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財務省忖度論と防衛省面従腹背論は普通に両立する

 日本維新の会の足立議員が、「安倍政権に対する相反する2つの批判 - 問題を解決する唯一の答えは「杜撰さ」 -(http://blogos.com/article/289137/)」という、相変わらずトンデモな論考を書かれているので、あまりにシンプルなその論理の欠陥を指摘させてもらいたいと思います。

 足立議員は上記の論考で、「森友学園の文書改ざんに関連し内閣人事局など政治主導が行き過ぎたという『忖度論』。もう一つは、陸自の日報に関連し政治が監督責任を果たせていないという『面従腹背論』」があるとしたうえで、「政治が強すぎるという『忖度論』と、政治が弱すぎるという『面従腹背論』とは、真逆の論旨で普通は両立しません。」としています。

 しかしながら、まずもって忖度論は財務省の森友学園問題における対応、面従腹背論は陸自日報問題における防衛省の対応ついての議論で、其々問題が別です。財務省は忖度し、防衛相は面従腹背したという事で、二つの異なる問題について原因となっているものが別でも何ら問題はなく、何一つ矛盾していません。この様に、全く無関係な二つの問題を持ち出して、両者に共通する説明がなければいけないなどと言う根拠は皆無で、ここからからして氏の主張は詭弁以外の何物でもありません。

 その上で、そもそも「忖度論」は、単純に「政治が行政に対して強すぎる」と言う問題ではありません。仮に行政が政治のイエスマンであったとしても、政治の意思(若しくは行政が忖度する政治の意思)が「正当」なものであれば、行政は何ら問題なく、ただ単にその正当な政治の意思を適切に実行すればいいだけですので、わざわざ「忖度」などと言う面倒な事をせず、行政は普通に政治の指示をもらい、それを記録に残して、普通に実行します。

 「忖度」は、それが事実かどうかはさておき、①政治は表向きとは異なる「正当でない意思」を持っていると考え、②その政治の意思を実現しなければならないと考えた時に起こります。
財務省の忖度論は、単に「政治が行政(財務省)に対して強すぎた」という議論ではなく、①財務省は、「政治は、表向きとは異なり、国有地を不適正な安値で売るべきだという正当でない意思を持っている。」と考えた。②その政治の意思を実現しなければならないと考えた。のではないかという疑念なのです。

 では、防衛省の面従腹背論はどうでしょうか。この問題は、稲田防衛大臣の「日報を探せ」という指示に防衛省の制服組が従わなかったというものであり、その部分だけ見れば、表面上は確かに稲田大臣の意思に従わなくてもいいと思っていた-政治が弱すぎた-とも見えます。
しかし、この問題はまず、自衛隊の南スーダン日報問題に関連して、2017年2月20日に民進党の後藤議員が自衛隊のイラク派遣の日報について質問し、この際当時の稲田防衛大臣が日報の探索を指示したものの「不存在」「発見できなかった」と答弁した後、22日再確認したもののその実行が不十分であったが、日報は1月後の3月27日に発見され、それが9か月間伏せられた後陸上幕僚監部に報告され、さらにそこから1月半後に統合幕僚監部、その上さらに1月後に小野寺防衛大臣に報告されたというものです。

 この時系列を見ると、稲田前大臣の「再探索指示」はさして真に受けられなかったとはいえ、探索それ自体はおそらく最初の探索指示から継続して行われかつ1月後に日報は発見されており、そもそも官僚は「面従腹背」をしたわけでもなく、単に稲田前大臣の指示が悪かっただけのように見えます。 また仮に「面従腹背」だったとして、稲田前大臣が2月20日に日報は「不存在」「発見できなかった」と言っている以上、「面従服従」して日報が見つかってしまったらむしろ稲田前大臣は窮地に陥り、「面従腹背」をした理由は稲田前大臣を軽んじたからではなく、むしろ「稲田大臣は口では再探索を指示しているが、本心では探してほしくないと思っているのではないか?」と考えてのことではないかと思われます。

 つまり、防衛省の面従腹背は、防衛省の担当者が、①稲田前大臣は「再探索せよ」という表向きの言葉とは異なり、「再探索するな」という「正当でない意思」を持っていると考え、②その稲田前大臣の意思を実現しなければならない。と考えたからこそ起こったものであり、「忖度」そのものであると考えられるわけです。

 こうやって事実関係を整理して考えてみれば、財務省の忖度論と、防衛省の面従腹背論は真逆でもなんでもなく、ほぼ完全に同一のものであり、冒頭に紹介した足立議員の「政治が強すぎるという『忖度論』と、政治が弱すぎるという『面従腹背論』とは、真逆の論旨で普通は両立しません。」は、全く表面的な事象だけを見てなにも考えずに結論に飛びついている事による誤解か、さもなくばば結論ありきで導かれた牽強付会な詭弁に過ぎないと私は思います。

 その上足立議員は、多くの国民が極めて普通に疑念を抱いている「財務省の忖度論」「防衛省の面従腹背論」を、野党とマスコミの「捏造シナリオ」と決めつけ、8億円にも及ぶ値引き、その後の数千台のトラックによるごみ搬出と言う虚偽の口裏合わせという驚愕すべき事態を「行政の杜撰」の一言で片づけ、政治の責任を一切問わずに済ませようとしています。

 この様な方、この様な方が属する政党が実現しようとする政治は、何か問題が生じ、国民がそれに対して疑念を抱いてもそれを「捏造シナリオ」と決めつけて、すべてを「行政の杜撰」の一言で片づけ、政治の責任を一切問わずに済ませようとするものである事は明らかだと、私は思います。

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