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希望先就職率100%の「ヤンキーインターン」、若者の原動力は“危機感”“変わりたい”気持ち

 いま「ヤンキーインターン」というユニークな就職支援プログラムが注目を集めている。

 株式会社ハッシャダイを訪れると、そこにいたのは大勢の若者。彼らは福島県、愛媛県、青森県など地方出身者ばかりだ。ハッシャダイが行うヤンキーインターンへの参加条件は、16歳~22歳で中卒または高卒生、東京以外の在住者であること。研修が行われる半年間の講習費、食費、住まいは無料で提供され、研修生の中には中卒や元不良の“元ヤン”たちもいる。

 なぜ、彼らを対象とした研修を行おうと思ったのか。『原宿アベニュー』(AbemaTV)はハッシャダイと参加者の若者たちを取材した。

■「会ってみたら驚いた」「一歩を踏み出すことに臆さない」

 ハッシャダイ取締役の橋本茂人さんは、ヤンキーインターンに参加する若者の特徴を次のように話す。

 「彼らは人生に危機感を持っていて、自分でなんとかしないといけないという気持ちを持っている。彼らはまだどこにも染まっていないので、素直に好奇心旺盛に教えられたことを吸収できる素養を持っていると思っている」

 そんなヤンキーインターンから、これまでに上場企業を含め約150人が正社員として就職を果たしてきた。では、採用側の企業はどう思っているのか。

 「正直、最初はなめていたところがあって、やはり高卒であったり大学中退ということで、どこか意識が低かったりするんじゃないかと思っていた。会ってみたら正直驚いたというのが最初の感想で、自分たちは大学を出ていないということから(大卒に)負けないように自分からアウトプットしている人が多い。全然学歴関係なく、社会人として戦っていける人はたくさんいると思う」(モバイルファクトリー・採用担当の関岡央真さん)

 「彼らは、“これから変わらないといけない”という思いが強い子が多いので、その子たちの熱量は若手人材の中でも秀でている。若いときは一歩踏み出すことが難しいものだが、彼らはそこに臆さないというか、一歩目の踏み込みが速いし度胸がある。今までにない中卒・高卒への(新しい)接点ができたと思う」(DMM.comの沼野井伸拡さん)

 この日行われていた研修は「ビブリオバトル(知的書評合戦)」で、各自お薦めの本の魅力を発表し合い、最終的にどの本が一番読みたくなったかを競うというもの。国語教師の上田祥子さんによると「本を読んでこのような活動をすることにより、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力など、この子たちが生きていく上で絶対に必要な力を短時間で身に付けることができる」という。

■「社会に出て必要とされる人間になりたい」「変わりたいという思いがあった」

 ヤンキーインターンには、営業などで役立つビジネスマナーを学ぶコースとエンジニアを目指すプログラミングコースがあるが、インターンに参加する事情はさまざまだ。

 高校卒業後、一度は就職したものの退職してしまったシュンタさんは、「学歴ある人と会社内で比べられていたことがあったので、そこに不満を感じていた。過去の自分はあまり社会から必要とされる人間ではない方だったので、社会に出て必要とされる人間になるのが目標」と話す。

 一方、高校卒業後、就職をしないでアルバイトをしていたというサキさんは、「地元が田舎の方で、仕事が限られていることからこちら(インターン)に来た。キャリアアップできるような(東京の)企業に就職したいと思っている」と話した。

 高校卒業後、地元新潟で就職したじゅりさんは、人間関係の問題から1年半で退社したという。ヤンキーインターンには「好奇心と自分も変わりたいというのもあったので参加した。すでに参加している子たちもすごく意識が高くて、自分も自然に引っ張られる感じ。成長できる雰囲気だなと思った。(地元にいるときは)狭い視野で、こっちに来たことにより視野が広がったので本当に来てよかったと思っている」と語った。

■橋本さん「自分の人生を自分で選択する、再挑戦の出発点に」

 ヤンキーインターンとして若者の就職を支援する橋本さんだが、着目のきっかけは偶然によるものだったという。

 「元ヤンに注目しようとしたわけではなくて、会社ができるきっかけとなった最初のメンバー4人がたまたま元ヤンだっただけ。ただやってみて、元ヤンと言われる子には頭の回転が良かったりだとかコミュニケーション能力が長けていたりだとか、そういう特性があるとは感じている」

 とはいえ、元不良と呼ばれるような参加者は全体の1割程度だという。橋本さんは「あとはオタクだったり、ゲーマーの子たちとか真面目な子もいるし、イメージしやすいのはアメリカみたいにいろんな人たちが集まって仲良くするコミュニティ」と説明する。

 また、参加者を地方出身者に限定する理由については「会社の事業自体が、地域格差とか学歴格差というキーワードに近い。情報の隔たりがあって、そのせいで就職のチャンスが大卒の方と比べて限られてしまう。そこを解決したいと思ってやり始めた。そういったところから就職率の高さにつながってきていて、辞めてしまった子たちとかのサポートをしている」と語った。

 実際に新規学卒就職者の3年内離職率を見てみると、中卒が6~7割、高卒が4~5割、大卒が約3割となっている。この数値が20年ほど継続し、「七五三現象」とも呼ばれている。

 では、半年の研修を終えた人は全員そのまま東京で就職するのか。橋本さんは、身につけていた会社のTシャツ「CHOOSE YOUR LIFE」をあげ、「自分の人生は自分で選択しようと言っていて、東京に就職する子もいるし、地元に帰って就職する子もいる。価値観をもっと広げたいと海外に留学する子もいる。いろんな挑戦をする、再挑戦の出発点になればいいな」と思いを語った。現状、希望就職先への就職率は100%とのことだ。

 最後に橋本さんは「学歴関係なく若者を採用したいという企業がいるが、その情報が地方の若者には届いていない現状があって、僕らはその間に立つだけで問題は解決すると思っている」と今後の活動に意欲を見せた。

▶︎放送済み『原宿アベニュー』の映像は期間限定で無料視聴が可能。

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