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国民と共に歩まれた天皇陛下の30年 平成も残り1年、竹田恒泰氏と「象徴天皇」を考える(1)

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 来年4月30日に退位される天皇陛下。1990年、日本国憲法下で初めて天皇に即位され、以来30年間、「象徴天皇」として歩んでこられた。

 大日本帝国憲法においては、天皇は元首であり統治権を総攬(=統合し掌握)、陸海軍を総帥すると規定され、政治的権能を有する存在だった。これに対し日本国憲法第1条には「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」と書かれている。この"象徴"というこの言葉は、GHQが提示した草案に記された"Symbol"に対し、当時の日本では馴染みが薄かった言葉を当てたものだ。



■「行動あってこその象徴とお考えになっている」

 元宮内庁職員で皇室ジャーナリストの山下晋司氏は「連合国側としては日本の統治機構を変えたかったが、天皇を廃止しては国民をまとめていくのかが難しくなるだろうと考え、違う形で残すことを考えた。日本人の中にも"シンボル"という概念はあったので、一方的に押し付けられたというものではない。皇后陛下もご即位20年の記者会見で、中学校に入ったばかりだったが、意味の深そうな言葉だと思ったとお話されている。ただ、具体的にそれがどういうものかというのは、当時も今も、多くの国民が分かっていないのではないか」と話す。

 "象徴"の意味について、天皇陛下はご結婚50年の記者会見で「象徴とはどうあるべきかということはいつも私の念頭を離れず、その望ましい在り方を求めて今日に至っています」、2016年8月にも「日本国憲法下で象徴と位置付けられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました」とお話されている。即位の礼の翌年には、天皇陛下の考える"象徴"の在り方が、これまでにない形で国民に示された。

 長崎県の雲仙・普賢岳で噴火災害が発生、大規模な火砕流で43人が死亡、1万人以上の住民が避難所生活を強いられる中、天皇・皇后両陛下はできるだけ早く困難の中にいる人々を見舞いたいと、一般客と同じ航空機で長崎県に入られた。危険を伴う被災地の訪問。避難所を訪れた陛下は、板張りの床にスリッパも履かずに膝をつき、被災者と同じ目線で言葉を交わされるという、誰もが予想しなかった行動に出られた。

 この時のことについて、皇室ジャーナリストの神田秀一氏は「天皇という立場の人がなんでそんな恰好までしないといけないんだ、と言う人も当初はいた」と振り返る。しかし両陛下は、その後も災害の度、被災者に声をかけて回られた。

 「天皇という生身の人間を通して、国民が国を感じる。だから陛下は行動あってこその象徴とお考えになっている。象徴という"器"があって、そこに陛下がお入りになるというよりも、お身体で現すもの。だからこそ、それが難しくなったら、次に譲るべきだというお考えにつながってくる」(山下氏)。

■「姿形のあるものを見た時に、姿形のないものを感じること」

 陛下が大切にされたお務めの一つに、戦争で犠牲になった人への慰霊がある。「戦争は昭和20年の8月まで続きました。私は戦争のない時を知らないで育ちました」と、国内外で"慰霊の旅"を続けて来られた。

 とりわけ沖縄には何度も足を運び、歴史に向き合われてきた。その数はなんと11回にも及ぶ。1975年の訪問では、火炎瓶を投げつけられるという事件にも見舞われたが、その後の日程を変更することなく、遺族との面会を果たされた。アメリカの潜水艦の魚雷で沈められた対馬丸の生存者、上原清氏と面会された際には、予定時間を過ぎても真剣に話を聞かれていたという。「宮内庁の係が『もう時間がないですよ』とおっしゃられても、陛下は関係なく私に向かって色々と話されるので、これはもっとお話しないといけないと思った」。

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