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子どもを隠さないで~加速する諸事件の裏で(田中俊英)


空間と時間に子どもと家族を閉じ込める

■殺人から監禁まで

この頃、以前にもまして子ども(成人含む)が関係すると思われる凄惨な事件が全国で起きている。それは殺人から監禁までさまざまであり、子どもの立ち位置は被害者や容疑者を疑われるあり方まで幅広い。

僕の役割は、個別の事件を個別にあつかわず、それらをヒントとして一般化し、できれば概念化(今回であれば「子どもを隠す」)して提示することだと思っているので(それが「哲学」だとドゥルーズは書いていた)、細かい事象には踏み込まない。

が一方で僕は、不登校やひきこもり、発達障害や虐待サバイバーの支援をしている。僕は主に保護者支援やスタッフへのスーパーバイズや行政等との連絡会議への出席なのだが、現場にいまだ立っていることは現実である。

そうした現場からみて、以前にもまして加速度的に報じられる子どもにまつわる諸事件を聞かされると、やはり嘆息せざるをえない。

また僕は、子ども若者支援分野でもう20年以上も支援してきた経験があることから、地方のスーパーバイズや講演で呼ばれることが多くなった。

そんななか(メディア報道や現場支援仕事や地方スーパーバイズ仕事等)で感じるのは、

親たちのリジッドさ(堅さ)ということである。

■「偏見を持っている」ことと同義

ここでの堅さは、「偏見を持っている」ことと同義で使っている。つまり、

不登校は悪い、
ひきこもりはダメだ、
発達障害もダメだ、
ニートや、もっというとフリーターもギリギリでダメだ、

ということだ。なぜダメかというともちろん、社会のマジョリティや中心的価値や規範からズレているためで(非正規雇用が4割になってもそれら堅い価値は変わらない)、そんな古くて堅い価値をいまだに守りそのなかで生息し、そうした古い価値を子どもたちに押し付ける大人たちを指す。

これらは生息していたとしてもシーラカンス並みの博物館行きかなと僕は思っていたが、あちこちで講演やバイズをさせていただいているなかで感じるのは、これら古い価値や規範はまったくシーラカンスなどではなく、現役バリバリで社会にはびこっているということだ。

いや、僕のようなカウンセラー/ソーシャルワーカーの前では親たちはその堅い価値や古い規範を隠している。それらが全面展開されるのは、ドメスティックな空間、つまり、

家の中で開陳される。

■そうした親たちは、いつのまにか相談に現れなくなる

ひきこもりや障害は恥ずかしい。専門家に相談すると、恥ずかしがらずにその存在を尊重してまわりに相談して今ある社会資源を使いましょうとアドバイスされる。

面談の現場では、親たちは黙ってうなずく。

が、それら親たちの一部には、そうした子どもの今のあり方(ひきこもり等)を認められず、日々「地雷」(仕事や学校に行け、親が死んだあとのことを考えろ等)を踏み続ける親がいる。

それだけだったら支援者側の粘り強い指摘と注意でなんとか減少していくが、なかには地雷を踏み続けて子どもから恨まれたり、現実に監禁したりする親がいるようだ。

そうした親たちは、いつのまにか相談に現れなくなり、結果として子どもたちを隠す。なかには事件化していく方たちも含まれるだろう。

逆に言うと、いろいろ揉め事はあってもいつまでも支援者とつながっている親たちは、徐々にではあるが日常が改善されていく。そうしたクレーマー的親たちは揉め事を生じさせながらも、揉め事を支援者と共有したり改善することで、子どもを隠さない。

ポイントは、父と母と子の「三角形」的ドメスティックな空間に家族を閉じ込めさせないということであり、そのためには多少支援者とトラブってもいい。

いちばんまずいのは、子どもを隠すことだ。時にそれは監禁や暴力となり最悪の結果をもたらす。

が、それら最悪の結果の原因は、親のバイアス/偏見であると断言しても僕はいいと思う。

※Yahoo!ニュースからの転載

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