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「安倍案件」に屈した財務省

1 本省決裁文書に残る「安倍晋三総理」

公表された財務省「決裁文書書き換えの状況」14文書中、本省理財局起案のものが含まれている。近畿財務局から問題の土地の「売り払いを前提とした貸付け」を行うための特例承認申請を受け、これを認める平成27年4月30日付けの「理財局長」決裁だ。

この文書には、籠池氏の名刺が添付され、その籠池氏が日本会議関係者であると明記されている。日本会議の説明に「役員には特別顧問として麻生太郎財務大臣、会長に平沼赳夫議員、副会長に安倍晋三総理らが就任」と記載している他、森友学園に「平成26年4月 安倍昭恵総理夫人 講演・視察」とまで書いている(これらの文章は当然改ざんにより消されている)。

証拠が残る決裁文書に、政治家の実名を付すことは通常考えられない。なぜこうした記録を残したのか。なぜ自ら作った文書を消そうとしたのか。

2 昭恵夫人の関与は明らか

文書に付された経緯には、

「本年、4月25日、安倍昭恵総理夫人を現地に案内し、夫人からは「いい土地ですから、前に進めてください」とのお言葉をいただいた。」との発言あり(森友学園籠池理事長と夫人が現地の前で並んで写っている写真を提示)。」(平成26年4月28日付経緯。近畿財務局と籠池理事長の打合せについての記述。)

その直後の6月2日には、それまで一年近く動かなかった財務局が「売払いを前提とした貸付けについては協力させていただく旨を回答。」と記載されている。

「(産経新聞の)記事の中で、安倍首相夫人が森友学園に訪問した際に、学園の教育方針に感涙した旨が記載される。」(平成27年1月8日付経緯)

その直後の1月9日には、問題の土地の貸付料の交渉が始まっている。

昭恵夫人の名前の記載の直後に、事態が動き出す。わざわざこうした記載を残しているのは、昭恵夫人の責任、少なくともその存在が財務省の判断に影響を与えていること、を明確にするためと考えられる。

3 値引き交渉は本省主導

土地貸付料の交渉は、学園側が値引きを求めたことで、暗礁に乗り上げる。関与が報道された政治家たちから財務本省や国土交通省に、賃料を下げるよう陳情が行われたことも記載されている(平成27年1月〜3月)。

 森友学園理事長が弁護士と来局し、昨年10月に実施した本地のボーリング調査結果を提示し、本地が軟弱であり多額の建物基礎杭等の工事費を要するとして、賃貸料の減額(中略)を要請される。(平成27年3月26日付経緯)

近畿財務局の書き換え前文書(平成27年4月28日)によれば、近畿財務局は「地質会社に、当該ボーリング調査結果を基に本地の地盤について意見を求めたところ、特別に軟弱であるとは思えないとした」との見解を得たとの記述がある。にもかかわらず結論は「当局及び本省で〜検討した結果」「貸付料及び将来の売払時の売却価格を評価する際には当該調査結果等により地盤の状況を考慮することとした」となった。

上述の本省決裁文書の経緯によれば、

 森友学園に対して、ボーリング調査結果はこれまで認識していなかった価格形成要因と判断されるため、貸付料の修正を検討する(中略)と説明。学園はこれを了解。(平成27年4月17日付経緯)

近畿財務局の判断ではなく、本省主導で、貸付料の値引きが決定されたことがわかる。

この後、平成28年3月に、森友学園から新たなゴミ等の地下埋設物が発見されたと申し入れがあり、8億円の値引きへ動いていく。ここで貸付料の減額と売却価格の減額を認めたことでさらに要求がエスカレートしたのではないか。

4 安倍総理の責任問題

一連の流れから、慎重に対処しようとする近畿財務局に対し、本省理財局が籠池理事長の要求を丸呑みしている姿が浮かぶ。筋を通そうとする現場に対し、官邸に日常的に接する本省理財局は忖度をしたのだろう。利用されたにしろ現場に出向いた昭恵夫人の責任は思い。「安倍案件」だからこそ、財務本省も籠池氏に屈した。財務省の責任者である麻生財務大臣、行政の中立を歪めさせた安倍総理の責任が問われるべきだ。

なぜ、詳細な決裁文書が残されたのか。心ある役人が、普通なら門前払いの筋悪案件を飲まざるを得なかったか経緯を、残したのではないか。問題は、改ざんを指示したのは誰か、だ。本省決裁文書であるから、内部の人間は存在を知っていたはずだ。「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」。昨年2月の総理発言を受け、政権を守るため行われたのは間違いない。だが理財局長が独断で行えるとは考え難しい。官邸の指示を受けたのではないか。少なくとも麻生大臣には相談をしているはずだ。そこが出てくれば内閣総辞職。来週の集中審議、証人喚問で明らかにしていきたい。

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