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公文書隠して国滅びる

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 森友学園問題や加計学園問題は大きな政治問題となり、安倍政権の支持率の急落をもたらすなど、今後の政局に大きな影響を与えている。憲法改正の発議だの安倍3選だのといった、一度は既定路線のように語られていた政治日程は、根本から見直しを強いられているといっていいだろう。

 しかし、これが、権力がいかに行使されたかを検証するための公文書がきちんと保存されていなかったという国家の根幹にかかわる大問題であり、例えば安倍政権が退陣すればいいというような一政権だけの問題ではないことは、いま一度確認が必要だろう。

 言うまでも無く日本は民主国家であり、国民が主権者だ。その国民が選挙を通じて政治に政府の運営を負託し、国民から政府を運営するための権限(権力)を負託された政治は、きちんと官僚をコントロールして正しく政府を運営する責任を国民に対して負っている。

 政府がどのように運営され、その過程で国民が政治に負託した権力がどのように行使されたかが、後世にも検証可能な形で記録されているのが、他でもない公文書だ。国民は公文書だけが、政府が正統に運営され、権力が正しく行使されているかどうかを確認するための手段となる。

 今回はたまたま、森友学園という大阪の学校法人に対して小学校設立のための国有地の払い下げの過程で、通常では考えにくい値引きが行われていたことが明らかになり、特に首相夫人がその学校の名誉校長を務めていたことなどから、不当な政治権力が行使された疑いが持たれることになった。

 本来であれば、この疑惑を晴らすのはいたって簡単なことのはずだった。国有地払い下げの過程でどのような交渉が行われ、誰がどのような理由で8億円もの値引きを決裁したのかを説明する公文書がきちんと保存されていれば、それを参照すればいいだけの話だったのだ。

 ところが、単に一学校法人に対する国有地の払い下げが正当なものだったことを裏付ける公文書が、一向に出てこなかったのだ。当然、疑惑は深まる。国会での野党の追及も厳しくなる。また、そうこうしている間に、本来は存在しないはずの文書が、リークなどによってボロボロと出てくる。その過程で野党の追及に辟易とした首相が、「自分や妻が関わっていれば総理も議員も辞める」などと言い放ってしまったから、さあ大変。払い下げの当事者となった財務省は、ついに決裁文書の改竄という、最悪の禁じ手にまで手を染めることになってしまった。

 今回は問題が表面化してからの政府の対応があまりにも杜撰で、話がどんどん膨らんでいってしまったために、そもそもどこに問題があったのかが見えにくくなってしまった。公文書が改竄されるに至っては、改竄の事実の方が問題の中心になってしまった感さえある。そもそもこれはどういう問題で、どこに本質的な問題があるのかをしっかりと押さえておかないと、今後も国会の政治劇やメディアのニュース娯楽劇に翻弄されてしまいかねない。

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