記事

「安倍首相が煽った「脅威論」露と消える」(日刊ゲンダイ)記事に徹底反論〜今このときも中国の異常かつ空前の軍事膨張は続いている

 何やら一部リベラル派メディアや評論家から「中国の脅威は音を立てて崩れている」、「安倍首相が集団的自衛権の行使容認の前提に掲げた『わが国を取り巻く脅威』は消えつつある」との政権批判が強まっています。

 例えば日刊ゲンダイの以下の記事では、「年内にも安倍首相は訪中するそうだが、まず中国脅威論を政治利用してきたことを詫びるべき」だと、結論付けています。

尖閣も緊張緩和へ 安倍首相が煽った「脅威論」露と消える

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/228752

 記事の中でリベラル派の大学教授はこう指摘しています。

「中国との緊張が緩和し、朝鮮半島も非核化に向けて動いています。つまり、安倍首相が集団的自衛権の行使容認の前提に掲げた『わが国を取り巻く脅威』は消えつつある。ならば、違憲状態の安保法制は空文化するか、違憲部分を改正した方がいい。違憲状態が延々続くのは不健全です。安倍政権の応援団メディアは、シーレーンの要諦である南シナ海への中国の進出という『潜在的脅威』は残っているとか言いそうですが、日中の友好関係が守られている限り、衝突はあり得ません。脅威の排除には安保法制の死守よりも、日中間の信頼を深める方が大事です」(五野井郁夫氏)

 ・・・

 「中国との緊張が緩和し、朝鮮半島も非核化に向けて動いています。つまり、安倍首相が集団的自衛権の行使容認の前提に掲げた『わが国を取り巻く脅威』は消えつつある」とのこの現状分析は、あまりにも早計でありましょう。

 特に軍事面での現状を分析するのには、情緒的な感情論ではなくしっかりとした基礎データに基づき起こっていることを感情抜きで冷徹に評価分析すべきです。

 この世界では残念ながら昨年、冷戦以降史上最高の軍事費膨張が起こっており、さらにその原因は東アジア中でも中国の異常な軍事費膨張によるもので、この地域では戦後最大の軍事費が投入されつつあり、軍事的緊張が日々増しつつあるわけです。

 すべて精度の高い国際データに裏付けられています。

 国際情勢の変化の軍事支出の増減に対する影響力を検証する資料として、信用性が高く評価されているデータベースとして、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の統計データがあります。

Stockholm International Peace Research Institute "Yearbook"

http://www.sipri.org/

 このデータベースより、平成に入ってからの29年間の、中国と日本の1989年から2017年までの軍事費の推移を表にまとめてみましょう。

 なお数値は当時のレートで米ドル換算しています。

■表1:日本と中国の軍事費推移(1989−2017)

単位:百万米ドル

ChinaJapan特記
19891932039993★平成元年 日:中=1:0.48
19902105441951 
19912236643011 
19922717243657 
19932506543481 
19942414243466 
19952505744186 
19962660944992 
19972854145367 
19983127345418 
19993804545176 
20004132445402 
20014987846197★平成13年 日中軍事費初めて逆転
20025796846427 
20036260846486 
20046922146300 
20057660646216 
20068850345627 
20079902745034★平成19年 日:中=1:2.20
200810845744601 
200913135345436 
201013802845595★平成22年 日:中=1:3.03
201114902246209 
201216179745653 
201317686045459 
201419191745944★平成26年 日:中=1:4.18
201520450546754 
201621603146471 
201722817346556★平成29年 日:中=1:4.90

※データソース

SIPRI Military Expenditure Database

https://www.sipri.org/databases/milex

 ★平成元年には日本の軍事費が中国の2倍でありましたが、★平成13年に逆転を許し、★平成19年には日本の2倍を越え、★平成22年には3倍、★平成26年には4倍、昨年★平成29年にはついに4.9倍となり、おそらく中国の軍事費は今年中に日本の5倍を越える事になるでしょう。

 この推移はグラフにすれば実に明確です。

■図1:日本と中国の軍事費推移(1989−2017)

単位:百万米ドル

f:id:itec:20180511114743p:image

※データソース

SIPRI Military Expenditure Database

https://www.sipri.org/databases/milex

 この中国の軍事膨張は世界の軍事費を押し上げ、実は昨年世界の軍事費が冷戦後の史上最高を記録しました。

 この事実は5月2日付け朝日新聞も報じています。

世界の軍事費、冷戦後最高 アジア大洋州が伸び率トップ

https://www.asahi.com/articles/ASL5232GGL52UTFK001.html?iref=pc_ss_date

 ・・・

 「中国との緊張が緩和し『わが国を取り巻く脅威』は消えつつある」との認識は、当ブログとしてまったく支持できません。

 今このときもこの東アジアでは、事実として中国の異常かつ空前の軍事膨張は続いているのです。

あわせて読みたい

「日刊ゲンダイ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    加計理事長のドサクサ会見は卑劣

    宮崎タケシ

  2. 2

    香川が名乗り 仲間も予想外のPK

    文春オンライン

  3. 3

    ZOZO田端氏の残業代ゼロ論は呪い

    国家公務員一般労働組合

  4. 4

    朝日の信頼度が5大紙で最下位に

    島田範正

  5. 5

    米朝会談で断たれた北の逃げ道

    MAG2 NEWS

  6. 6

    楽しい食事をダメにする残念な人

    内藤忍

  7. 7

    新幹線を叩くマスコミに違和感

    MAG2 NEWS

  8. 8

    DA PUMPのISSA 極秘結婚していた

    NEWSポストセブン

  9. 9

    キンコン西野 大阪地震でSNS炎上

    女性自身

  10. 10

    W杯 日本代表がコロンビアに勝利

    MAG2 NEWS

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。