記事

"カジノ法案"に江田憲司氏「人の不幸を踏み台にして経済成長を図るのか」

 安倍政権が成長戦略の一つとして成立を目指すのが、IR=統合型リゾート実施法案、いわゆる"カジノ法案"。安倍総理は去年4月、IR推進本部の初会合で「クリーンなカジノを含んだ魅力ある日本型IRを作り上げたい」と述べた。カジノ解禁の最大の旗振り役は安倍総理本人だった。かつてシンガポールを視察した時も「この統合型リゾートは日本の成長戦略の目玉となる。世界から人を呼ぶ」と意欲を見せていた。

 そのシンガポールは10年で観光客数を2.5倍、観光収入を3.4倍にまで増加させた。カジノのVIPルームのチップの最高額は1枚約850万円だ。そのカジノの圧倒的な収益をベースに、国際会議場やショッピングモール、ミュージカルシアターや美術館まで併設した統合型リゾート「IR」を実現した。ただ、アジアには既にマカオ、シンガポールに加えて、フィリピン、カンボジアなどにカジノがあり、過当競争が進んでいる。また、かつてのような勢いを失った中国富裕層がもたらす効果について疑問視する声もある。

 3日放送のAbemaTV『みのもんたのよるバズ!』に出演した「無所属の会」の江田憲司衆議院議員は「IRの収益の7〜8割がカジノで、ペイしないかもしれないMICE(=国際会議場、展示場など)をやろうという発想だが、根本的に、人の不幸を踏み台にして経済成長を図るのか、博打や賭博で儲けて何が嬉しいのか、という疑問がある。メリットよりもデメリットがはるかに大きい。経済成長はすべきだが、観光立国を目指すなら、日本には美しい自然と歴史と伝統と文化、いくらでも魅力がある。訪日外国人もどんどん増えているが、奈良や京都だけではなくて、飛騨高山とか本当に日本の美しい街並み、歴史、文化に魅入られて来られているわけだから。日本らしいやり方でやればいいのではないか」と指摘する。

 一方、カジノがもたらす負の部分も指摘される。お隣の韓国で唯一韓国人の入場が許されているカジノ「カンウォンランド」。入場料は約700円と安く、年間300万人以上が来場する。しかしギャンブル依存症が深刻な社会問題になっており、周辺に40軒以上ある質屋には、人々が車や貴金属を担保に借金をしにくるという。全財産を失ったカジノホームレスが激増、治安が悪化。周辺地域から人口が流出し、廃校となった小学校もある。韓国の国会議員の調査によると、開業から4年半で自殺者が34人、失踪事件が101件も発生しているのだという。

 ギャンブル依存症はWHOが認める精神疾患の一種で、厚生労働省の推計によると日本の患者数は成人の3.6%にあたる約320万人に及ぶ。患者支援団体「ギャンブル依存症問題を考える会」は、カジノ誘致を推進する大阪府の松井知事に要望書を提出、入場制限だけでは物足りないと訴えた。田中紀子代表は「導入だけで全てのことを防げるわけではない。例えば入り口で排除したとしても、闇カジノなどそういった問題があるので、不十分だと思う」と指摘する。

 野党からも指摘されてきたギャンブル依存症への対策として政府が示したのが、「日本人客の入場料2000円」「入場回数を週3回、月10回」「マイナンバーカードで本人確認」という原案だった。安倍総理も「世界最高水準のカジノ規制を導入する」と明言した。今回、2000円と設定した理由は、昨年実際したインターネット調査で、1000円では46.9%が「行く」と答えたが、2000円では「行く」が28.4%に減少したためだという。内閣官房の担当者も「2000円なら過度の入場への抑止効果がある一方で、負担感も少ない」との見方を示す。

 これに対し、自民党の会合では緩和を求める声が噴出。「規制が厳し過ぎると客が入らず、カジノ事業が成り立たなくなる」「入場料を高くしたら、依存症を防げるという科学的根拠はあまりない」といった意見が挙がった。また、マイナンバーカードでの本人確認についても、普及率が1割に留まることから難色を示す意見も出た。また、ギャンブル依存症への懸念が強い与党・公明党の会合では「2000円は安過ぎる。入場しやすく依存症対策にならない」「シンガポールよりも低いのはどうなのか。同水準の8000円にすべきだ」という意見が出されたという。

 江田氏は「韓国政府の依存症対策センターの所長さんが"韓国の実態を言うと、やっぱり競輪や競馬と比べて、カジノは10人に7人は依存症になる。カジノは別格なんだ"と言っていた。パチンコは庶民が1000円、2000円のレベルでやるが、カジノは上にいくと何千万、何億だ」と、カジノがもたらす依存症の深刻さを強調した。

 これに対し、博報堂IR担当部長の栗田朗氏は「韓国のカンウォンランドの場合、問題が起こることも予想されたが、作ることが優先され"必要悪だから仕方がないんだ"として、後追いで対策をしていった結果として、対処がしきれなかった。シンガポールは2005年に閣議決定をした時点で、すべての制度をきっちりと設計して、IRをオープンする前からギャンブル依存対策も始めていた」と話す。

 議論を聞いていた元財務官僚の山口真由氏、著述家の吉木誉絵氏は、そもそも依存症はカジノだけの問題ではなく、既存のギャンブルやパチンコでは対策がなされてこなかったと指摘。今回のカジノ法案を機に、抜本的な対策を講じるべきだと訴えた。

 自民党の太田房江参議院議員は「これをいい機会にして、ちゃんと対策をやっていこうとしている。入場料だけではなくて、医療の専門家による相談、本人確認や家族が止めに入ることなどを併せてしっかりとやっていく」と述べた。

 栗田氏は「日本人は勤勉な国民性なので、やろうと思えばできると思う。シンガポール以上のことをやればいい。指摘されているようなリスクを排除できるのであれば、非常に大きな効果がある。IRを活用した観光産業の振興で、数だけではなくて、外国人の観光消費金額を大きく伸ばせる。議員連盟の先生方の議論でも、最終的には道州制も見据えて日本全体10カ所くらいやりたいところだけれども、最初は2、3か所できっちり効果を見極めようという話をしておられる。現在、東京、横浜、大阪といった大都市でまずやろうじゃないかとなっていて、非常に大きな投資も呼び込めるので、世界最高のIRができる。世界中からお客様が来ることが予想される」との考えを示した。(AbemaTV/『みのもんたのよるバズ!』より)

▶次回『みのもんたのよるバズ!』は10日(土)夜8時から生放送!

あわせて読みたい

「カジノ解禁」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    ワコール炎上広告 原因は手抜き

    中嶋よしふみ

  2. 2

    なぜカルディ商品は買う気失うか

    MAG2 NEWS

  3. 3

    怠慢でAmazonに潰される商店街

    後藤文俊

  4. 4

    大地震でも出社 学ばぬ日本企業

    キャリコネニュース

  5. 5

    栄元監督 会見後にキャバ嬢同伴

    SmartFLASH

  6. 6

    楽しい食事をダメにする残念な人

    内藤忍

  7. 7

    ひろゆき氏 災害時のSNSデマに喝

    AbemaTIMES

  8. 8

    ZOZO田端氏の残業代ゼロ論は呪い

    国家公務員一般労働組合

  9. 9

    編集者に絡む水道橋博士の古臭さ

    Hayato Ikeda

  10. 10

    国煽り最悪の刑務所入った堀江氏

    PRESIDENT Online

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。