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「皇室外交の大きな価値」を理解しよう!

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シリーズでお送りしているエントリの 4回目。今日は、なぜ私(ちきりん)は天皇制について、こんなに熱心に書いているのか、です。

第一回 日本人としての必読書

第二回 皇位継承に男女平等を持ち込むのは変でしょ

第三回 皇位継承問題より公務負担問題

本やブログの愛読者ならよくご存じのように、私はとても「実利的」な性格です。

だから天皇制や男系維持を支持している理由も、「伝統だから」「神の国だから」「右翼だから」ではなく、たんに「日本にとってお得だから」です。

先日来お勧めしている下記の本を読めば、日本が数千年も続く天皇家を擁していることで、どんだけトクしてきたか、今でもどんだけトクしているか、よくわかるはず。

知られざる皇室外交 (角川新書)
西川 恵
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既に本を読んでくださった方からも、下記のようなコメントが寄せられています。

いったいどんなトクをしているのか?

歴史を遡って考えてみましょう。

・ヒットラー

・ヒロヒト

・ムッソリーニ

歴史のある時期、世界ではこの3名の名は並べて語られていました。言うまでもなく、第二次世界大戦の枢軸国、ファシズム国家の独裁者の名前です。

こういう並べ方に違和感を感じる人も、たくさんいるでしょう。でも、それは私たちが「日本人だから」です。

日本以外の人にとっては、この3名はとんでもない戦争を引き起こした非人道的な独裁者=ファシストです。

でも、この3名には違いもあります。

それは、ひとりだけ「戦争後も生き残り、元首の座にとどまった」ことです。

ご存じのように、ヒトラーは自殺、ムッソリーニは銃殺されています。

なのにヒロヒトは・・・(私も日本人として昭和天皇をこのように呼称することには多大な違和感がありますが、このエントリでは、あくまで世界から見た視線で表記します)

象徴という立場には変わったものの、その後も長く日本の元首として過ごし、天寿を全うしました。

世界から見れば彼は、「ファシズム国家である大日本帝国を率い、中国大陸への侵略や第二次世界大戦を引き起こしながら、その責任を曖昧にしたまま戦後もずっと元首の立場にとどまった人」なのです。

1989年1月、日本では「昭和天皇 崩御」が大々的に報じられ、国全体が長期にわたって喪に服しましたが、

このニュースの世界での報じられ方は「戦争責任者、エンペラー・ヒロヒトが死んだ」でした。

世界の人にとっては、「そんな人がいままで生きていたのか!」って感じだったのかもしれません。

★★★

敗戦後、日本は米国に占領され、独立国でなくなります。一国も早く独立し、国際社会に復帰したい。それが当時の日本の切なる願いであったわけですが、

世界中が日本に怒りまくっているなか、日本を相手にしてくれる国はなかなか見つかりません。

戦後、日本を訪れた他国のトップは、最初が、1956年11月に訪日したエチオピアのハイレ・セラシエ皇帝、次が 1958年5月、イランのパーレビ国王、そして三番目が、同年 9月の、インドのプラサド大統領です。

わかりますよね?

国際社会に復帰するため、とにかく海外のトップに日本に来て欲しい。日本政府が必死の外交努力を続けても、先進国の元首なんてまったく来てくれない。

どこも「最初に行く国にはなりたくない」と思うからです。そんなことをしたら「あんなヒドい国を、なぜ我が国は世界に先駆けて許すのか!」と世論の突き上げを喰らってしまいます。

しかも当時の日本は、今のような「行けば多額の援助が約束してもらえる経済大国」ではなく、「やせこけた孤児が裸で走り回り、餓死者が相次ぐ貧しい国」だったのだから、なおさらです。

そんな中、大きなリスクをとって先進国から初めて訪れてくれたのが英国のアレクサンドラ王女(1961年11月)です。

元首でもないこの若い王女を、昭和天皇は羽田空港まで出迎えました。それだけ嬉しかったのでしょう。

イギリスだって、エリザベス女王はもちろん、イギリスの首相だって、こんな時期に日本を訪れることはできません。「日本はドイツと並ぶ敵国」という意識がイギリスの国民の頭の中にも強く残っている時期だからです。

そんな中、「なんとか国際社会に復帰したい」という日本の切なる願いに協力してくれたのが英国王室だったわけです。

なぜ英国王室は日本の国際社会復帰に力を貸してくれたかって?

それは王室と天皇家の戦前からのつながりがあったからでしょう。

昭和天皇は皇太子時代にイギリスを訪問し、英王室とも親交を深めていました。当時、両国の王室は極めて良好な関係にあり、しかも政治家と異なり、王室のメンバーはずっと変わりません。

これはとても大事な点です。

首相や大統領は数年ごとに人が替わるけど、王室メンバーは変わらない。だから、たとえ一時期、関係がこじれても修復が可能なんです。

親子の関係も同じでしょ。一時期、反目し合ったり、音信不通になっても、ずっとあとから再び、交流が始まったりする。ある期間に受けた許しがたいと思われた行為も、許せる時が来る。

こういうのは、数年ごとに人が変わってしまう政治家同士の関係では難しい。

「小さい頃から知っている」「父親同士が仲がよかった」「家族ぐるみのつきあいをしてきた」ことが、大きく役立つ。これが王室外交の有利さです。

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