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日銀副総裁で注目すべきは若田部氏ではなく雨宮氏

5日に衆院議院運営委員会において日銀副総裁候補者の所信聴取が行われた。この際に注目されていたのは、リフレ派代表の若田部氏のほうであったようだが、本来注目すべきは若田部氏ではなく、現在の日銀の金融政策を作ってきたとされる雨宮氏のほうである。

ただし、個人的にも若田部氏のコメントがどのようなものであるのかという興味はあった。

若田部氏は「時期尚早な政策変更で、デフレに後戻りするリスクを避けなければいけない」と述べ、金利目標の早期引き上げなど緩和縮小方向への政策変更をけん制した(ロイター)。

若田部氏は「金融政策に限界はない」とし、日銀が買うことの出来る国債は、考え方によってはまだ6割残っている」と指摘している。

それなのに何故、日銀は雨宮氏を中心に「長短金利操作付き」に修正して、量から金利に政策目標をスイッチさせて現実の買入量を縮小するという手段に出たのか。このあたりの考え方の違いが、今後どう変化してくるのかも注目点となる。

若田部氏の発言はこのくらいにして、日銀のエースと呼ばれている雨宮氏の発言を確認してみたい。

雨宮氏は「日本経済は物価2%実現に向け着実に歩みを進めている」とする一方で、一つの政策だけで全ての目標が実現するわけではないと述べ、現行の金融政策の「効果と副作用の比較考量」が必要との認識を示した。

雨宮氏は理事として2013年3月の量的・質的緩和政策を練り上げたとされる。それ以前にも2001年3月の量的緩和政策についても企画室企画第一課長として雨宮氏が大きく関わっていた。日銀法改正以降の日銀の金融政策には雨宮氏が随所に絡んでいたとされている。

その雨宮氏は「不老不死の薬がない限り、世の中の現象、政策、やることすべては限界がある」と言明。「経済や物価という現象の複雑さ」を考えると、「単純にある政策だけで全てのことが実現できるわけではないと改めて認識している」と語った(ブルームバーグ)。

これはある意味、「金融政策に限界はない」としたリフレ派の若田部氏への反論ともいえる。若田部氏にとってはその発言から、単純に金融政策だけで、全てのことが実現できるというイメージを持っているのではないかと思われるが、そんなことはないと、長きにわたり、日銀の金融政策を引っ張ってきた本人が説明している。

雨宮氏は出口政策についても触れ、「経済物価状況に応じて、市場の安定を確保しながら金利を徐々に安定的に調整していくことは技術的には十分可能」と語った。政策手段や日銀の収益への影響は内部で検討しているとしながらも、公に議論するのは「時期尚早」と述べた(ブルームバーグ)。

当然ながら出口について日銀は検討していよう。市場の安定を確保しながら金利を徐々に安定的に調整していけるのかが最重要課題となり、これまでのイールドカーブコントロールの状況等を確認しながら、調整は可能との認識かと思われる。ただし、公に議論するのは時期尚早とコメントしており、あくまで内部でシミュレーションが行われていると思われる。

雨宮氏は質疑で、漢から元時代の中国の官名「諌議大夫」を引用し、天子に物言う役割を担い、「総裁を補佐しつつ、自分の意見を持って議論を活発化したい」と強調した(ブルームバーグ)。

諌議大夫とは漢から元まで置かれた中国の官職のひとつで、政治の得失を論じ天子をいさめるのを任務とした。これまでも雨宮氏は総裁に物言う役割を長らく担ってきたと思われる。今回はさらに副総裁という立場で総裁を支えることになるが、副総裁という立場はこれまでのように黒子に徹するわけではない。

副総裁に就任後、雨宮氏が今回のように公の場でどのような発言を行ってくるのか。今後の日銀の金融政策の行方を占う上でも、黒田総裁以上に関心を持って見ていく必要があるのではないかと個人的には思っている。

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