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消費増税反対派説得〜自党の国会議員に対して「民意に背く行動をしろ」と迫る愚かな行為

「反対派を説得する」…???

説得する相手を間違えているのではないか。

民主党税制調査会と社会保障と税一体改革調査会との合同総会は、休憩時間をはさみ約9時間に及んだ。焦点の消費税引き上げの時期と幅について、税調執行部が「2013年10月に8%、15年4月に10%」とする2段階の引き上げ案を提案したが、反対論は根強く、大荒れに荒れた挙句、結論を29日以降に持ち越した。

これに対して、野田首相は29日に党の意見集約を終わらせたいとの意向を示しており、同日の総会で自ら反対派を説得する構えだと報じられている。

「財政再建原理主義」の世論操作責任者である日本経済新聞が実施した調査でさえ、「消費増税反対」が53%となり「賛成」を15%も上回った事実に基づけば、野田総理が行おうとしている「反対派を説得する」という行動は、自党の国会議員に対して「民意に背く行動をしろ」と迫ることと同義である。

もし野田総理が「消費増税」を「我が政権のためでもない。民主党のためでもない。この国の現状と将来を考えたときに避けて通れない重要課題だ」と「心底」「真剣に」考えているのだとすれば、「反対」に傾いた世論を説得することに全精力を注ぐべきである。

自らは議論に全く加わらず、世論と党内が反対に傾いても、「方針通り」に突き進むという野田総理の政治姿勢は、「虚心坦懐」という言葉と対極をなすもの。

民主党代表選挙の際には、「駅前演説の野田」と自らの「演説能力」に強い自信を示していた野田総理。「論理破綻」していても、「論理の飛躍」があっても、誰も指摘することのない一方的な「駅前演説」は得意でも、「論理的整合性」が求められる「ディベート能力」や「説得能力」には全く自信がないのか、政策決定は常に自らが参加しない会議や、国会外という国民の目が届き難い「密室」で行う「談合型」が常套手段となっている。

「財政再建原理主義者」たちは、「消費増税反対派」の行動は「選挙目当て」の「無責任」な行動であると非難している。民主党の仙石政調会長代行も28日、「この局面で増税だけを取り上げて政争の具にするのは本当に愚かなことだ」と述べ、離党届を提出した所属議員を強く非難した。

しかし、最大の国家権力でもある「徴税権」に対して様々な意見が出てくるのは民主主義では当然のこと。反対意見を「増税だけを取り上げて政争の具にするのは本当に愚かなことだ」と罵倒することの方が、民主主義では「本当に愚かなこと」のはずである。

「消費増税」を「選挙目当て」で「政争の具」にしている反対派議員達を、野田総理はどのように説得するつもりなのだろうか。

まっとうな方法は、野田総理自らが国民の前に立ち、反対意見や厳しい追及を受けようとも、自らの「演説能力」を駆使し、国民を「消費増税賛成」に転じるように説得し、自党の議員が「民意に沿った行動」をすれば当選出来るような環境を整えることである。

しかし、自らが反対派の厳しい意見を浴びることのない場所を設定し、そこで反対派のガス抜きを図ってきた野田総理が、自らが矢面に立つことは期待薄であるうえ、執拗に拘り続ける「年内決着」は不可能となる。

こうしたことを考えると、野田総理が「消費増税反対派」に対して「密室」で示す説得材料は、選挙における「公認」「比例名簿の順位」「党内ポスト」「資金」といった、旧態依然とした「アメとムチ」になる可能性が高い。

もしこうした推測が現実のものとなれば、民主党がManifesto2010で掲げた「とことんクリーンな民主党へ」という公約も反故にされることになる。

野田総理が「消費増税」を「我が政権のためでもない。民主党のためでもない。この国の現状と将来を考えたときに避けて通れない重要課題だ」と「心底」「真剣に」考えているのであれば、自らの「演説能力」を信じ、自らが矢面に立って、自らの信念を訴え、反対派や国民を説得するべきである。自らは弾が飛んで来ることのない安全な場所に身を置き、反対派に「ガス抜き場」を設定するような姑息な手段では、反対派も世論も翻意させることは不可能だ。

「駅前演説能力」には自信を持っているが、「ディベート能力」「説得能力」には自信を持てない野田総理の現在の心境は、
「自信はなくて うぬぼればかり はずかしい はずかしい」(相田みつを)
といったところだろうか

しかし、相田みつをは、次のようにも言っている。
「体験して はじめて 身につくんだなぁ」

「消費増税」を、「避けて通れない、先送りの出来ない、将来の国民に顔向けできないようなことは出来ないテーマだ」と強調する野田総理。

「人の為(ため)と書いて いつわり(偽)と読むんだねぇ」
という相田みつをの言葉に、顔向け出来るのだろうか。

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