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自民党和田議員の参議院予算委員会での質問は政策的に全く成り立たない

 自民党和田議員が、参議院予算員会の集中審議で、

「太田理財局長は民主党政権時代に野田首相の秘書官だった。増税派だからアベノミクスをつぶすためにそういう答弁をしているのか」

とのトンデモ質問をし、これに対して質問された大田理財局長が気色ばんで

「私は公務員としてお仕えした方に一生懸命お仕えするのが仕事なんで、それをやられると、さすがにいくらなんでもそんなつもりは全くありません。それはいくら何でも、それはいくらなんでもご容赦ください」

と答えた事が報道されていますが(http://www.sankei.com/politics/news/180319/plt1803190023-n1.html)、これに対して和田議員が、

「財務省は書き換え問題の真剣調査を(https://ameblo.jp/wada-masamune/entry-12361561401.html)というブログ記事で、

「私の太田理財局長の答弁姿勢に対する質問について、さんざん太田理財局長の答弁がおかしいと攻めていたのに、政治サイドの責任にしたいメディアや野党の一部が手のひら返し。」
「党にも官邸にも嘘をつき、答弁がふらふらする太田理財局長、理財局、財務省官僚には、何らかの意図があるのではとの疑問すら生じる状況。」
「太田局長には申し訳ないが、あそこまで言わないと財務省の調査は真剣にならない。」

とこれまたトンデモな主張を展開されています。

 ご本人は、自らの質問は全く正当であるとご主張ですが、既に様々に提起されている批判以前の問題として、氏の質問は政策的に見てあまりに支離滅裂ですし、官僚がとりそうな手段とも思えませんので、その点を指摘させていただきたいと思います。

 まず、太田局長の答弁は、氏の指摘通り確かに変遷しており、これを指摘して財務省に真剣な調査を求めること自体は、私は何らおかしなことではないと思いますし、氏の憤りとは裏腹に、メディアも野党も特段その点を批判していないと思います。

 また、太田局長の答弁の変遷に「何らかの意図があるのではとの疑問すら生じる状況」であるのは氏に指摘されるまでも無くあまりに今更で、この点もまた私は何らおかしなことではないと思いますし、メディアも野党も特段批判していないと思います。

 一方で、氏の推測する太田局長の意図とその意図を達成するための手段は、政策的に見てあまりにも支離滅裂なものであり、氏が本気で財務省に真剣に調査させる意図をもってこの質問をしたなら氏は肝心のアベノミクスについて全く理解していない事になりますし、そうでないなら、氏の方にこそ氏の主張とは異なる「何らかの意図があるのではとの疑問すら生じる状況」であると思います。

 まずもって太田局長が氏の主張する通り、「増税派」であるとしましょう。財務省は現下の財政状況から全般に増税志向ですし、そもそも消費税10%への増税をかねて主張しているところですので、氏の推測は当たらずとも遠からずと言えると思います。

 ところでです。安倍総理自身、「今後リーマンショック級の危機がない限り消費税は予定通り増税する。」と公約に掲げて昨年の総選挙を戦っている訳ですし、好景気の時の方が不景気の時よりはるかに増税がしやすいのは当然ですから、増税をしたいなら、アベノミクスは順調であればあるほど良いはずで、アベノミクスがつぶれて不景気になってしまったら、消費税増税は遥か彼方に遠のいてしまいます。

 氏の質問の「増税派だからアベノミクスをつぶす」は、そもそも全く政策的に成り立ちません。

 次に、増税との関係をさておいて、ともかくも太田局長が「アベノミクスをつぶしたい。」と思っているとしましょう。アベノミクスの中身は黒田総裁の日銀による金融緩和と、政府の大規模な財政出動で成立しています。黒田総裁はすでに再任されており、今後5年間財務省として打つ手はなく、アベノミクスをつぶしたいなら、緊縮財政を行わざるを得ません。ところが答弁を変遷させて財務省の権威を失墜させてしまったら、緊縮財政についての国民の理解を得る事が困難になると同時に、他の官庁へのにらみがきかなくなり、到底「アベノミクスをつぶす」という目的を実行できなくなってしまいます。

 ここでも、「アベノミクスをつぶすために答弁を変遷させる。」は政策的に全く成り立たないのです。

 そもそもこういった政策論以前の問題として、これだけ全国注目の国会答弁で自ら大変な傷を負うリスクを負ってまで「増税したい」若しくは「アベノミクスをつぶしたい」なら、こんなまどろっこしい事をするまでも無く普通に「増税すべきです。」「アベノミクスを止めるべきです(緊縮財政を行うべきです。)」と直言するなり与党議員にキャンペーンをするなりした方が遥かに直截で、冷や飯を食わされる危険はあるにせよどの道それは一緒、普通の官僚ならまず後者の方法を選ぶでしょう。

 以上のように、氏の質問は、冷静に見て政策的に全く成り立たず、官僚がとりそうな手段とも到底思えないものです。にもかかわらず氏は何故、繰り返しこれだけ全国注目の予算委員会でこの様な質問をしたのでしょうか。勿論私はその結論は存じ上げませんが、とはいえありうるのは、①氏はアベノミクスの中身を知らず、自分の主張が政策的に成り立たない事を全く理解していない。②氏は自分の主張が政策的に成り立たない事は知っているが、「何らかの意図」があってこの質問をした。の二つに一つしかないものと思います。

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