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スマートデイズの民事再生「破産を念頭に置いている」

 4月9日東京地裁に民事再生法の適用を申請した(株)スマートデイズ(TSR企業コード:294730672)のオーナー向け説明会が12日、都内で開催された。

 説明会には、スマートデイズの赤間健太代表取締役、前代表取締役の菅澤聡氏のほか、申請代理人の南賢一弁護士(西村あさひ法律事務所)、オブザーバーとして監督委員の清水裕介弁護士(ひいらぎ総合法律事務所)らが出席した。

 平日夜の説明会だったが、「かぼちゃの馬車」などスマートデイズが展開していたシェアハウスのオーナーら130人超が参加。オーナーから破産を求める意見が多く出された。

「あの時は本当に絶望だった」

◇4月12日18時
 説明会に参加するオーナーの一部が会場近くのフリースペースに集まり、質疑内容などの最終確認。

◇18時20分
 オーナーの一人が集まっていた約40名のオーナーに向かって「今日は決戦です。きっちり意見を述べましょう」と声をかけ、説明会の会場に向かった。エレベーター内では、別のオーナーが「(スマートデイズからサブリース賃料の支払い停止を通告された)1月17日を思い出す。あの時は本当に絶望だった」と胸の内を漏らした。そのひと言でオーナーで満員のエレベーター内が重い空気に包まれた。

◇18時40分
 被害弁護団団長の河合弘之弁護士(さくら共同法律事務所)が会場に到着。

◇18時43分
 被害弁護団の紀藤正樹弁護士(リンク総合法律事務所)も会場に到着する。

赤間健太代表(左)と前代表の菅澤聡氏(4月12日)
赤間健太代表(左)と前代表の菅澤聡氏(4月12日)

「破産を念頭に置いた民事再生」

◇19時00分
 定刻通りに説明会が始まった。司会者が式次第の説明を始めると同時に、オーナーから「疑惑の塊でしかない。何が民事再生だ」、「破産しろ」などの怒号が飛び、そのたびに会場は大きな拍手で包まれた。

 最前列に座った被害弁護団の河合弁護士がオーナーらをたしなめ、赤間社長が「多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫びいたします」と謝罪した。

 その後、申請代理人の南弁護士が「スマートデイズとサブリース契約が解除されていない物件の入居者は357名いるが、キャッシュがない中でインフラを維持しないといけない。(民事再生は)スマートデイズを再生させるという趣旨ではなく、これを達成するにはどの手続きがいいのかを検討した」と民事再生を選択した経緯を説明した。また、「疑惑のオンパレードかもしれない。疑惑の解明にはDIP型では難しいのは十分承知している」とした上で、「破産を念頭に置いた暫定としての民事再生だと私個人としては思っている」(南弁護士)と述べた。

菅澤社長の辞任理由

 4月3日、菅澤聡氏がスマートデイズの代表取締役を辞任している。辞任理由について、これまで関係筋は東京商工リサーチ(TSR)の取材に「一身上の理由」とのコメントに終始していた。この点について、南弁護士は「(スマートデイズの親会社である)オーシャナイズの社長は菅澤氏だ。私ども(申請代理人)はスマートデイズの代理人だ。このため、オーシャナイズと対峙しないといけない局面が出てくるかもしれない。そうした中で菅澤氏と折衝するのは納得いただけないので、赤間氏を代表者にした。これは私がアドバイスした」と述べた。

 4月3日付でスマートデイズの代表取締役には赤間健太氏が就任している。だが、4月13日現在の(株)オーシャナイズ(TSR企業コード:296564656)の商業登記簿では赤間氏は同社取締役を兼任しており、両社の利害が完全に断ち切れたとは言い難い。

民事再生後の資金繰り

 4月9日にスマートデイズは民事再生を申請したが、サブリース契約数の減少で賃料収入の低下は続いており、資金繰りがひっ迫している点に変わりはない。「オーシャナイズから700万円DIPファイナンスを受けた。さらに300万円の提供を受ける予定」(南弁護士)であることを明かした。

6億円超の債務超過

 説明会では、2018年3月期の貸借対照表(見込み)も開示された。TSRの調査では、2017年3月期は13億440万円の資産超過だったことを確認している。ところが、2018年3月期は一転して6億44万円の債務超過に陥る。2018年同期の損益計算書の見通しは開示されなかったが、20億円程度の最終赤字になる可能性がある。

 これとは別に連帯保証債務が27億8,780万円あることも説明された。主債務者はオーシャナイズで、借入先はハナ信用組合。会社側の説明によると、2017年7月にオーシャナイズからスマートデイズに対して20億円の出資(資本金10億円、資本準備金10億円組み入れ)がなされたが、このうち15億円をオーシャナイズは東京スター銀行から借り入れ、その後ハナ信用組合に借り換えたという。15億円については保全のためにハナ信用組合が現預金に担保設定しており、2018年3月末時点のキャッシュ総額は膨らんでいる。

周辺会社の動き

◇19時38分
 予定より8分遅れて質疑応答が始まった。質疑応答では、スマートデイズの関係会社に対する質問も相次いだ。

 まず、2月1日にスマートデイズに債権譲渡登記(質権)を設定した企業について(「TSR情報全国版」4月11号で詳報)。菅澤氏は質権を設定したM’s Holding International Corporation(株)(TSR企業コード:297920537)は、「オーシャナイズの株主で、代表はオーシャナイズの監査役を務めていた方。質権実行の意向はなく、解除についてすでに合意している」と述べた。

 また、スマートデイズの創業者や関係会社などに資金が流れたのではないか、との質問も相次いだ。3月27日に「かぼちゃの馬車」のオーナー13名がスマートデイズなどに総額2億円の損害賠償を求めて提訴したが、訴状の中で資金流出先としてA社の名前が挙がっている。この件を念頭に置いた質問と思われるが、赤間代表は「詳細は把握していないが、2016年3月期以前に流れたと認識している」と述べた。

赤間代表「即断できる能力はない」

 質疑応答の終盤、3月27日のオーナー13名がスマートデイズらを訴えた訴訟の代理人を務める加藤博太郎弁護士(わたなべ法律会計事務所)が破産への移行を促すと、赤間代表は「私は入居者保護を優先した。この場で(破産を)即断できる能力はない」と述べた。

 会場の都合で21時に散会したが、多数のオーナーが質疑応答で挙手したものの質問を受け付けられないままだった。

赤間代表、無言で会場を後に

◇21時10分
 赤間代表らが会場を後にした。建物前の路上で、赤間代表に報道陣の取材が殺到したが、赤間代表は終始うつむいたまま無言でタクシーに乗り込んだ。

実態解明は進むのか

◇22時
 説明会に参加した50歳前後のオーナー数名が会場近くの店で説明会を振り返っていた。「かぼちゃの馬車」を1棟所有するオーナーは、「民事再生を選択した理由が入居者の保護だけのように感じた。入居者保護はもちろん大事だが、我々オーナーも被害者だ。被害回復のためには、物件購入のための融資申し込み資料の精査や不透明な資金実態の解明が欠かせない。それには民事再生より(破産)管財人の方が適切だ」と憤りながら話した。

◇23時30分
 閉店時間が迫る中、オーナーの一人が自家用車の売却を検討しているとポツリと漏らした。

 河合弁護士が団長を務める被害弁護団が破産申立の準備する中で、突然降ってわいたように申請された民事再生。被害弁護団にオブザーバーで参加する加藤弁護士は「民事再生は破産潰しだ」と吐き捨てた。加藤弁護士は、その背景を「民事再生の開始決定がなされた場合、訴訟手続きが中断し、破産申立もできなくなる。そうなると責任追及や実態解明が遠のく」と説明する。

 シェアハウスのインフラを維持し、入居者を保護することは重要だ。だが、スマートデイズを巡っては700名を超えるオーナーが多額の債務を負い、サブリース賃料支払いが止まり返済に困窮する事態に陥っている。入居者保護とオーナーの被害回復の両立は可能なのか。

 説明会でオーナーから窮状を訴えられた赤間代表、申請代理人の南弁護士は、民事再生をどう進めるのか。説明会にオブザーバーで参加した清水弁護士と司法判断に注目が集まる。

(東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2018年4月16日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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