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カネの配分と医療保険制度の新しい形

患者に必要な医療が供給できないアメリカの医療保険制度と医療サービス供給者ー患者の共犯関係により無駄な医療をマネージできない日本の医療保険制度の中間型にオランダ(ドイツも似ている)型の部分的競争原理導入モデルがある。

オランダの保険者(care insurerという)は公的組織ではなく、私企業だが、健康保険法の下で公的な規制を受ける。 保険者は加入を望む者の保険加入を拒むことはできない。また、保険者は過去の実績と加入者のリスクに応じて国から補助金を受けるので、糖尿病、精神疾患などリスクによって加入者を選別する動機をもたない。(ここがアメリカとは違う。) カバーされるサービスは主に短期間のものに限定され(compartment2)、長期療養型のサービスは別の保険(compartment1)で賄われる。(介護保険のようなもの)

例えば、長期治療が必要な精神疾患では治療の一年以内ならcomp.2で、一年以上続けばcomp.1でカバーされる。 (comp.1の保険者は国) comp.1の財源は国の補助金と課税所得に比例した保険料で、comp.2は補助金、所得比例保険料のほか、定額保険料によって成り立っている。 定額保険料はcare insurerが被保険者に課すもので、平均で一人当たり1,015ユーロ/年(06年)。最高額が1,172ユーロ、最低額が990ユーロ。

オランダで今一番問題になっているのが、comp.1の膨張化で、保険料率が13.45%(05年)から30年には25%まで上がる、と試算されている。 長期療養、介護費用の膨張が原因で、在宅ケアなどは地方自治体に移管する動きが既に始まっている。

1987年から20年以上にわたり試行錯誤を繰り返し洗練化されてきたオランダの医療保険制度(特にcomp.2)は効率的な医療資源の配分が急務な日本にも参考になると思う。 (care insurerが医療サービス側をチェックし、国の医療保険機構や被保険者(選択者)がcare insurerをチェックする、相互監視的な仕組み。)

例えば、98年の競争法により医師らの価格カルテルを禁止したところ、1/3が関わっていたとされるが、日本に適応するとどうなっちゃうんだ。おい。

日本の現状、将来を考えた場合、ムダな風邪薬を出している分を介護費用に回す仕組みが必要で、 というか長期療養が医療保険と介護保険で混在しているこの混乱状況をどうするのか、と。

私的には在宅なんかに舵を切るのは無駄で、軽費老人ホームの拡充に向けた方が全然いい、と思う。 そこに入れるカネもない、という前に、医療保険改革して捻出するなり手段をせめて考えようよ。 埋蔵金なんてラクなことばかり妄想してないでさ。

参考:「オランダにおける医療と介護の機能分担」 大森 正博 お茶の水大学准教授
    「医療保険改革と管理競争」 佐藤 主光 一橋大学大学院准教授

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