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「南北朝鮮問題で炙り出される米中韓外交と日本」 中華思想三国と一線を画すとき― - 屋山太郎

 北朝鮮の核・ミサイル問題はトランプ米大統領の“戦争”を賭けた強気によって事が収まる様相になってきた。収まらなければ北への経済制裁を限りなく続ける方向で国際社会は固まっている。米朝間でまとまれば日本の出番はなくなり、拉致問題は置いて行かれると懸念する声がある。米国が核廃絶と長距離ミサイルの廃絶を優先して、拉致と中距離ミサイルの廃絶を置き去りにする可能性は否定できない。

 しかし北が核廃絶とミサイルを放棄するのはまともな経済活動に入りたいからだ。その時、資金は誰が負担するのか。中国でもなければ韓国でもない。韓国に経済協力資金を出したような形で北に援助ができるのは日本だけだ。拉致問題を頬っ被りすれば北朝鮮の再出発の資金をどこから得るのか。

 協力資金がいくらになるのかは相手の出方にもよるが、この際、日本は中国、韓国、北朝鮮との付き合い方を根本的に変えるべきだ。朝鮮・中国史の権威者である古田博司氏によると、この三国は共に中華思想を抱き、日本を「東夷」と見ている。東夷とは東にある滅ぼすべき国ということだ。

 三国はその東夷に一度も勝っていないことが、民族的劣等感の根元にあるという。日本が負けたのは蒋介石であって、八路軍ではない。中国の共産党はその蒋介石を倒して中国の主になった。北朝鮮の金日成は日本軍が余りに強いので北東のロシア領との間を彷徨っていただけだ。韓国は戦勝国の列に並ぶことができずに独立した。のちに独立の証として竹島を占拠した。

 韓国は米韓同盟によって辛うじて西側の地位にとどまった。朴正煕大統領が壮大な国づくりに取り掛かったが、ここ50年の歩みを見ると中国の属国時代に逆戻りしつつある。韓国民に最も深く浸透しているのは儒教であり、中国人が儒教(陽明学)を捨てたのを見て、朱子派の儒教の元祖を名乗るようになった。

 古田氏によるとその儒教は人為強制的で直接、身体に暴力の及ぶ思想教化であり、排他的な社会改造だったという。突然、捕縛吏がやってきて「親の3年の喪に服していない」と言って棍棒で打ち据えられるという。商人は俗人であるとみなされ弾圧された。仏教を否定して僧侶を山に追いやり、寺も壊した。

 職業差別は今も続いており「サムスンにあらずんば人にあらず」という観念が抜き難いという。古田氏によると、韓国人の民族行動パターンは「形状記憶合金」のように限りなく李朝に戻っているという。

 朴槿恵大統領のイガンジル(他人の悪口を言う)には辟易したが、彼女にとっては自らの正当性を主張するために必要なのである。

 米国が米韓同盟を破棄すれば、朝鮮半島は中国の属国に戻るだろう。いま資本主義経済体制と社会主義経済体制が激しい摩擦を起こしている。日本は今後、中国、朝鮮半島とは一線を画す付き合い方を考え出す必要がある。

(平成30年5月2日付静岡新聞『論壇』より転載)

屋山 太郎(ややま たろう)
1932(昭和7)年、福岡県生れ。東北大学文学部仏文科卒業。時事通信社に入社後、政治部記者、ローマ特派員、官邸クラブキャップ、ジュネーブ特派員、解説委員兼編集委員を歴任。1981年より第二次臨時行政調査会(土光臨調)に参画し、国鉄の分割・民営化を推進した。1987年に退社し、現在政治評論家。「教科書改善の会」(改正教育基本法に基づく教科書改善を進める有識者の会)代表世話人。
著書に『安倍外交で日本は強くなる』『安倍晋三興国論』(海竜社)、『私の喧嘩作法』(新潮社)、『官僚亡国論』(新潮社)、『なぜ中韓になめられるのか』(扶桑社)、『立ち直れるか日本の政治』(海竜社)、『JAL再生の嘘』・『日本人としてこれだけは学んでおきたい政治の授業』(PHP研究所)など多数。

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