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「自衛官罵声」の原因は何だったか

 民進党参議院議員の小西洋之氏が、三等空佐の幹部自衛官から「おまえは国民の敵だ」と罵声を浴びせられたというので問題になっている。統合幕僚長は「不適切な発言」として謝罪し、問題の自衛官の処分も検討するということだ。東京新聞は「問われる文民統制」という見出しで、かなり大きな記事を出し、半藤一利氏による「戦前の軍隊思わせる」という感想を添えている。

 表に出ているニュースの骨子はそれだけなのだが、この自衛官に、そこまでの「怒り」を感じさせたものは何だったのか、その原因を考えてみたくなった。自衛隊員の日ごろの働きぶりについては、東日本大震災後の取材旅行で目撃して以来、私には良い印象しか残っていない。組織としての力強さもそうだが、たった一人で草むらの「捜索」をしている隊員を見たこともある。被災者の遺体でも遺品でも何でも、はがき一枚、写真一枚でも回収したいということだった。

 自衛隊についての最近の話題は、イラク派遣隊の日報問題だった。この日報の存在自体が、あるのかないのか曖昧だった上に、一部が出てきたらその内容が真正かどうかで、国会では議論が続いていた。小西議員は野党だから、少しでも疑念があれば、食い下がって説明を求める立場だったろう。その姿が、この一本気な自衛官には、「あることないこと言い立てて、我々のやることに文句をつけるやから」という印象になり、それが「おまえは国民の敵」という言葉になったと想像する。そこには「正義の味方」の高揚感もあったかもしれない。

 しかし、勝手に「国を背負った」自負心を発揮して貰っては困るのだ。これこそが、半藤氏も言う「戦前の軍人の思い上がり」そのものだからだ。国をあげて「東洋平和のための戦争」へと傾斜していた当時、立ち止まって和平の道を模索する人たちは、彼らにとって「国賊」でしかなかったのだ。そして「一億一心」で統一されてしまった末に何が起こったかは、今なら誰でも知っている。

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