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【読書感想】小保方晴子日記

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小保方晴子日記 (単行本) 小保方晴子日記 (単行本)

Kindle版もあります。

小保方晴子日記 (単行本) 小保方晴子日記 (単行本)

内容紹介
精神科入院、博士号剥奪、手記の執筆……
STAP騒動を経て、壮絶な日々をどう生き延びたのか。
理研退職からの650日間を綴る。 〈『婦人公論』好評連載をもとに、その後の日々を大幅加筆〉

『婦人公論』で話題を呼んだ瀬戸内寂聴さんとの特別対談を再録!

 STAP細胞に関するさまざまな出来事は、僕にとっても、印象深いものでした。若くて感じの良い、割烹着姿の女性研究者が注目されているのをみて、「ああ、世の中には、若くして、こんなふうに『世界を変える』ような仕事をしてしまう人がいるのだなあ」と、称賛と羨望と嫉妬が入り混じった気持ちになったのですが、その「ヒロイン」は、捏造疑惑で「科学の敵」として、大きなバッシングを受けることになりました。

 僕が知るかぎりの証拠や、追試でSTAP細胞の再現性が確認できないことを考えると、小保方さんの論文に書かれていたことは、科学的な事実とは認めがたいのは事実です。

 しかしながら、それが意図的になされたものなのか、なんらかの偶然で起こってしまったことに対して、過剰に信じすぎてしまったのか、小保方さんひとりが責を負うべきなのか……いろんな「真実」はわからないまま、「小保方晴子というひとりの女性への興味」だけが残ってしまったようにも思われます。

 いかにも「悪いことをしそうな人」であったら、みんなけっこう「ああ、そんな感じだよね」って言って、納得できたはずです。ところが、小保方さんには、「ある一定の割合の人は、彼女を信じたくなってしまうようなオーラ」みたいなものがある。  

 あのSTAP細胞事件というのは、科学研究の世界が潜在的に抱えていた問題をあらわにしたのです。
 「研究者は、自らの良心に基づいて正しいデータ、正しい実験をしている。もちろん、結果的に間違った結果を発表してしまうことはあるけれども、それはあくまでも『過失』にすぎない」そういう前提にしておかないと、科学研究には、コストがかかりすぎるのです。

 『ネイチャー』や『サイエンス』というような、論文が載ることで科学の世界に大きな影響を与え、研究者としての評価が高まるような雑誌で、投稿されてくる論文の元になるデータのひとつひとつが真正なものかどうか検証していたら、ものすごい時間と手間がかかってしまいます。

 実際は、不正はやろうと思えばできるし、それを論文の段階で完全に見抜くのは難しい。「間違った論文」というのは、今の時代にはじまったことではなく、何かに取りつかれたかのように、捏造論文を発表しまくった人も、歴史上、少なからずいるのです。

 ただ、このSTAP細胞なんていう、応用段階で広く使われることが予想され、みんなが実際にやってみればすぐに「できない」ことがバレるような研究で、そんな不正をするのだろうか?もしやったら、どんな結果になるか、予想がつきそうなものなのに……とも、思うんですよね。本当に、わからない。

fujipon.hatenadiary.com

 前置きが長くなってしまいましたが、この婦人公論に連載されていた小保方さんの日記、僕は読むことに躊躇していたのです。

 これ、本人が書いているのだろうか?
 本当のことが書いてあるのだろうか?

 前者に関しては、校正や修正が入っているとしても、原型は本人が書いたものである可能性が高いと感じました。後者に関しては、正直、読み終えたいまでも、よくわからない。ただ、全部が嘘ではないとは思う。ここには、小保方さんにとっての事実が、そのまま書かれているのではないか、というのが僕の感覚で、日記というのは、それで良いのだろうな、と。

10月3日(土)
 朝から晩まで、理研と神戸の部屋から運ばれてきたダンボール箱の存在が気になる。ダンボール箱を見るだけでも心に拒否反応が出てしまい、目に入らないように別の部屋に置いてあるのに、その部屋から妖気が流れ込んできている気さえするのだ。

 執筆していても集中できず、思いきってダンボール箱を開けた。通勤に使っていたお気に入りの服が遺品のように思える。もう着ることはないだろう。理研からの荷物には、私宛てのハガキや手紙がいっぱいに詰まった大きなダンボール箱もあった。数枚手に取っただけで、死ね、死んで詫びろ、責任を取れ、の文字が見えた。自分の過去がすべて悲しいものに思えて、大勢の人からこんなふうに非難されながら、これから先の人生に耐えていくなんてできるだろうか。

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