社長は右ウィンカーを出しながら、猛スピードで左に曲がっていく」とボヤいているのを聞いて、なるほど正鵠を射た表現だと、妙に納得したのを覚えています。

さて、そんなスピード感満載の台湾ビジネスにおいて、決断を先送りしがちな日本のビジネススタイルは、相手からもどかしく思われる事もあるようです。よく聞くのは、「打ち合わせでさんざん盛り上がった挙句、満面の笑みで『では日本に持ち帰ります』と言われて拍子抜けした」という話。

台湾側は決裁権のある人間が会議のテーブルについているのに、日本から来る人は自分で何も決められない。一度ではなく何度も来てくれるのだけど、それでもなかなか話が前に進まないという事です。先方が決裁権のある人をよこしてくれているのなら、日本側も決裁権のある人が参加するべきでしょう。

孫子の兵法に「兵は拙速を尊ぶ」という言葉がありますが、台湾では、その場で大きな決断をパッ、パッと迅速に出来る人が、とても尊敬されるのです。

浪花節だよ、台湾は。

日本ではあまり聞かなく(効かなく?)なった、ビジネス上の「貸し借り」の文化が色濃く残っていることも大きな特徴と言えます。「自分が困っている時に助けてくれた人には、いつか必ずその恩に報いる」という、義理人情を重んじる「浪花節」の考え方です。


飲みニケーションも大事です

私は過去に、とある台湾航空会社とのキャンペーンで大失態を犯した事があります。当社が肝いりで獲得した某大手スポンサーの期間限定商品タイアップ記事を、台湾のA航空会社の機内誌に掲載するはずが、意思疎通のミス(というか私のチェック漏れ)で、掲載スケジュールが大幅にずれ、期間限定なのに発売期間に全然間に合わない、という大チョンボを犯してしまったのです。

全然スケジュールに間に合わず、完全に「詰んだ」状態だったところ、別のB航空会社のタイアップ担当が「ジーリー(ウチの会社)には過去に助けてもらったから、何とかするよ」と、なかば強引に紙面を再構成して、なんと掲載してくれたのです。それまでB社と良好な関係を構築しておいて良かった、面倒な事も断らず誠意を持って対応して良かったと心から感じた瞬間でした。

私の前職であるテレビ局の営業というは、デジタル全盛の今日にあってもアナログな付き合いを重視します。広告代理店にもスポンサーにも、あらゆる取引先への“ GNP(義理、人情、プレゼント)”を重んじる独自のカルチャーで育ったのですが、そのアナログスタイルが、異国で訪れたピンチの場面で活きました。

ただ、「貸し借りの文化」という事は当然ながら、逆に「あれだけしてやったのに何もしてくれない。何て恩知らずなヤツなんだ。もう一緒に仕事をしたくない」となるケースもありますので、ご注意を……笑。

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