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シンポジウム「検察・世論・冤罪III」 検察審査会は嵌められたのか?

 そして、郷原弁護士。
「もうほとんど我慢がならないという感じだと思うんですけど」と司会の岩上さんに紹介されて、話が始まります。

 東京地検特捜部の田代検事が、小沢一郎氏の元秘書で国会議員の石川議員を起訴後に取り調べ、その報告書として検察審査会に提出した書類の中に、「有権者から選ばれた国会議員なのに、ヤクザの手下が親分をかばうようだと言われたことが効いた」と、実際には石川議員が言ってもいないことが記載されていた、という件で、メルマガで「陸山会事件は平成の盧溝橋事件か~虚偽捜査報告書作成事件の捜査・調査に速やかに着手すべき~ 」という挑発的なタイトルで、熱い論考を発表されたところです。で、その論説をグッドタイミングで、ライブで伺う、というわけ。
 このヤクザ云々という表現は、検審の議決書でも使われている表現なので、この偽報告書が、小沢起訴相当議決の決定的な一撃になった可能性もあり、だとすれば、とんでもない犯罪行為だというのが、そのメルマガの要旨です。

 岩上さんの紹介を受けて、
「いままでは怒りの対象を九電に向けていましたが、検察方面に戻ってきて...」と、聴衆の笑いを取ってから、話を始める郷原弁護士。

 検察は元々、起訴権限を独占していたが、その検察の権限に一定の歯止めをかけるというのが、検察審査会の在り方だった。検察だけが起訴や不起訴を決定できるため、検察が自分にとって都合の悪い事件を起訴しないということが起こりうる。そして実際にそういう事件が過去に起こった。だから、もともとあった検察審査会という組織には、単に、検察の処分に対しておかしいという権限しかなかったのだが、一定の条件で、検察の不起訴処分をひっくり返す、強制起訴権限が与えられた、と。これが裁判員制度の導入と同時に行われた検察審査会法の改正だった。
 これは、検察にとっては抑制となる。検察がその権限をみだりに行使し、不当な不起訴にしないためのものだった。
 それが、この陸山会事件に関しては、検察が明らかに西松事件以後、小沢氏を狙い撃ちにする形で捜査をしていき、小沢氏の起訴を目指していたものの、さすがにその暴走捜査をもってしても、検察として、小沢氏を起訴できるだけの証拠を挙げることができなかった。そのために、最終的に小沢氏不起訴ということにならざるをえなかった。

 その暴走に次ぐ暴走を重ねた上の不起訴のあとに、その検察の暴走をもう一度蘇らせるような形で、小沢氏を起訴するような形で検察審査会が動き始めた。その結果として、小沢氏に対して、二度の起訴相当議決が出て、小沢氏が起訴されてしまった。これが陸山会事件。
 まったく、本来の検察審査会の趣旨とは反対の方向に、検察審査会が動いた.....使われた、ということ。(ここで、隣で深くうなづく森ゆうこ議員)

 では、なぜ、そういうことが起こってしまったのか。

 そういうことが起こりうるような審査員の選ばれ方があったのではないか、あるいは、審査員に対して適切な説明が行われなかったのではないかという疑いが指摘されていたが、先週の田代検事の証言で明らかになったことは、この検察審査会の議決書にも引用され、小沢氏を起訴すべきだとする判断の根拠になったと思われた石川氏の供述、つまり、供述調書、そして、石川氏の供述内容を書いた捜査報告書というものがあった。

 それが、検察が処分を決める元になった資料として提出されていた。その捜査報告書の中に、検察審査会がすでに一度起訴相当議決を出したあとに、それを受けて検察が行った再捜査として、昨年の5月17日に田代検事が石川議員に対して行った取り調べの中で、石川議員がしたとされる供述が、その報告書の中に書かれていた。

 そこでは、石川議員が、「いままで嘘をついていたが、本当のことをしゃべった」という形で、「小沢さんに対して虚偽記載の報告をした」というでっち上げの捜査報告書が作られていた。
 そのでっち上げの、偽の捜査報告書が、検察審査会の起訴議決の根拠にされた

 そういうふうに、検察審査会に小沢氏を起訴させる方向に、検察自体が動いたと言うこと自体が考えられない、と、元検察官の郷原弁護士。
 なぜなら、検察審査会とは検察の権限を抑制するもので、検察の現場にいると、検察審査会なんて、コノヤロウと思っている。あいつらに自分たちの捜査をひっくり返されてたまるか、と。
 ところが、この件では、検察審査会に、検察の出した不起訴処分がひっくり返されるように、検察が動いた。しかも言ってもいないことを捜査報告書に書いて、それを検察審査会に提出するという方向で使われた。

 問題は、なぜ、そのような考えられないことが起こったのか。

 法廷での証言で、田代検事は、勘違いした、(以前の取り調べと)混同したと言った。石川氏を拘留していた1月か2月にそういう話を石川氏がしていて、それを5月の取り調べに言ったと勘違いした、と説明していますが、これはありえません。絶対ありません。(と、キッパリ)

 まず、そんな3ヶ月も前の拘留中の取り調べを、3ヶ月も経ってから報告書に作ること自体があり得ないし、3ヶ月前の話と聞いたばかりの話を取り違えるなんてこともあり得ない。
 つまり明らかに、この田代検事の供述は、混同した、という点においては偽証です。
(ここで、隣で何度もうなづく山下弁護士)

 では、意図的に、田代検事がそのような虚偽の報告書を作った理由は何か。
 田代検事個人的には、およそ動機は考えられない。検審に対しては、自分たちの仕事が維持されるように仕事をするのが当たり前だから、何か特別の意図があって、特別の指示がないと、そのような嘘の報告書は絶対に作れない。

 だから、これは特捜部が、小沢氏の起訴を目指して動いて結局できず、その起訴できなかった特捜部の現場が、検察審査会に何とかして起訴させようと組織的に動いた、そういう問題ではないか。

 そうだとすると、証拠もないのに、その証拠まででっち上げて、検察の現場が一人の政治家に決定的なダメージを与えるために、検察審査会の起訴権限というものを悪用して、起訴を行わせようとしたということになる。
 その小沢氏の起訴が、そのあとの日本の政治社会にどういう影響を与えたのか。

 .....それを考えたときに、盧溝橋事件というのは、こういうことだったんじゃないのか、と。
 誰の意図なのか解らないが、何らかの工作によって軍事衝突が引き起こされ、それがきっかけとなって、泥沼の日中戦争が引き起こされた。
 それと同じで、日本の社会も政治も、小沢氏の起訴によって、きわめて大きな影響を受けた。そういったことが、一部の検察官、検察の現場の組織的な行動によって行われたのだとすると、これは本当に大変な問題である、と。

 それを明らかにした田代検事の証人尋問の翌日に、FDを改ざんした前田検事が、小沢氏の裁判に証人として出廷して、そこで、検察審査会に提出された資料、これは本来、我々(検察官)の常識として、検察官の処分が適切であったかどうかを審査してもらうための検察審査会だから、処分の根拠となった資料は全部出さないといけないのが当たり前。
 ところが、前田検事の証言によると、(検察に)都合の悪い証拠が抜かれていた、と。これは本当に驚きだった。

 でっち上げの捜査報告書を提出し、逆に、不起訴の根拠になった本当の証拠を抜いて、検察審査会に渡した。

 もうここまで来ると、証拠に対する検察官としての.....絶対に証拠をいい加減に扱ってはならないという.....真実を追究しなくてはならないという心をどこに置いてきてしまったのかと、まったく信じられない。
 そこまでして、そこまでの意図で、一人の政治家を検察審査会に起訴させようとする、これはもう、ほんとにおそろしいことが生じている。

 この郷原弁護士の言葉の意味、ことの重大さに、場内、静まりかえっています。
 検察審査員がハメられた。

 つまり、そういうことです。
 偽の証拠を見せられ、真の証拠を隠す。これなら、確かに、素人でなくても騙される。
 そして、そんなことが、一介のヒラ検事ひとりでできるわけがない.....。これは誰の目にも明らかではありませんか。

 それでも、まだ、山下弁護士から、さらなる爆弾が投下されるとは、このときは誰も思ってもみなかったのです。(続く)

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