記事

【トイザラス】、全735店閉鎖に企業消滅!チェーンストア・メルトダウンの悪夢が再び?

[ブログで画像を見る]

■昨年9月に破綻した玩具チェーンのトイザラスは15日、アメリカ国内事業の清算に向け連邦破産裁判所に承認を申請したことを発表した。事業継続を断念し、ベビーザラスを含む国内の全735店を閉鎖する。全店スクラップにより、店舗スタッフなど3万人以上が職を失う。トイザラスはまたドイツやオーストリアなどの海外店も店舗売却などを進める。トイザラスは昨年まで国内に800店以上を展開していたが今年1月、184店を閉鎖すると発表した。2月には新たに200店の閉鎖計画があると報じられていた。

トイザラスは実際、大変厳しい状況にあるのは直近の決算数値からでも明らかだった。トイザラスが昨年末に発表した第3四半期(8月〜10月期)決算では売上高が7.5%減少し、21.1億ドルだった。純損益は赤字幅が前年同期の3倍以上に膨れ上がり6.22億ドルの赤字となったのだ。既存店ベースは連結で4.4%の減少となり、国内の既存店ベースは7.0%減と大幅に落ち込んでいた。特にネットとの競争でベビー用品と知育玩具のカテゴリーでの落ち込みが影響したのだ。

経営破綻したことでトイザラスの客離れが加速した。8月〜10月期以降の決算発表は行っていないが、昨年の年末商戦は前年に比べて15%減少と伝えられていた。1948年創業のトイザラスは一時期、カテゴリーキラーとも言われ、大量で激安の玩具を取り扱い、多くの中小玩具店を破綻に追い込んでいた。ニューヨーク・タイムズクスエアにあった旗艦店は店内に観覧車まであり、観光名所にもなっていたほどだ。一方でウォルマートが20年前から書き入れ時の年末商戦で人気玩具をロスリーダーとして扱い始めたことでトイザラスのシェアが急落し、玩具シェアナンバー1から落ちることになった。ここ数年はアマゾンがアプリを通じたショールーミングを仕掛けたことでさらに追い打ちをかけられていた。

 不動産サービス会社のクッシュマン&ウェイクフィールドは、アメリカ国内の今年の閉店数が12,000店以上に上るとの見方を示している。消費構造の変化により50社ほどのチェーンストアが倒産や企業清算に追い込まれ、約9,000店が閉鎖となった昨年以上となるとの予想だ。

⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。トイザラスが破綻から清算に追い込まれた直接的な原因は50億ドル以上となる負さい、つまり借金です。集客・売上が上がらず、利益も確保できず、借金の返済ができないので事業継続をあきらめたのです。客が集まらない原因は競合となるアマゾンやウォルマート、ターゲット。競合店が人気のオモチャを時には原価以下の値段で販売するから、客を奪われるどころかオモチャ販売で利益もでない構造となっていたのです。

忙しい母親はわざわざお店に行かないという消費構造の変化もトイザラスには大きな逆風となりました。しかもトイザラスは、競合アマゾンにネット販売を任せていた過去があるほ、オムニチャネル化に出遅れたチェーンでした。トイザラスは膨大な負さいやアマゾンなどの競合の存在、消費構造の変化で消滅しますが、根本的な原因には80年代〜90年代初めまでの成功体験があったからだと思います。子供たちは必ず実店舗となるオモチャ屋にやってくるという考えです。

15年3月23日 - 【ユーチューバー】、若いほど影響力が大!ユーチューバーで育った子供が大人になる頃?

⇒子供にとってオモチャの情報を得る場所はお店しかありませんでした。子供は実際にオモチャを触って遊んで欲しくなるとの考え方です。子供にとってオモチャ屋がオモチャとの出会いの場だったのです。したがって子供はオモチャ屋にやってくるし、きたがるとトイザラスは思っていたのです。しかし、今の子供は情報をネットから得ます。自分と同じくらいの年齢の子供がオモチャをレビューするYouTube動画を見て、オモチャの情報を得ているのです。

お店で遊んでみて欲しいかどうかではなく、レビュー動画を見た時点で欲しいかどうかを決めるのです。もうお店には行きません。母親に「これ欲しい」といきなり商品名でねだるのです。母親はネットで注文ということになります。実際に遊んでみて気に入らなかったら返品するだけ。時間をかけて、わざわざトイザラスに行く理由がありません。しかしながらトイザラスは過去の成功体験から店舗至上主義から抜け出すことができませんでした。

⇒成功体験で得た考え方(コンフォートゾーン)から抜け出し、変化するのは本当に難しいのです。当ブログで何度も強調しているように、阪神ファンが巨人ファンになる(無論、逆パターンも)ぐらいの難しさです。周囲が「エッ!どうして?」と思うぐらいの非連続的な変化は、相当な犠牲を払う覚悟がないとできません。トイザラスの消滅は対岸の火事では済まされません。アメリカの小売業界より5年〜10年遅れている日本でも今後、大手小売店やチェーンストアのメルトダウンは起きます。潰れるのは旧態依然の考え方から脱却できない、かつての成功企業です。

エントリー記事タイトルにある「チェーンストア・メルトダウン」に不愉快に思う役員が多いチェーン企業です。なぜなら彼らはチェーンストアで成功していた強烈な体験があるからです。「チェーンストア理論の陳腐化」も「巨人ファンに阪神ファンになれ」というぐらいの不快感を感じると思います。快適なゾーン(考え方)から抜け出せなければトイザラスです。
 「メルトダウンというワードは不謹慎!」と感じる人が多いので、あえて使っています。警鐘を鳴らすにも、リスクテイクです。快適なゾーンに留まることはできません。

あわせて読みたい

「トイザらス」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ダム決壊 韓国紙が東電に難癖

    tenten99

  2. 2

    本物?「三億円犯人」に直接取材

    BLOGOS編集部

  3. 3

    「考え方が甘い」時差Bizに指摘

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  4. 4

    石田純一の改憲反対に感じた覚悟

    篠田博之

  5. 5

    秋篠宮さま 小室親子はもう他人

    女性自身

  6. 6

    有休義務化 日本はやせ我慢社会

    自由人

  7. 7

    百田氏が憶測で沢田研二叩き謝罪

    女性自身

  8. 8

    築地の営業強行は小池知事の責任

    おときた駿(東京都議会議員/北区選出)

  9. 9

    AI無人店舗は万引きの概念変える

    赤木智弘

  10. 10

    業界人が「干される」実態を告白

    NEWSポストセブン

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。