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東京ディズニーランド三十五年目の混乱

35th Happiest Celebration開催

東京ディズニーランド(TDL)は昨日(415)から一年弱の期間で「Happiest Celebration!」と称して開園三十五周年記念イベントを開始した。

すでに一般報道でもなされているように、現在TDL2020年に向けて大リニューアル中だが(トゥモローランドの一部がファンタジーランドへと変更され、美女と野獣及びベイマックスのアトラクション等が増設される)、今回のイベントはその繋ぎ、近年の入場者数頭打ちへの喝入れといった側面もあるだろう。

現在、入場者数は東京ディズニーシーと併せ年間3000万人程度前後。これは人気が低迷したと言うよりもキャパシティを超えてしまったためといわれている。またディズニー=混雑というイメージが定着し、その結果、顧客満足度が大幅に低下している。

だが、こうした停滞、そして顧客満足度の原因を「混雑」の一言で表現するのは少々無理があるような気もする。むしろ、それはパークの混沌にも求められるのではないか。TDLはこの二十年間でテーマパークというコンセプトがどんどん崩壊し、一般には統一したイメージを掴みづらくなっている。

その状況は、いわばUSJ化。なんとももはやごった煮的で、ひたすらにディズニー印の情報がばらまかれているという状態になっているのだ。

さて、今回の目玉は新パレードのドリーミングアップとイッツ・ア・スモールワールドのリニューアル。僕は一昨日(14日)、先行のお披露目に招待され、この二つを見る機会を得たのだが、やはりこれらも混沌という言葉の文脈にあるものだった。

ごった煮のパレード・ドリーミングアップ

まず昼のパレード・ドリーミングアップ(ただし当日は夜からの招待だったので昼間のパレードが午後8時から開始された)。フロートの数は10とちょっと少ない。

しかも一つおきにビッグ5などのメインキャラクターのみが乗った小さなフロートが続く。各フロートのテーマはファンタジア(ミッキー)、ふしぎの国のアリス、ピノキオ、プリンセス、美女と野獣、くまのプーさん、メリーポピンズ&ピーターパン。

フロート間の関連は不明、そしてこれらフロートの間に前述したキャラクターの小さなフロートが挟まる形になっている。全体の基調を整えているのはこの小さなフロートで、すべて映画「ファンタジア」の魔法使いの弟子に登場する箒の形をしている。

キャラクターの数(着ぐるみのもの)は56〜7程度だろうか。カリフォルニアのパレード(サウンドセイショナル)の倍以上だ。そしてフロートそれぞれについてもテーマは少々逸脱している。

最も甚だしいのが最後のフロート(スポンサーのフロートの手前)で、ここではメリーポピンズとピーターパンが同居している。

メリーポピンズ、バート、ペンギンといったキャラクターの後ろにピーターパンとウエンディがいるという状況。この二つをかろうじてつなぐのは設定がともにロンドンであることだけ(ビッグベンつながりと言ったところか)。

そして最後にアラジン、ジャスミン(アラジンのプリンスとプリンセス)、シンデレラのネズミ(ジャック、ガス、パーラ)、マックス(グーフィーの息子)、クラリス(チップとデールの恋人?)、クララベル・カウ、ホーレスホースカラー(1930年代に登場した牛のキャラクター)が何の脈絡もなく練り歩く。まさに混沌といった状況だ。

制作側は「パレードを見る人の想像力をかき立てる」ことをねらいとしているしているらしいのだが、僕にはバックグラウンドストーリーの詰めが甘いだけにしか思えなかった。

キャラお披露目アトラクション化したイッツ・ア・スモールワールド

イッツ・ア・スモールワールドのリニューアルは、これまであった世界の子どもたちの人形の中にディズニーキャラクターを子ども化(TSUM TSUM化的なそれ)させて、あちこちに配置したことだ。

アリス、ラプンツェル、メリダ、シンデレラ、リロ&スティッチ、モアナ、ピーターパンとウエンディ、三人の騎士のキャラクター(スリーアミーゴズ=ドナルド、ホセ・カリオカ、パンチータ)、ライオンキングキャラクター(シンバ、プンバァ、エド)などが登場する。

このやり方はすでにカリフォルニアでも採用されていて、たとえばリロ&スティッチはほぼ同じものだが、全般的にTDLの方がディズニーキャラクターを強く押し出しいる。

そのため子どもたちが世界の言葉で「小さな世界」を歌い平和や幸せを奏でるというテーマが後退し、ディズニーキャラクター萌え的なイメージが前面に現れた。事実、ゲストたちはキャラクター捜しに夢中で、もはやアトラクションの世界観にあまり関心はないようだ。

ストーリーも、もうここにはない。1960年代にこのアトラクションを企画・監修したディズニーレジェンドのメアリー・ブレアやマーク・デイビス、アリス・デイビス、そしてウォルト・ディズニーがこれを見たらさぞや嘆いたことだろう。

再び求められる世界観?

そもそもディズニーランドはテーマパークであり、その世界観を見せること、その世界観を個別の物語の中で具体的に示すこと、さらにはこれらを彩る存在としてアトラクションの演出やキャラクターの存在があった。

しかしTDLが推し進めているのは物語=ストーリーなき演出、キャラクターを突出させるスタイルだ。その典型が東京ディズニーシーのメインキャラクターのダッフィーだが、いわば既存のキャラクターがどんどんダッフィー化、言い換えれば「萌え要素化」しつつある。

このごった煮でカオス的な状況を推し進めるパークにかなりの人々が嫌気がさしているのではないか。ディズニーをテーマパークと捉える人々にとっては膨大な情報が脈絡無くちりばめられているパークは処理不可能なものであり、不安に陥る可能性が高いからだ。

ただし、はじめからごった煮と捉えている人々(とりわDヲタと呼ばれているディズニーオタクの人々)にとっては都合のよい存在だが。そして、はじめからごった煮と捉えているのなら、実はジョーズとスパイダーマンとスヌーピーと進撃の巨人とハリーポッターが同居する究極のカオス=USJの方が、その先を行っているわけで、却ってそちらの方が魅力的なのではなかろうか。事実、USJは右肩上がりの成長を続けている。

ひょっとすると東京ディズニーランド、いやディズニーシーを含めた東京ディズニーリゾートはリニューアルしても顧客満足度を高めることが出来ず、次第に入場者数を減らす……こんなことが起こるかも知れない。もちろん、結論はリニューアルがコンプリートする2020年以降にわかるのだろうけれども。

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