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国際政治学講義③:(1)国力とは③

(3)経済力

 国力の基本は経済力である。国の富を増やすことで、国民の生活も豊かになり、飢餓で人口が減少するということもない。武器を作ったり、他国から購入したりするのも経済力があってはじめて可能となる。

 北朝鮮のように、経済力に見合わない過大な軍事力を保有しようとすれば、民生を犠牲にせざるをえず、核兵器やミサイルの開発の裏で国民は困窮している。

 日本やドイツやイタリアが、敗戦国であるにもかかわらず、第二次大戦後に目覚ましい経済復興を遂げたのは、戦勝国によって巨大な軍事力を保持することを禁じられたからである。この皮肉に着目して、私は「敗戦のススメ」などという冗談を言うことがある。

 経済力を測る指標としては、名目国内総生産(GDP)がある。2016年のデータで、世界のランキングを見てみよう。①アメリカ(18兆6245億ドル)、②中国(11兆2321億ドル)、③日本(4兆9365億ドル)、④ドイツ(3兆4792億ドル)、⑤イギリス(2兆6292億ドル)、⑥フランス(2兆4665億ドル)、⑦インド(2兆2638億ドル)、⑧イタリア(1兆8507億ドル)、⑨ブラジル(1兆7986億ドル)、⑩カナダ(1兆5298億ドル)となっている。

 経済先進国のクラブであるG7の国々は、すべて上位10カ国に入っている。さらに新興経済発展諸国のグループであるBRICSに属する国々については、ブラジルが9位、ロシアが12位(1兆2832億ドル)、インドが7位、中国が2位、南アフリカが40位(2949億ドル)である。

 日本は、アメリカに次いで、GNPで世界2位であったが、中国に追い抜かれて、現在は3位の地位である。シェアで見ると、アメリカが世界のGDPの約24%、中国が約15%、そして日本が約6%である。1970年代後半にはアメリカが2割、日本が1割で、「1割国家」日本と呼ばれていた。

 ところが、中国の台頭によって、日本の相対的地位は低下している。これに対して、戦後60年代までは35%のシェアを誇っており、その後シェアを減らしたアメリカは、近年むしろ相対的地位を回復している。

 しかしながら、これまで見てきた指標で言えば、日本は人口で世界10位、軍事力で7位、経済力で3位である。この3つの指標だけを取り上げても、日本はれっきとした世界の大国である。

 ところが、日本人はそのことを正確に認識していないし、マスコミを中心にして自虐的な傾向が強く、小国とは言わないまでも、大国などと思っている者は多くない。世界からは、軍事力を含め、その国力にふさわしい貢献を求められるのは当然である。傲慢になる必要はないが、せめて正確な自己認識だけは不可欠である。

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