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追悼・米タワーレコード創業者、CD全盛期に愛された自由な経営スタイル


| 92歳で逝去したタワーレコード創業者のラス・ソロモン(Photo by Randy Pench/Sacramento Bee/MCT via Getty Images) |

米国現地時間3月4日、米タワーレコード創業者のラス・ソロモン氏がカリフォルニア州サクラメントの自宅で死去した。享年92歳。「最高のキャラクター」だった音楽好きの起業家が、サクラメントで始めた1軒のレコード店を世界中に200店舗構えるまでの巨大チェーンに成長させた。

ソロモンの家族がサクラメント・ビー紙に語ったところによると、同氏は心臓発作を起こしたとのこと。「(ラスの妻の)パティにウイスキーをおかわりした直後でした」と、ソロモンの息子であるマイケル・ソロモンが同紙に話した。

ソロモンが地元のタワー劇場にちなんだ店名のタワーレコードを始めたのが1960年。最初はサクラメントにあるドラッグストアの裏に構えた店舗だった。そこから成長し、全盛期には北米から日本まで、世界中で200店の実店舗を構えるCDショップの最大手チェーンとなった。

タワーレコードの歴史は、コリン・ハンクスが監督して2015年に制作したドキュメンタリー映画『All Things Must Pass: The Rise and Fall of Tower Records』に詳しい。この映像作品ではソロモンの型破りなビジネス見識や洞察力が描かれている。その一例として、ソロモンは店で働く音楽好きな店員たちに重役レベルの仕事を任せることが多かったという。また、サクラメント・ビー紙もソロモンにまつわる逸話を紹介している。ネクタイを毛嫌いしたソロモンは、タワーレコード本社に訪れる人々全員にネクタイを外させた後、「ネクタイをしてきた人の名刺に”違反者”というタグ付けをして、ガラス製のディスプレイに入れた」という。



「どんなに楽しんでいても、道を外さずに正しく生きて、きっちり仕事をこなせるんだったら、そういう人たちは自由にさせればいい」というタワーレコード独自の自由放任主義な経営スタイルを、ハンクスがローリングストーン誌に説明してくれた。「これはかなり危険なやり方だけど、あの当時の音楽業界では効果的だった。ラスは”いるべき時期”に”いるべき場所”に”あるべき態度”でいる自分に気づくことに長けていた」と。

1991年、タワーレコードは年間の売り上げが10億ドルに達して全盛期を迎えた。しかし、複数の大型小売店がしのぎを削る一方でナップスターなどのデジタル配信が台頭し始めた時期に、タワーレコードは規模を拡大し過ぎてしまった。5年後、タワーレコードは破産宣告を申請することになったが、この時点でソロモンはタワーレコードの役員の地位に移っていた。最終的に米タワーレコードは2006年に廃業することになった。タワーレコードの資産整理が始まったとき、ソロモンは従業員に「あの太った女性が歌っていたあの曲……彼女の音程は外れていた。みんな、ありがとう、ありがとう、ありがとう」とメールを送った。

「会った瞬間に、ソロモンが最高のキャラクターを持った人物だと分かった」とハンクス。「でも彼は自分がタワーレコードの成功を成し遂げたのではないと強調した。成功に導いたのは、ショップの店員からスタートして、一生懸命働いてくれたスタッフたちだってね」。マイケル・ソロモンは、父親は”カリスマ性を持った常識人の起業家”だったとサクラメント・ビー紙に語った。「父はハーメルンの笛吹きみたいな存在で、みんな彼を慕って後について行ったんだよ」と。

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