記事
  • ヒロ

シビリアンコントロール

戦前、日本が泥沼の戦争にはまり込んでいった理由はいくつもありますが、そのうちの一つが軍人による国家運営を許したことがあります。軍人の力はある日突然強くなったというわけではなく、徐々にその性質を変えていきました。個人的には日露戦争の講和条約後からその傾向が強まったと考えています。

満州に進出していた時代も本国(大本営)と満州の関東軍との間に温度差や統制が取れなくなる事態が生じましたし、歴代の総理も軍部の暴走に手を焼き、ほとほと疲れていました。特に歴史に残るのが張作霖爆殺事件の際の田中義一首相の天皇陛下に対する報告(上奏)で全く食い違いう内容を報告したため、天皇陛下の怒りを買い、内閣総辞職したことでしょうか?

このように日本の歴史を見ても軍部を統制するのがいかに難しかったかお分かりいただけると思います。これを反省し、軍や自衛隊を統制するのは一般人から選挙を通じて選ばれた文民が行うという考えがシビリアンコントロールであります。

日本は憲法改正議論で大きく意見が割れていますが、個人的にはこのシビリアンコントロールが完全に行われるという前提がない限り憲法改正は行えないと考えています。言い換えれば今回のイラク派遣部隊のなくなったはずの日報があったにもかかわらず長期にわたり報告さえされていなかった問題を考えると安倍首相の憲法改正議論は遠のいた気がします。理由は憲法上、自衛隊の定義が明白になった時点で自衛隊が憲法により定められた組織であるという誤った解釈や拡大解釈に走る可能性が否定できなくなり今後、秘匿主義がより進むとみられるからです。

戦前の過ちの一つに明治憲法の規定があります。それは日本軍は天皇の配下であって、首相にはないというその仕組みにあります。ところが軍部は戦争が佳境に入るとこの解釈を自己に都合の良いように解釈するようになり暴走の一原因になっています。

日報問題を思い返してみれば稲田大臣(当時)が批判、非難の嵐の中、結局日報は見つからなかったと結論付けました。この「破棄した」話は防衛相にとどまらず森友問題などでも噴出していますが、電子的に記憶できる時代においてその書類を完全に抹消することはほぼ不可能と断言します。つまり政治家が「書類が見つからない」というのはほぼ嘘か間違いか騙されているかのどれかであります。

担当者というのはキーになる文書は案外大事に保存しているものなのです。私だって何十年前かのタブーな文書のファイルぐらいは未だに持っています。捨てる理由がないからといざというときの伝家の宝刀になるぐらいのものだからでしょう。

私がもっとも気になるのは官僚と政治家の距離感であります。どの省庁も大臣、副大臣、政務官ぐらいが政治家であとは官僚であります。官僚からすれば政治家はお客様であって如何に自分たちに都合よくしてもらうか、利用できるのか、敵にするのか、という尺度で見るでしょう。敵にされたのが稲田さんでとにかく、極端な壁ができていました。

今回の問題で野党は安倍首相は即刻辞任すべきなどと息巻いてますが、この本質は安倍政権ではなく役所の構造そのものにあるわけで仮に立憲や共産が政権を取ったとしたらもっと悲惨なことになるでしょう。

では対策ですが、基本的には厳罰主義を取るべきかと思います。私は国民を欺いた役人、あるいは制服組はいくらでも解雇出来る仕組みを作るべきだと思っています。

学校を優秀な成績が卒業した人たちがなぜ役人になりたがるのか、人気就職先がなぜ役所なのか、といえば安定という名のこたつでぬくぬくと過ごせるからであります。省庁の人事も各省庁ごとの採用ではなく、キャリア組においてはどこの省庁に配属されるかわからない、あるいは省庁間を渡り歩くなど典型的なタテ社会を人事から変えていく必要があります。

日本の省庁で特殊とされるのが外務省、法務省、防衛庁でありますがそれはその能力に裏打ちされる特殊性にあります。それは権威主義であり、組織の閉鎖性は否めません。

安倍首相においては頭が痛いのを通り超えて全てのシナリオは想定から大きく崩れてしまっていることと思います。この事実は謙虚に受け止め、憲法改正の前にやらねばならないことを再度注力していただければと思います。今回の日報問題は個人的には森友問題の比ではない極めて深刻な事態だと考えています。

では今日はこのぐらいで。

あわせて読みたい

「防衛省」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    堀江氏「東大のコスパは世界一」

    MAG2 NEWS

  2. 2

    自民議員 韓国をWTOに提訴すべき

    赤池 まさあき

  3. 3

    新環境相 学歴詐称の過去に自戒

    原田よしあき

  4. 4

    派遣切り再び 報道せぬTVに苦言

    水島宏明

  5. 5

    柴山大臣に公選法違反ツアー疑惑

    NEWSポストセブン

  6. 6

    ガラガラくじは商店会を利するか

    伊藤陽平:新宿区議会議員

  7. 7

    干された松本明子を救った人物

    文春オンライン

  8. 8

    世界的株安の錯覚を煽るマスコミ

    自由人

  9. 9

    橋下氏「パチンコはギャンブル」

    AbemaTIMES

  10. 10

    NHKまんぷく 美男美女縛りの意図

    NEWSポストセブン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。