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焦点:安川電など好決算に鈍い反応、円高・貿易戦争の懸念が重し

[東京 13日 ロイター] - 安川電機<6506.T>など好決算を発表した銘柄に対し、マーケットは鈍い反応を示している。株価の上値を抑えているのは、円高や貿易戦争への懸念だ。自動化や省力化投資への需要は政治的な変化に左右されないとの見方もあるが、マクロ的な警戒感が重しとなり、これから相次ぐ3月期決算発表を通じた株高への期待感が高まりにくい状況となっている。

<円高への強い警戒感>  

13日の東京株式市場で、安川電機は最初こそ買い気配で始まったものの、初値を付けた後すぐに失速。終値は1.58%安とマイナスで引けた。

同社の2019年2月期業績予想は売上高、利益ともに過去最高を更新する見通し。もともと好業績が予想されていただけにサプライズはなかったが、それでも「ややポジティブな印象」(野村証券の12日付リポート)との声が市場では出ている。

好業績の発表後に利益確定売りが出ることもよくあるが、同社の株価は1月18日の年初来高値から前日12日終値までに約22%下落していた。予想株価収益率(PER)は約24倍と高いが、好業績銘柄の中では特に高いレベルではない。

ネガティブに受け止められたポイントの1つは、想定為替レートだ。同社は今期、1ドル105円で設定。足元の実勢が107円後半であるため円安効果による業績上積み期待が出そうなものだが、市場では100円程度までの円高進行に対し、根強い警戒感があるという。

同社は2019年2月期に14.7%の営業増益を見込んでいるが、市場では「1ドル100円の想定レートで同じ増益率だったら、間違いなく買われていたはず」(準大手証券)との声が聞かれた。安川電の業績と株価の反応は、3月期決算を判断する1つの「物差し」になりそうだとみられている。

<貿易戦争にも懸念>

貿易戦争も安川電の株価を抑えた要因だ。米中間で貿易摩擦が強まっており、中国向けの割合が17年度で2割超と多い同社への影響が懸念されている。

「自動化や省力化投資への需要は労働力不足を背景にした構造的なものだ。政治的な変化があっても大きな影響は受けない」(米系投信のファンドマネージャー)という強気な見方は少なくない。

12日に会見した安川電の村上周二専務も「半導体の製造設備が足らず、どんどん作らないといけない状況にある。この流れも当面続くだろう」と指摘。「中国と米国の貿易関係のリスクでかなり円高に振れてきたが、おいおい解決するだろう。1ドル105円を底に若干円安が期待できるのではないか」と強気な見方を示した。

ただ、市場の懸念も強い。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の投資情報部長、藤戸則弘氏は「中国では1─3月にスマホの出荷台数が、米アップル<AAPL.O>だけでなく現地企業も失速した。自動車販売台数も伸び悩んだ。これらの市場ではピークアウトが始まった可能性がある。米中貿易摩擦がヒートアップすれば、こうした流れが強まりかねない」と話す。

<堅調な世界景気が業績支えるか>

市場全体では、1ドル105円の想定でも18年度の増益は確保できるとの見方は少なくない。三井住友アセットマネジメントのシニアストラテジスト、市川雅浩氏は、主要企業224社をベースに1ドル105円でも5.8%の増益が見込まれると試算している。

強気な見方の背景は、堅調な世界景気。貿易戦争がヒートアップしなければ、財政政策を吹かしている米国経済が成長をけん引し、中国の景気減速も緩やかなものとなって、売り上げ増が円高の悪影響を吸収するというシナリオだ。

国内消費と輸出が緩やかに拡大するという前提では、「会社側の慎重なスタンスを考慮しても、2─3%の増収、5─10%の増益見通しになってもおかしくない」と、みずほ証券のシニアストラテジスト、三野博且氏は試算する。為替が1ドル100円でも、売り上げ増が吸収して収益はとんとんか微増の見通しだという。

ただ、そうした強気な見方とは裏腹に、13日の市場では安川電やファーストリテイリング<9983.T>などの好決算銘柄に対する株価の反応は芳しいものではなかった。日経平均<.N225>はシリア情勢や米保護主義への警戒感後退を背景に100円を超える上昇となっており、相場環境が悪かったわけではない。

貿易戦争や地政学リスクなどマクロの懸念材料が落ち着けば、好業績銘柄が素直に再評価されるのか、確信が持ちにくい相場展開となっている。

(平田紀之 編集:伊賀大記)

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