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天皇陛下が執筆陣に参加した6900円魚類図鑑が異例のヒット


【陛下はハゼの項目を4ページ執筆された(時事通信フォト)】

 硬派な図鑑が、発売2週間で増刷する異例のヒットとなっている。3月20日発売の『日本魚類館』(税抜き6900円)である。

 研究者や愛好家向けに国内約1400種類の魚類を紹介するその内容とともに話題を呼んだのが、執筆陣に天皇陛下が参加していることだ。担当テーマはハゼに含まれるチチブ属についてである。同書の編者・監修者で、陛下への執筆を依頼した京都大学名誉教授の中坊徹次氏が振り返る。

「一昨年6月、皇居内の生物学研究所で、直接お目にかかってご執筆を依頼いたしました。依頼の理由はただひとつ、チチブ属の魚については陛下が日本で一番お詳しい方だからです。かつて非常に興味深い論文をお書きになっていたので、“ここは陛下しかいない”とお願いした」

 それから約1年後、陛下から侍従を通じて「原稿が形になりましたので」との連絡があったという。

「原稿はワープロ打ちでした。陛下とは計8回、直接お目にかかって議論しながら推敲を重ねましたが、他の著者と比べて特別多いというわけではありません。陛下からも色々とご提案をいただき、不要と思われる部分を削除したり、陛下が『つけ加えたい』と仰った部分などを加筆しながら原稿を詰めていきました」

 図鑑が出来上がって皇居に献上した際、天皇陛下が最も喜ばれたのはそれぞれの魚の「うきぶくろ」の違いが詳しく写真で表現されていたことだという。

「陛下はお若い頃、チチブと、その近縁種であるナガノゴリ、ヌマチチブの泳ぎ方に違いがあることにお気づきになり、それが“うきぶくろの違い”によるものだと分析されました。当時は今のような撮影技術がなかったので、陛下はレントゲン撮影をもとにうきぶくろの比率を割り出すなど、苦労を重ねてデータを算出されていた。図鑑では陛下のアイデアをもとに、その違いを写真で示すことができたのです」(中坊氏)

 図鑑を届ける際に同席した版元の北川吉隆・担当編集も「まさか天皇陛下にご執筆いただけるとは思ってもみませんでした。光栄の極みです」と語る。ハゼに向き合う姿はまさに「一学者」だったのだ。

※週刊ポスト2018年4月27日号

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