記事

水野和夫 このままでは賃金が4割減る

仮想通貨がなくなることはない

 1月下旬に巨額通貨が流出したコインチェックが買収されることになりました。金融庁は別の複数業者にも行政処分を出す方針であり、一部の業者は撤退することになります(4月4日 日経新聞)。しかし、これによって仮想通貨がなくなることはないと思います。仮想通貨は今後も一定の役割を果たしていくはずです。

 もっとも、仮想通貨は巷間言われているほど革命的なものでもありません。そもそも「通貨」と呼べるかどうかさえ疑わしいところがあります。ここでは弊誌4月号に掲載した、法政大学教授の水野和夫氏のインタビューを紹介します。全文は4月号をご覧ください。

月刊日本 2018年 04 月号 [雑誌]
posted with ヨメレバ
ケイアンドケイプレス 2018-03-22

金融緩和がもたらした仮想通貨バブル

―― 株式市場と同じようにバブル化しているのが仮想通貨です。これも安倍政権による異次元金融緩和と関係があるのでしょうか。

水野 仮想通貨に投資が集まるようになったのは、一つには、安倍政権の金融緩和によって円の信頼が失われたからです。そのため、円に代わる通貨として注目されるようになったのだと思います。

 もう一つは、実物投資の世界で投資が行き渡ってしまったことです。一般家庭では日常生活に必要なものは一通り揃っており、新たな需要は見込めません。これ以上実物に投資しても利益が得られないとなれば、お金はどうしても株式市場に流れてしまいます。

 とはいえ、株式投資によって利潤を得ることも簡単ではありません。各国の証券取引所は株式の高速取引化を進めており、1億分の1秒単位、10億分の1秒単位を競って取引ができるシステムを作り上げています。逆に言えば、それほど高速で取引を行わなければ、利潤を上げられなくなっているということです。

 このように、現在では実物投資でも株式投資でも利潤を得るのが難しくなっています。そうした中、新たな投資先として見出されたのが仮想通貨だったというわけです。

 もっとも、仮想通貨はとても「通貨」と呼べるような代物ではありません。あまりにも問題が多すぎます。たとえば、仮想通貨の一つであるビットコインは、発行枚数に上限があるため、通貨としての価値が維持されると言われていました。しかし、現実にはビットコインの価格は乱高下しています。これほど価格が安定しないようでは、通貨の役割の一つである価値尺度にはなりえません。

 また、ビットコインは、マイニング(採掘)と呼ばれる複雑な計算処理を通して新たな仮想通貨を獲得できる仕組みになっています。しかし、これはコンピュータ技術を競い合うものですから、結局のところ進歩主義にすぎず、特別新しい取り組みとは言えません。

 さらに、仮想通貨は取引参加者が相互に取引記録を監視しているため、不正を防ぐことができると言われていました。しかし、仮想通貨の一つである「NEM」は不正に送金され、外国の闇サイトで換金されたようです。もし、仮にロシアのマフィアや北朝鮮の軍隊などが関与していたとすれば、日本の警察は手も足も出ません。

 日銀の黒田総裁は仮想通貨について、「仮想通貨ではなく仮想資産と呼ぶべきだ」ということを言っていますが、資産は資産でも非常に質の悪い資産です。いま政府は東京や大阪などにカジノを作ろうとしていますが、実際にはすでに仮想通貨という名のカジノが出現していると言っていいでしょう。……

水野和夫 アベノミクスは完全に失敗した水野和夫 アベノミクスは完全に失敗した
アベノミクスを見直せ  日経平均株価が約26年振りに2万3千円台を回復したと報じられています。安倍首相はこの間、株価があがったことをアベノ...gekkan-nippon.com2017-11-09 11:02


閉じてゆく帝国と逆説の21世紀経済 (集英社新書)
posted with ヨメレバ
水野 和夫 集英社 2017-05-17

あわせて読みたい

「仮想通貨」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    兄から性的虐待7年 妹が苦悩語る

    渋井哲也

  2. 2

    橋下氏「自民亭」への批判に苦言

    PRESIDENT Online

  3. 3

    不倫の安倍チルドレンまた文春砲

    文春オンライン

  4. 4

    外国人比率75%の街が東京に出現

    NEWSポストセブン

  5. 5

    小1死亡 エアコンつけぬ行政の愚

    永江一石

  6. 6

    広島豪雨で見えたマツダの地元愛

    片山 修

  7. 7

    家賃14000円 かぼちゃ物件の末路

    BLOGOS編集部

  8. 8

    マツコ「消去法で普通科」を批判

    キャリコネニュース

  9. 9

    マナー欠如の中国人にタイが怒り

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  10. 10

    池上氏 議員定数増は公約と違う

    文春オンライン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。