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「未成熟」が晒される時代

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イメージ図 出典 Pixabay photo by composita

為末大(スポーツコメンテーター・(株)R.project取締役)

【まとめ】

・有名な人にも下積みはある。

埋もれてしまう才能が発掘されるという点で現代は素晴らしい。

・しかし、未成熟段階が全部さらされているのが昔とは違う。

子供の頃、テレビで芸能人の人の昔の映像というのをやっていて、ああこんなに有名な人も昔は下積みがあったんだなと思った覚えがある。VTRが終わって、本人が未成熟な時代を恥ずかしそうに話していた。

スポーツ選手のセカンドキャリアを今まさに自分が生きているけれども、現役時代を振り返ってなんともアンバランスだったなと思う。勝負にさらされそこは卓越しているのだけれど、世間一般のことをあまり知らない。最近、レオンという映画を久しぶりに見て、現役時代の自分とちょっと似ているなと思ったのは、主人公のレオンがプロの殺し屋として生きながら、日常が子どもっぽく描かれているところだ。死闘を演じた選手が、選手村でゲームに夢中になりながらお菓子を食べている風景はよくある。

最近はスポーツ選手だけではなく、世の中に出て行くツールがたくさんあるから同じような現象がスポーツ以外でもあるように思う。昔であれば下積みは知る人ぞ知る世界で行われ、だんだん成熟していきながら有名になる。もちろん昔も若くして成功したりとあったのだろうけれども、今よりは数が少なかったのではないか。

埋もれてしまう才能が発掘されるという点で、素晴らしい時代だなと思う。一方で、未成熟なままいきなり世にでてそれがずっと残って行くという点で難しさも感じる。人間は成熟するプロセスでどんどんと変化していくのだろうけれども、その未成熟段階が全部さらされていることは何か昔とは違ってしまったように感じる。それも魅力なんだよという話かもしれないが。

最近はずっと、途中の話をしているように感じている。自分なりの考えがゆくゆくはまとまりそうなのだけれど、今はその途中で、途中なんだけど喋らずにはいられないからしゃべっているという感じに近い。

(この記事は2017年8月19日に為末大HPに掲載されたものです)

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