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大相撲力士は労働者なのか?

読売新聞ニュースによりますと、元大関琴光喜さんが、日本相撲協会を相手取って解雇処分撤回を求めて提訴する予定である、と報じられております(ニュースはこちら)。元琴光喜さんは野球賭博問題で解雇処分となっていたのでありますが、昨年力士としての地位保全仮処分命令の申し立てを行っていたところ、こちらは「保全の必要性なし」ということで東京地裁は却下していたそうであります。そこで今回は仮処分ではなく、本訴訟として解雇処分なる法律行為の無効確認のため提訴する、ということだと思われます。

昨年、元幕内力士の露鵬ら2名に対する解雇処分の無効を争った訴訟(東京地裁)で、露鵬らは日本相撲協会に敗訴しております。いわゆる大麻使用の件で元露鵬らは解雇処分となったわけでありますが、この件は平成20年8月の若ノ鵬大麻所持事件が先行し、やはり東京地裁で地位保全仮処分申し立て事件の決定(却下)が出されていた中での解雇処分であったため、たとえ大麻使用が(所持とは異なり)刑事処分の対象とはなっていないとしましても、まあ解雇処分についてはおおむね妥当だ、といった意見が多かったのではないでしょうか。

しかしこのたびの元琴光喜関の裁判については、少し状況が異なるのではないかと。そもそも力士というのは「労働者」に該当するのかどうか、おそらく争点になると思われます。先の元露鵬らの裁判では、裁判官はとくに労働者か否かを問題にすることなく解雇を認容していました。しかし、先の元若ノ鵬の地位保全仮処分事件では、裁判所は労働契約法の適用を肯定しております。したがいまして、スポーツ選手としての力士にどこまでの「労働者性」が認められるのか、関心が向けられるところであります。

また、解雇処分ですから、当然のことながら適正手続による必要があります。その点で、水平的公平と垂直的公平をどのように考えるか・・・・・という問題が出てきます。垂直的公平というのは、今回の一連の野球賭博問題で、賭博を行っていたほかの力士への処分との間に公平感はあるか・・・・・という点であります。元露鵬らの事件は大麻使用ということで、他の力士との公平感ということはあまり考えずに済むわけですが、(私の記憶が正しいのであれば)今回の野球賭博では、他の力士も多数関与していたのでありまして(たとえば賭博に関与していた関取10名は謹慎処分だったそうで)、そこに不公平感がないか、というところであります。また、水平的公平というのは、ほかのプロスポーツ競技において、プロ選手が賭博事件が起こしたときでもやはり解雇処分が妥当か、ほかの競技ではもうすこし処分が甘いにもかかわらず、相撲だけなぜ解雇処分になるのか、という点であります。

たしかに元琴光喜さんと同じような事件で「謹慎」ということであれば、なにゆえ元大関だけが解雇処分となるのか、とりわけ力士が「労働者」ということであれば合理的な説明がなければ解雇権の濫用(労働契約法18条)に該当する可能性もあるわけで、このあたりは結構興味を持つところです。

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