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「白馬は馬にあらず?」国会は柳瀬秘書官のコント劇場に。今井秘書官の名まで飛び出た加計学園問題

「白馬は馬にあらず」とは古代中国の名家(論理学派)が唱えた説で、詭弁の代表例といわれています。「白馬は色と動物という二つの概念。馬は動物という一つの概念。だから白馬と馬は違う」と主張し、学者同士の論争で大勝利を収めたそうです。が、その論法で馬の通行税の支払いを逃れようとしたところ、役人にはまったく通じずしっかり徴税されてしまった―という逸話が韓非子に載っています。

 そんな「白馬は馬にあらず」を地で行く小芝居が、国会で繰り広げられました。加計学園問題をめぐり、愛媛県・今治市関係者との面会を「記憶にない」と事実上否定していた柳瀬唯夫元首相秘書官が、衆参両院に参考人として出席。GW中から「記憶の内容を与党と調整中」なるコントのように不可思議な報道が飛び交っていましたが、本番でもコントのような迷答弁が飛び出しました。

 「獣医学部の設置に関して加計学園関係者とは三度会ったが、そこに愛媛・今治の関係者がいたかは分からない。加計学園関係者と会ったかは聞かれなかったから答えなかった」

 おいおい、と声が出てしまいました。

 もともと愛媛や今治の関係者と会ったかどうかは、本筋ではないですよね。本筋は「加計学園に特別な便宜が図られたかどうか」です。愛媛や今治の関係者が首相官邸でだれかと会ったという資料が出てきたので、それは「特別な便宜」の一端じゃないのか、という趣旨で質問されていたのです。しかも、加計学園関係者と知り合ったきっかけは首相の別荘でのバーベキューだというのですから…。

 「ワシントンと桜の木」というエピソードをご存じでしょうか。アメリカ初代大統領のワシントンが少年時代、父親が大事にしていた桜の木を斧で切ってしまった。翌日、父が切られた桜を見て激怒すると、ワシントンは「僕がやりました」と正直に答えた。父は感激して、「お前の正直さは、桜の木1000本より価値がある」と抱きしめた。そんな話です。

 その伝でいえば、柳瀬氏は父に「この斧を持ちだしたのはお前か?」と聞かれて「そんな覚えはありません」と答え、バレた途端に「桜は切ったが、斧でやったかどうかはわからない。桜を切ったかと聞かれなかったので答えなかった」と言っているようなものです。何の言い訳にもなっていませんね。

 また、それ以前の問題として、柳瀬氏は昨年の夏、記者の取材に「加計学園の関係者と会った記憶はない」と答えているわけですが。

 さて、昨年七月の予算委員会で柳瀬氏は次のように答弁しています。

「午前中の御指摘も踏まえまして、記憶を整理してみました。≪中略≫獣医学部の新設をどうするかという制度論が議論をされておりまして、制度を具体的にどこに適用するかという話はまだなかったと記憶をしてございます。この関連で、内閣府の担当部局と何度か打ち合わせをした記憶はございます。私の記憶のある限りでは、今治市の方にお会いしたという記憶はございません」

 いきなり聞かれて答えられなかったわけではない。記憶も整理しているし、内閣府との打ち合わせについても聞かれもせずに答えています。

 今日の答弁では①2015年の2~3月に加計側と会い②その後、内閣府から獣医学部新設を含む国家戦略特区についてレクチャーを受け③4月に再び会い④6月に三度会い⑤同月に内閣府からレクを受けた―という説明になっています。加計側との面会と平行して内閣府のレクを受けているのに、昨年はレクだけ答弁して加計側との面会は隠していたわけです。ウソと言われても仕方ないし、どれだけ善意で判断しても隠蔽です。

 これに関連して、重要な答弁もこぼれ出ています。柳瀬氏は「去年7月の集中審議の前に、今井総理秘書官から事実を聞かれ、私は『今治市の職員の方とお会いした記憶はないんです』と。ただ『加計学園の事務局の方、それから専門家の方からお話を伺った記憶はあります』と、こういうふうにお答えしていますし、ずっと一貫して同じ記憶でございます」と語ったのです。この答弁、私には「自分だって好きこのんでウソを言ったわけじゃない!オレだけが悪いわけじゃない!」という泣き言に聞こえました。

 つまり、柳瀬氏は昨年7月に愛媛・今治側との面会を否定する答弁をしたわけですが、それ以前の段階ですでに、加計学園との面会について「陰の総理」と言われる今井尚哉首席秘書官に伝えていた、と証言したわけです。今井秘書官は事実上、総理答弁作成の責任者とされています。当然、柳瀬氏の答弁内容も調整したでしょうし、総理答弁にも聞き取りの結果を反映させたでしょう。柳瀬氏のウソまたは隠蔽を、安倍総理本人が知っていた蓋然性もきわめて高いと言わざるを得ません。

 ほかにも、「外の人からアポがあれば、時間が許す限り会う」とか、「加計側と会ったことを総理に伝えたことはない」とか、迷答弁は枚挙にいとまがありません。詳しく書く余裕はないのですが、もはや加計問題をめぐる政府答弁は完全崩壊したとしか言い様がありません。(関連記事は「宮崎タケシのブログ」 https://ameblo.jp/miyazaki-takeshi-gunma/ の過去記事をご覧ください)

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