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日本の労働生産性を押し下げる経営者の責任

JUGEMテーマ:経営のヒントとなるニュースを読み解く

今週書いた「労働生産性は働き方とはまったく関係ない理由」という記事に対し、時間あたりの生産性は製造業のみに関連するものであり、製造業以外には適用できない、というご意見がありました。

しかし、日本の低い労働生産性に最も貢献しているのはGDPの7割を占めるサービス業で、その労働生産性は製造業の5割程度にとどまっていると言われます。つまり、日本の労働生産性を向上させるためには、サービス業の大幅な労働生産性の改善が不可欠です。

例えば運輸業。人手不足問題が深刻になり、ヤマト運輸の昨年末の大幅運賃値上げや、今春の引っ越し難民の増加予測などさまざまな問題を聞くにつけ、低い労働生産性が業界全体や働く社員を疲弊させている様子がわかります。

ヤマトの場合、平均で何度不在配達をするかを売上原価として計算しているかわかりませんが、法人など1回で配達できる荷物が減り、複数回配達が当たり前の個人宛荷物が増えれば、当然労働時間は比例して増えるのに対し、1個あたりの配送運賃は変わりません。その結果、長時間労働やサービス残業が横行するようになり、利益率が伸び悩むのは必然の成り行きです。

この事実に気がついた佐川急便は2013年に早々とアマゾンとの契約を打ち切り。法人客メインの営業方針に切り替えました。このブログ記事では2015年までの2社の売上と営業利益率を比較していますが、2015年時点でヤマトは佐川の約1.5倍の売上があるにもかかわらず、営業利益はほぼ同額(ヤマトは減益)。いっぽうの佐川は、2010年から2015年には売上を約1割近く落としたにもかかわらず、営業利益は倍増しています。

ヤマト経営陣は昨年の値上げの大騒動を待つまでもなく、佐川がアマゾン配送から撤退した2013年時点で将来予測をし、何らかの手を打つべきだったのは明らかです。

昨日は日経にアートコーポレーション社長のインタビューが掲載されていましたが、単価の低い単身者引っ越しをメインにしたり、担当者の「カン」に頼った見積もり等をしていたため利益が低迷。今後はAIを利用して見積もりの誤差を少なくし、個人や相見積で価格が安い業者に発注するシステムの法人の契約も受注しない方針だそうです。

このように経営者が売上単価や利益率を上げるための経営判断をしたり、機械化(システム投資も含む)をしていけば、社員の働き方も自ずから変わってきます。

同じくサービス業の小売り店。

棚卸や発注のための在庫確認は小売店舗で最も時間を消費する作業の一つですが、昨年、リーダーで瞬時に単品在庫数を読み取ることができるICタグの全店導入をユニクロが決定しました。

しかしユニクロは満を持して導入決定しただけであって、日本のICタグ導入の草分けはセレクトショップのビームス。何と5年前の2013年から導入実験を開始。2016年夏までにすべての業態で導入済です。これにより、ビームスでは従来、10人で20時間かかっていた棚卸を3人で2時間以内に短縮できたといいます。

なぜビームスにこんなことができたのか? 答えは簡単。ビームス商品の販売単価と利益率が高く、ICタグ導入に必要な資金を用意できたからです。それにより削減できた社員の労働時間は本業の接客販売に費やすことができ、さらに時間あたりの売上アップ効果が期待できる他、本業のアパレル以外にもカフェやコラボ事業などさまざまな新規事業に余剰人員を回すことができます。その結果、ビジネスの相乗効果やリスク分散機能も補強できるのです。

ホワイトカラーの営業職や管理職でも同じこと。

「明日までにこの資料をそろえてほしい」と顧客の言うなりになって深夜残業が横行しているという話や、毎月必要な資料ならそもそも販売システムの中に組み入れて自動的に作成できるようにすればいいのに、わざわざデータをエクセルに落とし込んで加工して資料作成自体が業務になっているという話、売上や仕入れを操作してささやかな決算数字の誤魔化しに毎月末にけっこうな時間を使っているという話などなど、「最小限のコストで最大限の売上と利益をあげる」のが目的のはずの企業から逸脱した行為は、日本の会社では日常茶飯事です。

それもこれも、私はすべて経営者が必要な判断と指示を、必要なタイミングでしていないことが問題ではないかと考えます。その結果、社員は生産性向上どころか、何のために仕事をしているのかがわかっていない人も多いのではないでしょうか?

働き方改革といかに政府が声高に叫んでも、私は日本の多くの経営者たちが変わらない限り、労働生産性の問題は永遠に変わらないと思います。

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