
■ネット通販最大手のアマゾンは1月22日、シアトル市内でレジなしのコンビニエンスストア「アマゾン・ゴー(Amazon Go)」を一般向けにオープンした。50坪程度のアマゾンゴー(2131 7th Ave Seattle, Washington)は人工知能やコンピューターヴィジョンを駆使することで、レジでの精算なしで食品を買うことができる革新的な店舗だ。レジなしで決済できることで、アマゾンゴーにはレジがない。
アマゾンゴーには、スマートフォンにダウンロードした専用アプリのQRコードで入店する。QRコードでチェックインすると、自動改札機のようにゲートが開き入店できるのだ。あとは購入したい商品を手に取り店を出ていくだけで、アマゾン・アカウントにある利用者のクレジットカードに自動的にチャージされる仕組みだ。また手に取った商品を商品棚に戻すと、天井にあるカメラやセンサーが認識して、チャージされないのだ。
レジがないといっても無人コンビニエンスストアではない。アマゾンゴーでは日本のコンビニエンスストアよりも、むしろスタッフの多さが際立っている。少なくともアマゾンゴーのレイアウトは雇用を見せるつくりとなっている。レジなしに慣れないためのアシスタントや商品補充のスタッフではない。最も裏方となるスタッフをわざわざ店の正面で見せているのだ。
アマゾンゴーが扱う商品は卵やミルク、パンなどのステープルズ商品にサンドウィッチやサラダ、飲み物、さらにアマゾン独自のミールキットやワインなど。アマゾンゴーで最も商品アイテム数が多いのはサンドウィッチなどのデリだ。アマゾンゴーはオフィス街にあり、ランチなどを求めるオフィスワーカーが多い場所柄を反映しているのだ。サンドウィッチやサラダ、ブリトーなどが入り口の正面に並べられており、最も目立っている。
アマゾンゴーではこれらデリアイテムを店内で調理している。調理場を通りに面したガラス張りのオープンキッチンにしている。アマゾンゴーでは調理現場をわざわざ店の前で見せているのだ。オープンキッチンはストリートレベルより低い位置にあるため、目に付きやすい。開店前から調理を始めるため外が暗い時間だと、キッチンの明るさでさらに人目をひくのだ。
アマゾンゴーは日本のどのコンビニよりも店内スタッフが多いのには理由がある。雇用の問題だ。決済の自動化によって、レジスタッフがいらなくなる。レジなしシステムが普及すれば、レジ係として働く人々の雇用を奪ってしまうことになるのだ。アマゾンは雇用を奪うようなイメージをアマゾンゴーに植え付けたくない。したがって、アナログな部分を見せている。もう一つの理由は情報の透明化だ。誰が、どこで、どうやって作っているのかを透明化することで食の安全にもつながる。そしてもう一つはフレッシュさを印象付ける狙いもある。
どんなに自動化されても自動化してはいけない部分をアマゾンゴーはわざわざ見せているともいえるのだ。
トップ画像:朝7時オープン前のアマゾンゴー。レジなしのアマゾンゴーは日本のコンビニエンスストアよりも、むしろスタッフの多さが際立っている。下の画像にあるようにデリキッチンに12人もスタッフがいるのだ!

アマゾンゴーではサンドウィッチやサラダなどのデリの調理場を通りに面したガラス張りのオープンキッチンにしている。アマゾンゴーでは調理現場をわざわざ店の前で見せているのだ。

オープンキッチンはストリートレベルより低い位置にあるため、目に付きやすい。開店前から調理を始めるため外が暗い時間だと、キッチンの明るさでさらに人目をひくのだ。

調理場を見せるには理由がある。店内調理でフレッシュさを印象付け、誰が、どこで、どうやって作っているのかを見せ、レジなしコンビニも雇用をしているとアピールするためなのだ。

アマゾンゴーは日本のどのコンビニよりも店内スタッフが多いのには理由がある。雇用の問題だ。決済の自動化によって、レジスタッフがいらなくなる。レジなしシステムが普及すれば、レジ係として働く人々の雇用を奪ってしまうことになるのだ。アマゾンは雇用を奪うようなイメージをアマゾンゴーに植え付けたくない。したがって、アナログな部分を見せている。
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⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤は先月、アマゾンゴーで計4回、買い物をしました。そのうち2回は朝7時のオープン前から行ったのです。オープン前の早朝からアマゾンゴーに行って気づいたのがデリキッチンのスタッフの多さ。アマゾンゴーでは7番通り(7th Avenue)に面して、オープンキッチンのレイアウトになっています。アマゾンゴーには一般公開前に5~6回ほど訪れていますが、いつも午後でした。
その時、オープンキッチンにはスタッフが数名程度でした。早朝に行くと、スタッフが通りに向かって横一列にずらーと並んでブリトーを巻いているのです。キッチンスタッフだけで10名。レジなしのコンビニエンスストアは無人ではなく、日本のどのコンビニよりもスタッフが多い「超有人店」なんですね。アマゾンゴーのような決済の自動化は、レジ係りの仕事を奪うとみられています。ロボット化に対してアメリカでは人の仕事を奪うとアレルギーがあるのです。それに配慮しているのでしょう。
それでもいずれ接客も補充・整理も掃除もロボットが行い、キッチンでもロボットが調理する時代がきます。で、お客もロボットというオチ。