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北朝鮮は核の放棄に向かうだろう

いよいよトランプ大統領と金正恩委員長のトップ会談が開催が間近に迫ってきました。場所は板門店だとニュースが流れています。さて、北朝鮮が核を放棄するのか、いや時間稼ぎを狙ったもので核の放棄はしないといった読みが交錯しています。どうなるのでしょうか。

このトップ会談で、米朝がどの着地点で合意し、実際にどうなっていくのかを考えるときに、思い込みを持たずに、どのような可能性があるのかを探ってみると、案外着地点が見えてくるように思います。素直に考えれば、北朝鮮は核を放棄する可能性が高く、あとは核放棄が決まった時点で、外交の焦点は、状況がどう変化し、拉致問題を抱える日本がどう動くべきかを決める段階に入っていくのではないでしょうか。

最悪は、過去に北朝鮮がつねに裏切ってきた、だから今回も同じで、時間稼ぎを狙ったものだという結論づけです。これがもっとも無難な見方のように見えて、警戒すべきだという結論だけが導かれ、変化の可能性に目をそむけ、いっさいリスクをとらないほうがいい、つまり何もするなということになってきます。日本の活力が削がれてきたのは、こういったリスクから目をそらす態度がまかり通ってきたからではないでしょうか。

まず、北朝鮮が核を放棄しないという選択はありえるのかです。

ありえるとしても、極めてその可能性は低いと思えます。

第一に、トランプ大統領が対北朝鮮政策の過去の失敗を念頭に置いて交渉にあたるからです。しかもタフで、手強い交渉力を持っている大統領だということを金正恩委員長が理解していないとは到底考えられません。

第二に、核を放棄しなければ経済制裁がさらに強化され、また軍事圧力が続きます。そのリスクを北朝鮮がとるのかです。しかもピンポイントであっても、軍事攻撃の口実を与えることになります。それがどうエスカレートしていくのかもわかりません。軍事力では圧倒的に劣り、経済力のない北朝鮮は、まともに戦争を継続する能力もありません。

第三に核をもつのは、米国からの軍事的脅威に対抗することと、南北統一のためにプラスになると考えるからですが、韓国とは段階的に統一むかうことで一致し、さらに米国との間で平和条約が結ばれれば、脅威がなくなります。

では対米、対韓国で北朝鮮が核武装を継続する必要がなくなったにもかかわらず、核放棄をしないとすれば、それはひとえに国内問題となってきます。核・ミサイル抜きに金正恩は、国内を統治し、体制維持をはかることができるのかです。核を放棄したリビアでは内戦が起こり、カダフィー大統領は殺害されてしまいました。

このリビアの結末があるから、北朝鮮は核の放棄ができないという見解が多いのですが、それも、そうかもしれないというだけです。

北朝鮮で内戦が起こるとすれば、北朝鮮軍によるクーデターが起こることでしょうが、クーデターを成功させ新しい体制を維持するためにはそのクーデターを支援する国が必要になってきます。資金は金正恩が握っているからです。中国は北朝鮮の不安定化を嫌います。平和条約を結べば米国も半島の安定が望ましいはずです。

軍産共同体が、なにかの工作を行い、内戦を誘発させるのでしょうか。あるいはロシアが内戦を仕掛け、半島支配を狙うのでしょうか。

そして北朝鮮は、米国、韓国、中国、日本と安定した関係を持続できれば、安く、質の高い労働力を供給できる生産市場として、北朝鮮経済が急成長することは目に見えています。高い経済成長が実現されれれば、独裁国家であっても体制は安定します。

こう考えていくと、北朝鮮は核を放棄し、米国、また中国の保護下で、さらに韓国や日本の協力や援助を得て、経済を立て直すという選択がもたらす利益と、核を持ち、外圧の脅威に耐え続けることで得られる利益の差は大きく、焦点は、トランプ大統領が、金正恩体制の持続をどのように保証するのかにかかってくるということになってきます。

そしてトランプ大統領は、9月の中間選挙を考えれば、歴史が動いたと世界が絶賛する成果を米朝会談でつくりたいはずです。このブログで、3月にいちはやくトランプ大統領の脳裏にはノーベル平和賞受賞があるのではないかと指摘しましたが、文在寅大統領が「ノーベル平和賞はトランプ大統領に」と発言し、その現実性が高まってきています。おそらくトランプ大統領のモチベーションがさらに高まってきているのでしょう。

大西 宏のマーケティング・エッセンス : トランプ大統領の脳裏にはやノーベル平和賞? : 


もちろん、人間が決めることは不確実で、かならずしも合理的な選択をするとも限らず、先のことはわかりません。まさかという不測の事態もありえます。なにかをするリスクもあれば、なにもしないというリスクもあります。

ただ、リスクから逃げ、日本がなにもしないことを正当化する論調は、日本の国益を大きく損ねます。日本は、政治家や官僚、また古い産業が、新しいことにチャレンジするリスクを取らず、いやむしろリスクにチャレンジする芽を摘み取り、過去を踏襲することが無難だとする老人体質にしてしまったことで日本の活力を削いできました。

北朝鮮問題でも、同じ轍を踏むのか、むしろ北朝鮮が核放棄した場合に、日本がどう動き、どのような外交展開をはかることが日本の利益につながるのかを考えるほうが生産的ではないでしょうか。

そして、米朝会談の結果によっては、安倍政権がこれまで放棄してきた拉致被害者の救済にどう手を打つのかが問われてきそうです。

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