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介護の仕事に大事なのは向き合う姿勢よりも寄り添う姿勢 - 「賢人論。」第56回玄侑宗久氏(後編)

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年をとることを否定的にとらえてはいけない。古くからの日本人の人生観に照らしあわせ、もう一度生きる意味を考えるべき──。玄侑氏のそうした主張には、非常に説得力が感じられる。最後は、現在の介護業界における問題点や長生きの秘訣などについて、話を聞いてみた。
取材・文/ボブ内藤 撮影/黒川知紀

介護の仕事は、働く人が誇りを感じられる仕事であるべき

みんなの介護 2025年は団塊の世代が75歳以上になる年ですが、厚生労働省の推計によるとこの年には介護職員が全国で約38万人も不足するといいます。この深刻な人手不足の問題について、玄侑さんはどう思いますか?

玄侑 介護施設の方々には私の母もお世話になっていますので、とても感謝していますが、大変な仕事だなと感じています。「お茶でも飲んでいきませんか」と誘っても、たいていの方は「けっこうです」とお断りになる。時間に追われているという印象がありますね。

一つだけ言えるのは、人手不足の問題は行政まかせにするのではなく、国民全体が考えねばならない問題だということです。そもそも作業の内容にしても、細かいところまで規定されていて、サービスをする側も、受ける側にも選択肢の幅がせまい。これは、国が関与し過ぎているからこうなるのではないかと思います。

みんなの介護 介護保険の制度が足枷になっていることについては、多くの人が指摘しています。

玄侑 介護にたずさわる方に大事なのは、介護を受ける人に「向き合う」姿勢ではなく、「寄り添う」姿勢だと思うのです。

「あの星がきれいだね」とつぶやけば、一緒に空を見上げて「ああ、本当にきれいですね」と応じること。誰かが横に座って共に時間を過ごしてくれることが、どんなに励みになることか。

もし、そのような姿勢で仕事をすることができれば、介護をする人にとっても「役にたっている」という実感が得られ、離職率も下がるはずです。

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