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ヒット請負人・佐渡島庸平が描く"最強コンテンツ"漫画の未来像

 世界に誇る日本の漫画文化。しかし近年、紙媒体の衰退、表現規制や海賊版サイト問題などを背景に、コミック市場全体の販売額も年々減少。危機的状況に陥っている。

 そんな中にあって、昨年8月の発売以来、累計250万部という大ヒットを記録、今なお売れ続けているのが『君たちはどう生きるか』(原作・吉野源三郎、漫画・羽賀翔一)だ。オリコンランキングでは11週連続総合1位を獲得している。

 この大ヒットの仕掛け人のひとりこそ、"出版業界では知らない人はいない"と言われる佐渡島庸平氏(38)だ。講談社の編集者として『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などの超人気漫画を世に送り出し、退職後は作家のためのエージェント会社「コルク」を設立、代表取締役を務めている。

■「世界レベルで漫画が読まれるようになる」

 「今の漫画の定義はすごく狭い。情報を処理する上で、絵と文字が最も便利。様々なものが漫画形式によって表現されていく可能性がある」。

 漫画界の不況が叫ばれる時代にあって、佐渡島氏は「時間対情報摂取量が最強なのが漫画」と、"漫画最強説"を唱えてきた。

 「これからは色んな情報を動画で見る人も増える。しかし動画は見る人の時間をコントロールできない。また、文字はコストが低いが、動画はどうしても制作費が高くなる。そう考えると、時間あたりに摂取できる情報量が最も大きいのが漫画。漫画がPTAに焼かれてニュースになったり、漫画を読むとバカになると言われたりしていた世代の漫画家さんと話をしていると、20〜30年で変わったと実感する。世界レベルで読まれるようになると思う」。

 佐渡島氏とは大学のゼミの先輩後輩の関係にあり、親交を深めてきた堀江貴文氏も「漫画が最強のビジネスになる。漫画はあと69億人に読まれる」と考えているという。

■編集者から"エージェント"へ…コルクの「熱狂ピラミッド」とは

 「芸人と放送作家が打ち合わせをする感じに近く、かなり内容にも踏み込む。また、作品を作ることと、それをどうやって売っていくかということも同時にやる。PRの仕方は作品ごとに戦略を立てていく必要がある」と語る佐渡島氏。過去には「僕は作家と同じ船に乗る」という発言もしている。

 佐渡島氏はそうした発想から「エージェント」の普及を目指してきた。

 「講談社時代は『モーニング』の部数を上げることが命題だったので、次回作も連載してもらえるようにお願いしていたが、作家の側に立てば、ステップアップして長期間活躍できるようになるために、次回作はどういう風に作り、どの雑誌で、どういうペースで連載するかと考える。テーマに合わせてメディアを選ぶという考えになる。ほぼ同じ日に日本中で発売されるなど、日本の出版業界は世界的に見てもなど優れた仕組みである。しかし、今後、世界進出するためには、村上春樹さんのようにエージェント会社に所属しなければ、うまく取引ができない」。

 コルクには、「熱狂ピラミッド」という独自の指標がある。"ファンがどのレベルで熱狂しているのか"を図式化したもので、最もボリュームの大きい層はSNSをフォローしたり、書籍を購入したりする「Users」。その上に、SNSでのエンゲージメントが高い「Likers」。そしてメルマガ購読、グッズ購入、有料ファンクラブ参加なども行う「Acceptor」。トップが有料ファンクラブで伝道役を担う「Committer」だ。

 「作家にファンをどのようにして増やすかを考える。作品の世界観が表れているグッズを作り、ファンコミュニティの運営もやる。今までは本を買った人全体を"ファン"としてカウントしてきた。しかし、例えば『漫画 君たちはどう生きるか』を買ってくれた人のうち、何人が、どのくらい好きなのかはわからない。しかし本当はCommitter、Acceptorを増やしていくことも重要だ」。

 例えば、キングコングの西野亮廣は、テレビ出演を減らしながらもファンとのリアルな交流に注力してきた。その結果、「今ではCommitterと言えるようなファンが数千人、Acceptorが数万人いて、西野さんが何かやろうとすると、すぐ1〜2億円のプロジェクトが可能になる」。

■「若い人の感覚に合わせたビジネスモデルを」

 規制が議論される「漫画村」など海賊版サイトについては「話すのも不愉快になる」としながらも、「今までは所有権を売ることによって課金するのが当たり前だったのが、インターネット、シェアリングエコノミーの普及で、若者の感覚が変化している。しかし、その感覚に合わせた課金の仕組みがまだ整備されていない。中国では満足したときにだけお金を払うという仕組みに変わってきている。そうしたビジネスモデルへの移行の準備が遅れているのが問題」だと指摘する。

 「若い人たちと僕らの感覚は違う。今後は、そうした感覚を大切にしてビジネスモデルを作らないとダメだと思っている」。

(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

▶放送済み『AbemaPrime』の映像は期間限定で無料視聴が可能。

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