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ビットコインに逆張りする人は泣きをみる

確実に資産を増やす方法はあるのでしょうか。「プレジデント」(2018年1月15日号)では、10人の識者に「知っておきたいお金のキーワード」について聞きました。第10回のテーマは「乱高下するビットコイン」です――。(全10回)

わずか7年で1セント以下から1万ドル以上に急騰

ビットフライヤー、ビットポイントなどの仮想通貨取引所に口座を開けば、誰でも売買ができ、その取引が急拡大している仮想通貨。代表格であるビットコイン(BTC)の価格は現在1BTC=1万6000ドル前後で推移している。BTCが世界で初めて使われたのは2010年5月22日。米国で1枚・25ドル相当のピザ2枚を、1万BTCで決済した。つまり、そのときの1BTCは「50ドル÷1万BTC」で、1ドルの100分の1の1セントにも満たない0.5セントでしかなかったわけだ。

この仮想通貨については、新興国での需要が増えている。たとえば中国では政府による資本規制を嫌った富裕層の海外送金での利用が目立つ。仮想通貨は銀行口座を介さずにネット上で自由に動かせ、送金も24時間可能で、かつ手数料も安いからだ。大勢海外へ出稼ぎに出るフィリピン人労働者の間でも、自国への送金に便利とあって仮想通貨の需要が増えている。

一方、17年4月に日本で資金決済法が改正され、仮想通貨の法的な定義が明確化。仮想通貨の「取引所」に登録制を導入するなど利用者保護も整備されたことで、日本人による買い人気が高まり、1BTC=1000ドル前後だった価格が、現在の水準まで一気に約16倍も上昇した(図参照)。

しかし、注意しておきたい点がある。BTCをはじめとする仮想通貨は、その名のとおり仮想空間で取引される通貨で実体がなく、国が信用を保証する円やドルなどの「法定通貨」とは根本的に違う。また、株式や債券とも異なり、会社や国の資産という価値の裏づけがなく、財務指標などを用いたファンダメンタルズ分析が通用しない。その結果、フェアバリュー(適正価格)を計算できない。つまり、1BTC=1万6000ドルという価格が、割高なのか割安なのかを、誰も判断できないのだ。

変動率が高く、基本「順張り」で

現在のBTCの価格は単純にいえば人気投票の結果であり、人気が続いている間は上がるが、人気がなくなるとすぐに急落する。実際、17年9月に中国政府が仮想通貨による新しい資金調達法である「ICO」を禁止する報道がなされた途端、約20%も暴落した。

こうした値動きの激しさから、米国の投資銀行でも仮想通貨に対する見方はビジネスチャンスととらえる積極派と、実体のないことに危うさを感じる懐疑派に二分される。後者の筆頭、JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は17年9月、「BTCは詐欺行為」と発言して注目を集めた。とはいえ、冒頭で触れたように新興国を中心に、仮想通貨に対する実需は今後も増える見通しだ。それに伴いペースはともかく、価値も基本的に上昇すると予想される。

では、BTCはいつ買ったらいいのか。BTCのような価格の変動率が高い金融商品に対するスタンスは、基本的に「順張り」というのが常識だ。価格の水準にかかわらず、売りより買いの勢いが増し始めたら、その流れに素直に乗る。それには日々の価格と取引量を常にチェックし、相場の流れの変化に敏感になっておく。

しかし、BTCは投資ではなく投機と考え、失ってもいい余裕資金をあてたい。また、BTCを含めて仮想通貨は数千種あるといわれる。流動性のあるものを買わないと、売りたいときに売れなくなるので要注意だ。さらに、仮想通貨は詐欺事件が起きやすいため、金融庁に登録した仮想通貨交換業者であることを確認したい。

真壁昭夫(まかべ・あきお)
1953年、神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院(修士)卒業。みずほ総合研究所の主席研究員、信州大学経済学部教授などを経て、法政大学大学院政策創造研究科教授に。 

(構成=田之上 信 撮影=砂壁秀俊)

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