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好敵手にエール 別府が「草津行こう」の広告を打った真意


【なぜライバルにエールを?(別府市観光協会提供)】

“地獄巡り”で有名な九州は大分県別府市といえば、国内有数の温泉地として知られる。だが、2月16日付の九州のブロック紙・西日本新聞に掲載された別府市による広告を目にした市民は、さぞや驚いたろう。

〈今は、別府行くより、草津行こうぜ。〉

 草津(群馬県)といえば、「にっぽんの温泉100選」(観光経済新聞社主催)で15年連続1位に輝き、「湯もみ」で知られる観光地だ。同2~5位を推移し、後塵を拝している別府からしたら、最大のライバル温泉地へ観光客を誘導するような謎の広告である。別府市観光課の広報担当は次のように説明する。

「2016年の熊本地震で別府温泉は観光客が激減したんですが、日本中の支援で、客足を取り戻せました。

 その御礼として、昨年5月から『別府温泉の恩返し』と題し、47都道府県149か所に67トンの温泉を無料で届ける事業を展開しました。その道中で、格別の配慮をしてくれたのが草津でした。特別に草津の湯をタンク車に詰めて持ち帰る許可をいただいて、1日限定ながら市内の温泉施設で市民が“草津の湯”を楽しめる機会が作れました。そうした縁があり、1月23日に起きた草津白根山の噴火によって草津が苦境にあると聞き、何かできないかと考え、実現したのが今回の広告です」(同前)

 もともとは観光課の発案で、長野恭紘市長(42)がそれに乗った。

「市長は自身のフェイスブックに、『今は、別府行くより、草津行こうぜ。そして草津が元気になったら、粋な別府にも来ようぜ。』と書いています。市役所にも群馬の方から『ありがとう』とお電話をいただき、少しでも恩返しができたのではないかと思います」(同前)

 温泉地の取材経験豊富なエッセイストで、跡見学園女子大学兼任講師の山崎まゆみ氏は「温泉地同士のエールの送り合いは初の試みです。今後は日本中の温泉地で新しい連携が生まれると思います。草津だけでなく別府も盛り上がってくれたら嬉しいです」と話す。

「草津行こうぜ」広告によって別府の観光客まで増えるという思わぬ“効果”が生まれるかもしれない。

※週刊ポスト2018年3月16日号

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