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20~30代は仲間にしか関心ないので国を支える力がないとの説


【21世紀は「答えがない時代」(大前研一氏)】

 2040年にはAI(人工知能)が人間の脳を超え、我々の生活に計り知れない変化をもたらす「シンギュラリティ(技術的特異点=未来学上の概念の一つ)」が訪れると言われている。人間の仕事の大半がAIやロボットに置き換えられるその時代は、60代・70代のシニアこそが大活躍する、と大前研一氏は予測する。

 * * *
 2040年とは、いったいどのような時代なのか? 2017年版「高齢社会白書」によると、2040年の日本は総人口が1億1092万人で、そのうち65歳以上の高齢者人口が35%の3920万人を占めると推計されている。つまり、日本人の3人に1人が高齢者になるのだ。一方、15歳~64歳の人口は5978万人なので、高齢者1人を現役世代1.5人で支えねばならないことになる。

 2040年に現在50代の人は70代、40代の人は60代になっているわけだが、その時に働き盛りであるはずの40代・50代=いま20代・30代の「ミレニアル世代」(1980年代から2000年代初頭に生まれた世代)には国を支える力がないと思う。

 なぜなら、彼らはバブル崩壊後の「失われた20年」に育った低成長デフレ時代の申し子だからである。

 彼らの特徴は、物欲や出世欲があまりなく、内向き・下向きで出不精なことである。一例は、地元のショッピングモール1か所で日々の暮らしを完結させる「イオニスト」や「ららぽーたー」と呼ばれる若者たちだ。彼らは自宅の半径20km圏内だけで行動し、社会人になっても中学・高校時代の友人や仲間が交友関係の中心で、その人たちにしか関心がない。

 また、ジェイアール東日本企画の「Move実態調査2017」によると、20代の1か月あたりの移動回数は37.3回で70代の40.8回を下回り、20代~70代の全年代中最低だった。20代は高齢世代よりも外出に消極的で、単純計算では1日あたり1.2回しか移動していないことになる。「家にいるのが好き」と回答した人の割合も20代が26.1%で最も高く、次が30代の25.1%だった。

 幼少期からインターネットと携帯端末があり、自宅で時間を過ごすことに慣れているからだと考えられるが、このように低欲望で内向き・下向きで出不精な価値観やライフスタイルのミレニアル世代は、20年後の日本経済を駆動していくパワーが足りないと思うのだ。

 一方、現在の40代・50代はバブル景気を謳歌したり、その余韻に浸っていたりした世代である。すべてが右肩上がりで円高の恩恵もあり、海外旅行や高級ブランド品などを満喫しながら「それ行けどんどん」でやってきた人たちだ。20年後、60代・70代の彼らがやる気になれば、下の世代がアグレッシブではないだけに、相当活躍できるのではないかと思うのである。

◆「もう○歳だから」は禁句

 しかも、2040年に「シンギュラリティ」が訪れたら、いま20代~50代がやっている仕事の大半はAIやロボットに置き換えられてしまい、人間でなければできない仕事はクリエイティブな分野や労働集約型の作業など非常に限られてくるだろう。

 そこでシニアの出番となる。60代・70代の人たちには若い人たちにはないビジネスの経験と人的ネットワーク、若干の資金がある。それを活用することで、若い人たちよりも向いている仕事、能力を発揮できる分野が少なくないのだ。

 今まで50歳を過ぎてから起業に成功した人は、三菱電機とリコーに勤めて49歳11か月で独立し、半導体メーカーのメガチップスを創業して上場した進藤晶弘さんぐらいしか前例がなかった。しかし、最近はそういうスタイルの人がけっこう出てきている。

 たとえば、今年傘寿(80歳)を迎えた廣瀬光雄さんである。廣瀬さんは大日本印刷アメリカ法人の社長、ジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人代表取締役社長を務めて定年退職したが、日本のゴルフ場が次々につぶれていく惨状を見て「悠々自適・ゴルフ三昧」どころではないことを知ると一念発起し、学生時代からの友人であるジャック・ニクラウスの「ゴルフ場は束ねれば束ねるほど儲かる」というアドバイスを基にPGM(パシフィック・ゴルフ・マネージメント)を創業した。そして倒産したゴルフ場を次々に買収し、いきなり東証一部上場を果たしたのである。さらに医療情報ポータルサイトを運営するケアネット、企業コンサルティング会社マベリックジャパンの2社を設立し、ケアネットも東証マザーズに上場している。

 日本人は年齢についてメンタルブロックがあり、中高年になると新しい仕事にチャレンジしない傾向が極めて強い。

 しかし、「もう○歳だから」は禁句である。

 いま40代・50代の人たちは、2040年に老後があると思ってはいけない。起業家になって60代・70代で新しい事業を次から次にやりまくっている自分をイメージし、そういう方向にマインドセットしていくべきなのだ。

※SAPIO2018年5・6月号

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