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由々しき事態

 3月2日の朝、朝日新聞の1面を見て一挙に目が覚めました。森友学園との国有地取引をめぐる財務省の決済文書の内容が、問題発覚後に書き換えられた疑いが報じられていました。その日の参院予算委。財務省は「そんなのガセネタだ、誤報だ」と一蹴するか一笑に付すのかと思っていましたが、「捜査中」を理由に腰の引けた答弁に終始しました。

 益々疑惑が深まったその日の夜、私は衆院財金委で質疑に立ちました。

 財務省は「省庁の中の省庁」と呼ばれ、霞が関の中で最も国を背負っているという矜持をもった組織です。私も財務副大臣を経て財務大臣を務めましたが、予算編成などの繁忙期には、睡眠不足から体重がみるみる減るくらい頑張っていた職員たちの姿が目に浮かびます。こうした経験を踏まえ、犯罪ともいえる公文書の改ざんに手を染めたり、それを指示したりするような者がいるとは、にわかに信じられないがと麻生大臣の認識を質しました。

 大臣は「真実であるとするならば極めて由々しき事態だと思います」と、この日初めて所感を吐露しました。その「由々しき」事実が明らかになりました。

 財務省は3月12日、昨年2月に森友問題が国会で取り上げられて以降、財務省理財局において計14の決裁文書について、書き換えが行われていたと発表しました。14の決裁文書は全体で78ページです。そのうち62ページにわたり書き換えが確認されました。

 書き換え前には、「学園側の提案に応じ」「価格提示を行うこととした」「本件の特殊性」などと記されていましたが、書き換え後にはこうした記述は消えています。国会で森友への便宜を否定し続けた、当時の佐川理財局長の答弁に沿うように書き換えられたわけです。また、書き換え前には、昭恵夫人や複数の政治家の名前も記載されていましたが、書き換え後に削除されていたことも判明しました。

 森友問題の最大の焦点は、評価額約9億5千万円の土地がなぜ8億円強も値引きされたのかです。商店街のバーゲンセールでも通販のコマーシャルでも、9割引なんて見たことがありません。それを査定に厳しい財務省が大甘な対応をしたのですから、不自然極まりません。

 その上、公文書を改ざんし虚偽答弁を繰り返してまで、何を隠ぺいしようとしたのでしょうか。公文書は行政判断を検証するための事実の記録であり、民主主義の根幹を支えるものです。それを霞が関の最強官庁が自らの都合の良いように書き換えていたとするならば、政府全体の根源的危機と言わざるをえません。

 なぜこんなことが起こったのか、全容解明を急がなければなりません。そのためには、国税庁長官を辞めた佐川前理財局長の証人喚問が不可欠です。

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