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ANA×双日×ホンダジェットの挑戦とは

日本は、欧米に比べてビジネスジェットの普及が進んでいません。しかし、日本人にとって、ビジネスジェット、そしてホンダジェットが、より身近になるかもしれません。


※ブルーのホンダジェット

28日、ANAホールディングスは双日と共同で、ビジネスジェットのチャーター手配サービス会社を立ち上げると発表しました。新会社の「ANAビジネスジェット」は、ANAが51%、双日が49%を出資して、今年夏の設立を予定します。機材を持つのではなく、あくまで手配サービスを手掛ける。日本初のビジネスジェット専用旅行会社といいます。

ANAビジネスジェットが想定する事業内容は、大きく三つ。一つは、ANA国際線定期便で海外に行き、空港から乗継便をチャーターする。もう一つは、国内から海外目的地に直行便をチャーターする。もう一つは、地上移動やホテル、飲食店などを含めたコンシェルジュサービスです。ANAの法人営業のネットワークを生かすほか、ビジネスジェットに関するノウハウと経験は、ビジネスジェット関連事業を手掛ける双日の強みを生かします。

さらにANAは、ホンダジェットを生産、販売するホンダエアクラフトカンパニーと戦略的パートナーシップを締結しました。ホンダエアクラフトカンパニーは、欧米、中国、東南アジアなどに幅広いネットワークをもちますから、チャーター運航会社の仲介や、ANA便からビジネスジェットへの乗り継ぎ地点での地上支援の構築などの面で、ANAを支援します。ANAはホンダジェットを優先活用でき、ユーザーは、例えば海外の空港に到着後、ホンダジェットに乗り換えて目的地近くの空港まで行く、ということが可能になるわけですね。

「ANAホールディングスがビジネスジェット事業に関心をもったきっかけは、3年前のホンダエアクラフトカンパニーの藤野(道格)社長との出会いです。私自身、藤野社長にお会いして、ホンダジェットの将来性への熱い思いを感じ、非常に強いインパクトを受けました」
と、ANAホールディングス社長の片野坂真哉さんは挨拶しました。


※左から、双日社長の藤本昌義さん、片野坂さん、藤野さん

2015年4月、ホンダジェットがワールドツアーで日本の空に初お目見えした際、ホンダはANAの格納庫を借りたんですね。お礼の形で、藤野さんが片野坂さんを表敬訪問した。限られた時間の面会のはずが、すっかり盛り上がって一時間ほど話し込み、「一緒に何かやろう」という話になったんだそうですよ。それが、「ANAビジネスジェット」の設立につながったんですね。

狙うのは、企業の経営層に加え、政府・団体のミッション、ハイエンド旅行のニーズです。

ホンダジェットはパイロットを含めて7人乗りで、ベリーライトジェットと呼ばれる超小型ジェット機です。同クラスで最高の高度、最高の速度で飛行でき、燃費もクラス最高、静粛性など乗り心地も優れています。つまり、少人数で移動する利用シーンでは、世界一経済的、効率的に使えるビジネスジェットというわけですね。

ANAは、ホンダジェットの快適性や経済性を高く評価し、「ゲームチェンジャー」と位置づけました。ANAビジネスジェットを機に、日本人にとってもビジネスジェットがより身近になり、国内でも利用が盛んになるとしたら大変面白い話です。ホンダとしては、ビジネスジェット市場の拡大、潜在需要の開拓を通じてホンダジェットのよさを理解してもらい、ひいては販売増につなげたい。

「ビジネスジェットは、欧米ではかなり普通に使われているのに、残念ながらまだ日本ではそこまでいっていない」とし、理由の一つに感情的な問題があるとしたうえで、藤野さんは、記者の質問に答えて次のようにコメントしました。
「経営者の素早く正しい判断は、ビジネスジェットを使うコスト以上のプロフィットを生み出します。グローバルスタンダードなビジネスの競争が日本でもあれば、ビジネスジェットを使うことに対するエモーショナルなハードルは超えられるんじゃないかと思います」

世界のビジネスのスピードがますます加速する中で、経営者の限られた時間をいかに有効活用するかは、世界中の経営者にとっての課題です。ビジネスジェットなら、空港の保安検査に時間をとられず、移動時間中も会議が可能です。「時間効率の最大化」ができるというわけですね。

日本企業が、グローバル経済の変化のスピードについていくためにも、ビジネスジェットがより身近になることが必要ではないでしょうか。今回の取り組みは、日本企業の経営者にビジネスジェットを使いやすくし、日本人とビジネスジェットの距離を縮める第一歩といえるでしょう。

蛇足ですが、私は昨秋、ホンダジェットの開発物語『技術屋の王国 ホンダの不思議力』(東洋経済新報社)を上梓しました。この機会にぜひご一読ください。

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