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官邸一強の背景にあるもの その2 - 佐藤敏信(元厚生労働省勤務・久留米大学教授)

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―内閣人事局だけが原因じゃない、財務省の忖度―

◆はじめに

筆者は昨年、国家公務員の側から見た「官邸一強」の背景について書いた。その大略は、①2004年の小泉政権下の三位一体改革で、補助金の配分という、力の源泉の一つを失ったこと、②官邸が官僚の人事に切り込んだこと、とりわけ内閣人事局を創設したことである。

本稿では、このうちの②について追記してみる。内閣人事局が指定職候補者やその部下たちに、相当の意識・行動の変容を起こしたことは疑いようもない。森・加計を巡る各種マスコミの解説の中でも、このことが強調されている。

◆再就職等の監視

昨年の時点で筆者は触れなかったが、実は、国家公務員が再就職に至るまで「監視されている」ことも重要なポイントであろう。内閣人事局創設の陰であまり話題にはなっていないが、既に2007年の国家公務員法の改正により、内閣府本府に「再就職等監視委員会」が創設されている。  

内閣府のサイトによれば「再就職等監視委員会は、中央人事行政機関である内閣総理大臣の権限委任を受けて、 再就職等規制(他の国家公務員・元国家公務員の再就職依頼・情報提供等規制、現職国家公務員による利害関係企業等への求職活動規制、再就職者[元国家公務員]による元の職場への働きかけ規制)の監視機関」とある。

同時に、再就職情報の届出制度もある。管理職職員の経験がある者は、離職後2年間の再就職について、内閣総理大臣(内閣人事局)へ届出をすることとなっている。

このように、官邸は、一定の職位にある者の人事・昇進に目を光らせ、その後の再就職に関しても事細かに要件を設定し、監視の目を光らせているのである。

◆細る再就職先

さて、こうした組織の創設と並行して、彼らの「行先」の一つも塞がれてしまったのである。読者諸氏の記憶には残っていないかもしれないが、2008年12月に施行された公益法人改革が関係している。解説をしておくと、それ以前は、省庁その他の公的部門だけでは完結できないような業務を関連の財団法人等に委ねる。そしてそのための補助金を支出する。さらに、必要に応じて退職する国家公務員が、理事、事務局長に就任し、その業務を支援するという構図であった。そのため、しばしば非効率な運営がなされているとの指摘があった。

同改革によって、省庁からの補助金の縮減あるいは廃止が進められ、その所管もそれまで関係各省庁の各部局課にあったものが一括して内閣府に移管された(主務官庁制廃止)。これによって、多くの財団は運営に困窮し、省庁からの退職者を受け入れる余裕もなくなった。こうして各部局課の影響力も急速に低下するか、霧消した。

そうなると、国家公務員たちの再就職先は、消去法で考えて大学や研究機関しかなくなる。それもキャパシティーに限りがあるから、いずれは飽和する。余談だが、文部科学省の場合は、この大学等が関係企業に該当するから、一定の年齢以上の現役職員の心中は察して余りある。

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