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DAZNのプロ野球進出は"ウォッチ&ベット"を見越した動き?「野球くじ」導入の課題とは


 スポーツ議員連盟から検討の要請があったスポーツ振興くじに="野球くじ"ついて、日本野球機構(NPB)の理事会は5日、意見交換を行った

 今年1月にこの世を去った星野仙一さんも「野球をやりたい子供たちに環境をつくってあげたい。そのためには財源が必要。今は企業がおカネを出せる時代じゃない。プロ野球がやらなければいけない」と球界に進言していた野球くじ。東京オリンピックの財源確保を目的とする野球くじ導入の声が挙がっていたが、野球界は慎重な姿勢を示しており、NPB内部でも未だ意見交換にとどまっている。


 東京大学出身の元プロ野球選手で、現在は江戸川大学でスポーツ経営学を研究する小林至教授は「野球くじが導入されることによって、かなり大きなお金がスポーツ振興に回る。合法になることによって監視の目も厳しくなるし、選手たちも引き締まり、公人であるという意識も高まる。プロスポーツ選手としての責任と義務がより明確になるわけだから、いい意味での発展があると思う」と話す。


 野球ファンが集う居酒屋「あぶさん」(東京都新宿区)で話を聞くと、「野球にお金を絡めてはいけないと思うので、反対」「野球は八百長的なものができちゃうかな。サッカーや他のスポーツとは違う」という"反対派"と、「テレビで観る機会もないので、正直賭博というのもあるのかもしれないが、盛り上がる起爆剤として大事だと思う」「職場でもサッカー全然知らない人でもサッカーくじの話をすることがあるので。野球でもそういうことで盛り上がってくれればという気持ちはある」という賛成派に分かれた。100人にアンケートを取った結果、賛成が7割に上った。


■宝くじのような「非予想型」が有力か

 プロ野球界があくまでも慎重姿勢を崩さない理由について小林教授は「一番大きかったのは"黒い霧事件"だ。あれで球界が受けたダメージは非常に大きいものだった」と推測する。「黒い霧事件」とは、1968〜71年にかけて発覚した八百長事件のことだ。最終的には19人ものプロ野球選手が永久追放などの処分を受ける一大スキャンダル事件に発展した。


 いわゆる「サッカーくじ」には、試合結果を予想する「toto」と、試合結果をコンピューターがランダムに選択、完全に運任せの非予想型「BIG」の2種類が存在する。

 しかし、予想型を導入した場合、選手がわざと負けたりすることで、勝敗を操作することが可能になってしまう。「黒い霧事件」では、ピッチャー自らが野球協約では禁止されていた「敗退行為」を行い、金儲けしようとしていた人たちを利する行為を行い、永久追放された。これを防ぐため、野球くじでは非予想型が提案されており、どの試合のくじかということも、結果が出るまでわからない仕組みが想定されているという。星野さんも八百長を防ぐため、非予想型を提案していたという。


 スポーツライターの小林信也氏は「1人の選手あるいは1チームが八百長したくらいでは当たらない方式にしておけばことさら心配することはない」としながらも、「射幸心を刺激しない非予想くじだったら、わざわざ野球でやる必要がない。僕はtotoが始まった当初、2年間くらい熱心に買った。ただ、1等も2回くらいは当たったものの、いくら勉強して予想しても当たらないので、次第につまらなくなってくる」と指摘する。

■DAZN日本進出も、野球くじ導入を見越した動き?

 今年2月、イギリスのパフォーム・グループが運営する動画配信サービス「DAZN」が、今シーズン巨人以外の11球団の動画配信中継をスタートさせる。DAZNは月額1750円の有料配信サービスで、すでにJリーグの全試合放映や、メジャーリーグやF1をはじめ世界中の130を超える競技で年間7500試合以上を放映している。実はDAZNは、海外で普及している"ウォッチ&ベット"と呼ばれる、スポーツ賭博の文化を背景に成長している企業だ。このことから、DAZNのプロ野球放映権の獲得は、日本野球機構の野球くじ導入を見越したものだという見方もある。

小林至教授はDAZNの日本進出について「世界の潮流の中で日本だけが賭博に対して無縁でいられるわけではないだろうと感じる。合法になれば、ほとんどの人々が映像を観ながら賭けることになるだろう。日本市場においても"ウォッチ&ベット"のプラットフォームのマーケットリーダー先駆者としてアドバンテージが取れるよう、コンテンツを買い漁っているのだと思う」と推測した。


 スポーツ振興くじが年間1118億円(2016年度)を売り上げる中、野球くじかをきっかけに競技にも興味を持つ人が増えるのではないか、という意図もあるとみられている。

 小林氏は「サッカーくじはサッカー界がプロデュースして、プロ化とtotoもセットで始まった。野球の場合は、議員連盟、政治家が目をつけた。この主体が逆になっているのが気になるし、日本の野球が賭けごととは関係なく盛んだった歴史が変わっていくのが残念だなという思いはある」と話す。


 「プロ野球改革は、他にもっとやることがある。星野さんの発言も、真っ先に野球くじということではなく、"野球界を変えなくちゃいかんよ"という話の中で、野球くじがあっても良いんじゃないかとそういうニュアンスだったはずだ。野茂選手が行った20年ほど前、日本とメジャーリーグの売上はほとんど同じだった。しかしメジャーリーグはギャンブル以外の様々な取り組みを行った結果、今や売上は当時の10倍以上。日本選手が行けば高額な年俸ももらえる。お金がないから野球くじをやるというのは安易だ」と厳しく批判した。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)


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